最近、といっても6月に読んだ本です。
等伯 〈上〉/日本経済新聞出版社
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等伯 〈下〉/日本経済新聞出版社
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人の目とは不思議なもので、自分が学んだ知識や技法の通りに世界を観てしまう。


それは真にあるがままの姿ではなく、知識や技法に頼った解釈にすぎない。


(中略)


等伯は日頃から画帳に草花や木々を書き留めている。


数百枚もの絵の中から芙容や菊を選んで描いているうちに、不思議なことに気付いた。


真にそれぞれの様を写し取ろうとすればするほど、花も葉も図案化していくのである。


目に見えるものを精密に写し取るよりも、


花や葉の持つ本性を抽象的に描いた方がより本物らしく見える。


それは人が物を認識する時に、無意識に記号として識別しているからである。


むろん等伯にはそんな知識はないが、経験によってそのことを理解していた。