いもたこなんきん芝居におしゃべり♪

いもたこなんきん芝居におしゃべり♪

■■「いもたこなんきん芝居に云々」は女性の好きなもの♪ 訪問、コメント大歓迎。 *不定期更新■■

ここ数年、1月は玉三郎丈の舞踊で初芝居だったのだが、今年は2月の初芝居に。まずは7日

に松竹座での「立春歌舞伎当別公演」での「夜の部」から。こちらは去年から始まったらしい

「大阪国際文化芸術プロジェクト」の一環で会期が約2週間ほどと短く、ほぼ上方歌舞伎の役

者方での公演になっている。

 

演目も上方色が強く、「昼の部」が「源平布引滝~義賢最期・竹生島遊覧・実盛物語」、「夜

の部」が「新版色讀販~ちょいのせ」、「連獅子」、「曽根崎心中」である。

 

元々、愛之助丈奮闘公演の「昼の部」を観劇予定だったのだが、「夜の部」の「曾根崎心中」

を捨てがたく、結果、チケットを追加で手配して都合昼夜とも観劇することになった次第。

 

 

 

 

最初の希望とは相違して「夜の部」からの観覧になり、母と揃って来座。左列10、11の良席

でほくほくして着席した。

 

まずは「新版色讀販~ちょいのせ」から。悲恋物の「お染久松」を下敷きにしており、お染に

は許嫁の山家屋清兵衛がありながら丁稚の久松と恋仲となったが、そのお染に身の程知らずに

も横恋慕する番頭・善六の悪事を滑稽に描く。善六の鴈治郎丈は初役だそうだが、ぴたりとハ

マって上々。滑稽さも程よく、最近の上手さを再認識させられた。「お染久松」の「歌祭文」、

要は当時のスキャンダル記事を語って聞かせるが、途中で愛之助丈の清兵衛に遮られ、頭に刷

り物の歌祭文を「ちょい」と「載せ」られ、ことごとくあしらわれてしまうことから「ちょい

のせ」の俗称が付いたのだが、難しい人形ぶりもまずまず。憎々しいより滑稽な演じぶりがな

かなかよかったかな。

 

愛之助丈の清兵衛は出も少ないが、貫禄ある二枚目を好演。久松の壱太郎丈は立ち役のためか

線が細く、ニンに少々合わない処が残念。久松に限らず、今後も立ち役にはずいぶんと工夫が

必要だろう。

 

対して、お染の尾上右近丈は丁稚に恋する家付き娘のわがままぶりがぴったり。意志強く、

を成就させようとする一途な若い娘の傲慢さがうまい。人形ぶりの軽い動きはさすがの「踊り

巧者」の面目躍如という処。亀鶴丈の松屋源右衛門は出も短いが、善六の悪事に加担する憎々

しさがうまく、印象的。この人の悪役はホントにうまくて大好きなのだが、出が少ないのが残

念至極。

 

お染の母おみねの吉弥丈はしっかり脇を固めて上々。秀太郎丈亡き後、貴重な上方の老け女形

で、これからもますます頑張っていただきたい。総じて思いのほかの上出来で、★★★☆☆、

★4に少々足りないという処だろうか。

 

 

 

 

二幕目に扇雀丈、虎太郎丈の親子での「連獅子」。元々こうした舞踊は「成駒屋」のニンでは

なく、演じるには少々無理目だが、今回の虎太郎の「子獅子」はなかなかの頑張りで◎。扇雀

丈の「親獅子」は残念ながら平凡か。★★★☆☆、★3はやや甘めかな(^^;)。

 

 

 

 

三幕目が眼目の「曽根崎心中」。壱太郎丈の「お初」は手に入った役で上々。哀れさと意志の

強さがくっきり際立ってうまい。初役の「徳兵衛」の尾上右近丈は友の奸計にハマり、悲恋も

加わっての哀れさがなかなか見事。凛々しい男ぶりで、「近松物」などもっといろいろな立ち

役で見たい処である。

 

「曽根崎心中」の舞台の観覧は三度あり、藤十郎丈、十二代目團十郎丈、翫雀(現・鴈治郎)

丈だったが、さすがに藤十郎丈には及ばないものの、これからもありと思わせる出来栄え。ぜ

ひこれからも、上方歌舞伎で「近松物」を頑張っていただきたいものである(なお、余談なが

ら、團十郎丈の「徳兵衛」もみごとだった。早くに親を亡くした線の細さが合致して、哀れさ

が際立つ「徳兵衛」に感激したものである)。

 

亀鶴丈の油屋九平次の悪ぶりは板について上々。上方歌舞伎の憎まれ役は一任したいほどであ

る。鴈治郎丈の平野屋九右衛門は実直さ、実の甥を思う真実味が真に迫って、こちらも上々。

一皮剥けたむけた感があり、ところどころで亡き藤十郎の台詞回しを彷彿とさせるなど、間と

息がよく似てきたものだと感心しきりである。なお、ちょい役ながら、下女・お玉の翫政丈は

泥臭く演じてなかなかよかった。右近丈の頑張りを贔屓目に評価して★★★★☆、余裕の★4。

 

 

 

 

 

 

 

 

