先日もうすぐ6才になるウサギさん(♀)が
4~5日前より吐血すると来院されました。
ウサギは基本的に吐くことのできない
動物なので、吐血は「?」と思いつつ
詳しく診察すると
なんと右の腋下に
ゴルフボール大のしこりがある。
そしてそのしこりの一部に痂皮があり
その周りには出血の跡が。
痂皮の下は赤黒い斑状になっており
中からじわじわ出血している。
ペットシーツにも大きな出血斑。
おそらくこの出血を吐血と思ったのであろう。
このまま出血が続けば、出血死してしまう
可能性が高い。
もし助かる可能性を考えれば、オペを
するしかなないであろう。
ただし今の状態(貧血)や年齢を考えれば
リスクはかなり高いと飼い主様にご説明した。
オペを希望された。
診察時間中であったが素早く準備をし、
マスクで麻酔薬を導入し
オペに取りかかった。
術中、麻酔は安定していた。
しこりの一部は豆腐のように柔らかく
所々に血餅が認められたことから
出血が出たり止まったりを
繰り返していたことが示唆された。
とにかく迅速にしこりを切除するよう
手を動かした。
オペのモニターは順調に動いていた。
しこりは正常組織との境界が不明瞭であった。
それでもなんとかしこりを切除した。
そしてすぐに皮膚の縫合に入った。
皮膚はやや硬い感じがした。
あと1~2針で終了というところにきたら
急にオペのモニターが心拍数の低下を
示した。
その後1分の間に心臓も肺も停止。
薬剤投与と心マッサージを行うが
・・・・・・・・
・・・・・・・・
旅立ってしまった。
今回は元気でお返しすることができず
大変残念な結果となりました。
何とかお助けしたい気持ちでいましたが
オペ前の状態(貧血)がかなり厳しかったです。
ウサギの輸血は難しいのが現状です。
オペをしない選択肢もありましたが
止血剤や圧迫などで止血できる可能性は
かなり低かったと思われました。
しこりは病理検査しておりませんが
乳腺腫瘍の可能性(多くは悪性)も
考えられます。
本日これからエコー研究会に出席します。
帰宅は深夜零時を回りそうなので
ぺタ頂いた皆様、ぺタ返しはゴメンナサイ。
よろしければ、押して下さい。