「相手にとっては重大な一番だが、


自分にとっては消化試合、


そういう対局は死にもの狂いで戦わなければならない」


というのは、私が若い頃から重要視してきた勝負哲学の一つでもある。



  ※  ※  ※



勝負師といえども人間である。


相手には大一番でも、


自分にとっては消化試合、


そんな場合、情としては、ともすれば力を抜きたくなる。


上手に負かされたいという気持ちになる。


だが、そんな感慨を吹っ切って、


全力投球しなければいけない。


勝負の女神は必ずこれを見ているからだ。


勝ち負けの結果ではなく、全力投球するか否か。


どんな心構えで対局に臨むかを、


"彼女"はじっと見ているのである。


しかも恐ろしいことに、このとき"彼女"にそっぽを向かれれば、


以後、勝負師としての運気は大きく傾いてしまうのである。



米長邦雄「運を育てる」



  ※  ※  ※


昨日、


米長邦雄・永世棋聖がお亡くなりになりました。



思えば、受験が終わって初めて読んだ本が


米長邦雄さんの「運を育てる」でした。



「捨て試合こそ、真剣に」の勝負哲学は、


将棋だけでなく、すべてに当てはまると思います。



当時の私がこの本を読んで、


我がごととして捉え、


生き方をあらためようと、誓ったのは、今も忘れません。



全て、運命の神様は見ている。



ってのは本当にそうで、


いつも目前の出来事に真剣勝負で生きてれば、


いつか神様は微笑んでくれるのだと、思います。



米長邦雄様のご冥福をお祈りします。




羽賀ヒカル



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