クチナシの花が咲いていると思わず近寄って、匂いをかいでしまいます。

 

人んちのお花なんだけど。

 

この花の匂いは母との思い出の匂いです。

 

母は若いころ家出をして、横浜の洋裁学校に通ったのだそうです。

母といくつも年の違わないおばさんが、横浜にいたので、おばさんの手引きで家出をしたと言ってました。

 

昼間は住み込みのメイドさんとして働き、夜は洋裁学校に通ったと。

 

その洋裁学校からの帰り道、夜風にのって甘い香りがただよってくるのだそうです。

 

クチナシと言うんだよと教えてもらったそうです。

 

母は洋裁学校の卒業まであと一年というところで、父親に見つかって田舎へ連れ戻されてしまったそうです。

 

「ほんとに悔しかった!あともう一年で卒業だったのに。」

 

「花の名前だってねたくさん覚えたのに。クチナシなんてね、こんな花、田舎には無かったの」と言ってました。(あったんでしょうけども)

 

クチナシ、沈丁花、金木犀、香りがする花が好きだった母。

 

かわいそうに。

母をあの頃に戻して、洋裁学校に通わせてあげたいなあと、その話を聞いた時思いました。

 

真っ白なクチナシが咲いていますね。