「相手にとっては重大な一番だが、
自分にとっては消化試合、
そういう対局は死にもの狂いで戦わなければならない」
というのは、私が若い頃から重要視してきた勝負哲学の一つでもある。
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勝負師といえども人間である。
相手には大一番でも、
自分にとっては消化試合、
そんな場合、情としては、ともすれば力を抜きたくなる。
上手に負かされたいという気持ちになる。
だが、そんな感慨を吹っ切って、
全力投球しなければいけない。
勝負の女神は必ずこれを見ているからだ。
勝ち負けの結果ではなく、全力投球するか否か。
どんな心構えで対局に臨むかを、
"彼女"はじっと見ているのである。
しかも恐ろしいことに、このとき"彼女"にそっぽを向かれれば、
以後、勝負師としての運気は大きく傾いてしまうのである。
米長邦雄「運を育てる」
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昨日、
米長邦雄・永世棋聖がお亡くなりになりました。
思えば、受験が終わって初めて読んだ本が
米長邦雄さんの「運を育てる」でした。
「捨て試合こそ、真剣に」の勝負哲学は、
将棋だけでなく、すべてに当てはまると思います。
当時の私がこの本を読んで、
我がごととして捉え、
生き方をあらためようと、誓ったのは、今も忘れません。
全て、運命の神様は見ている。
ってのは本当にそうで、
いつも目前の出来事に真剣勝負で生きてれば、
いつか神様は微笑んでくれるのだと、思います。
米長邦雄様のご冥福をお祈りします。
羽賀ヒカル
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