正月の休みボケも抜けつつある1月半ば。
今の嫁が東京から僕のマンションへ越してきました。
(色々とあって遠距離恋愛だったんです。)
ただ、その頃のマンションは 1DK と二人では狭く、とりあえず…の同棲で、
新居を探しながら結婚式の段取りを決め、各方面への挨拶に走り回る日々。
仕事も重なり、かなりの多忙を極めていました。
おまけに今まで自由に使えていたお金が細々とした買い物や契約に消えてゆく日々。
嫁との新生活に幸せを感じつつも、以前の生活サイクルが名残惜しく、
ストレスも感じ始めていた為、やはり頭に浮かぶのは早紀の事。
関係を切った方が無難だと思ったものの、
気付けば自分の中で早紀の存在感が強くなりすぎ、それを消す事は無理でした。
ただ単にセックスが目的だった女を、一人の女性としてハッキリ意識確定をしたのです。
逆に早紀はと言うと、この頃から僕への愛情や興味は急速に失われていたようで、
これから続く関係に疑問を持ち、ゆくゆくは苦痛を感じてゆくのでした。
というのも、もう二度と会わない…という暗黙の了解を勝手に感じ、気持ちを整理したようです。
(当たり前ですね…。逆なら僕も気持ちを整理します…笑)
お互いの気持ちがやっと重なったと思えばそれは一瞬の点で、
後はもう二度と交わる事のない線に戻る。
恋愛での弱者とは惚れた者で、強者とは惚れられた者。
まさに、弱者と強者が入れ替わった時期でした。
当然、僕が弱者で、早紀が強者で…。
それが少しずつ、でも確実にハッキリと二人の間には立場の違いが出始めてゆきます。
そんな事は考えもしなかったこの頃の僕は、嫁が所要で一時帰京した事をチャンスに、
やはり優越感を持って早紀にメールしました。
<今夜、久々にメシでもどうかな…。また連絡下さい。>
昔はスグに来た返信も、この頃には少し間を置いて帰ってきます。
<今他の人と呑んでて…。遅い時間でも良ければ大丈夫ですけど…。>
結局、22時に送ったこの日の誘いは、深夜1時頃の電話で確定になりました。
会うには会ったものの、お店もラストオーダーだし、次の日は仕事だし…で車で話すだけ。
予想していた『連絡くれるとは思ってなかった~…』の黄色い声は全くなく、(←アホ)
淡々と、今まで付き合わされた愚痴を早紀は語ります。
以前ならどうでもいい…と遮り、ホテルへ誘う僕ですが、
早紀に会えた事が嬉しくて話を聞き、慰め、励まします。
3時頃になって、早紀の方から『もう眠いし…帰る…』と会話を終了。
僕は「そ、そうやな…。今日は疲れたな…。よっしゃ。送って行こか…」と答えるのみ。
結局、前回の重い関係性終了の確認や是非を問う話は全く出ず、
尚かつ、早紀と関係を持ってから初めてセックスをせずに別れた夜でした。
(まぁ、これから長い付き合いになるし、両想いやからノンビリと会って楽しもう…)
楽天的に考えながらも、虚しさや寂しさが心に残り、それが早紀への更なる想いに繋がる。
弱者と強者。
お互いの傾く線を走る気持ちは、速さも温度も全てが逆。
その事実を理解する事から逃げていた僕は、悲しい程に弱者として転げ落ちる事になるのでした。