千秋楽の18日、こちらも母と揃って、眼目の「昼の部」へ。めずらしく「通し」での上演とな

り、「愛之助丈奮闘公演」となった「源平布引滝」にワクワクして来座。10列24,25番と右桟

敷席近くの良席で、視界も良好(出入りがしにくいのが少々難だが)。

 

 

 

まずは「義賢最期」。当代仁左衛門丈の復活芝居で話題となり、最近は愛之助丈のお役になりつ

つある演目で、今回も手に入った演じぶりながら、見せ場の「戸板返し」でのもたつきが少々気

になったかな。これは支え役の慣れの問題なので、愛之助丈には少々気の毒だったかも。とはい

え、この場を含めてダイナミックな見せ場での愛之助丈の奮闘ぶりは見事で、最後の「仏倒し」

は何回見ても心配になるほど迫力満点で大満足。

 

小万の壱太郎丈は、これまでの娘役より年増役がニンにあって上々。続く「竹生島遊覧」では、

波荒い琵琶湖を泳いで真実味たっぷり、愛之助丈に負けず劣らずの奮闘ぶりに拍手喝采という

処。「竹生島遊覧」での亀鶴丈は平宗盛での登場だったが、こちらは特に見せ場もなく平凡。

ちょっと気の毒な出ではあったかも。

 

続く「実盛物語」では、颯爽たる武将ぶりの愛之助丈もさることながら、初役・瀬尾十郎の鴈

治郎の憎々しく、また最後には親子の情愛溢れる演じぶりが上々。だめだめだった若かりし日

を思い出しつつ、営々たる努力を見て感心した次第。という訳で、まずは★★★☆☆、★3.5。

平均点以上だが、東京で忙しい愛之助丈にはもっと上方歌舞伎に注力して欲しいかな。個人的

には新作歌舞伎の「ルパン三世」や「西遊記」は置いといて、と苦言を呈したい。いずれ、次

代の仁左衛門を継いで、当代のように東京偏重にはなっていただきたくないな、と強く思う次

第である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2024年も5月のゴールデンウィークに突入。という訳で、連休にサボっていたブログ更新に着

手することにした。

 

 

まずは元日。今年も友人のお年賀はなく(コロナ禍以降、来訪を控えている由)、母とふたり

での穏やかな正月を迎えた。恒例のお雑煮、お煮しめをいただいた後、午後から西宮戎神社に

初詣。帰宅後、16時頃、突然の揺れに驚く。西宮でのかなりの震度(体感的には3程度)で、

大地震と確信、震源地は比較的近くのどこかと類推したが、能登半島激震震度7とは予想もし

なかった。

 

阪神淡路大震災を思い出し、冬の北陸での避難生活に暗澹たる思いでTVニュースを見つめる

しかなく、正月早々今年1年の不安が思われた。

 

 

それでも出来ることはほぼなく、二日には例年通り、母と車で住吉大社と福應神社に初詣に

行き、自身の平穏無事を祈りながら、能登大地震を思い、心が痛んだ。これから人口の大幅

減を迎える日本、思い切って人口の少ない町村は復興を諦め、比較的人口の多い市街地にコ

ンパクトにまとまって住むことを考える必要があるのではないか、とある意味残酷なことを

考えたものである。貧しくなったこの国では、そうしたことも選択せざるを得ないのではな

いだろうか。

 

 

 

 

月半ばに「牧水」で誕生日会。65歳、遂に「年金世代」に突入である。祝ってくれた友人と

能登大地震を含め、来し方行く末を自ずと語らう一夜になった。

 

 

 

 

 

 

2月は7日に松竹座での「夜の部」観劇、18日に美術関係の研究会参加、24日に中之島美術

館での展覧会観覧、24日に松竹座「昼の部」観劇、29日に母方の菩提寺での法要があるなど、

比較的忙しく過ごした次第(観劇等は別ページで)。ちなみに29日は母の父の命日(^^;)で、

母の両親、兄、弟二人、甥ふたりの法要をお願いした。いずれ従兄が墓じまいを考えているの

で、今回執り行ったような次第である。

 

 

 

 

 

 

3月は8日に南座での「夜の部」、17日に「昼の部」と引き続き観劇が続いたが、7日から

風邪気味になり、9日からは咳が止まらず、週明け11・12日は声が出なくなり、「鬼の攪乱」

で急遽勤務を休む羽目に(^^;)。13日も午後休(これは当初からの予定)で何とかしのいだが、

ひどい咳が月末近くまで続き、体調的には最悪の1ヶ月になってしまった(涙)。

 

 

 

 

 

 

4月はほぼ行事はなく、ゴールデンウィーク前半の26・27日に野暮用でつぶれ、28日には母

の希望で思い立っての「藤花」観覧に春日大社に出掛けたぐらいだが、この奈良行きが大変だ

ったのである。

 

 

前日のTVで春日大社の藤が満開とのことで、花好きの母の希望で急遽奈良行きが決定。阪神電

車の「奈良・斑鳩1Day」チケットでお得に出掛けることに。混むだろうと思って9時に出発、

10時半前には近鉄奈良に到着したが、びっくりするほどの人出に「さもありなん」と思いはし

たものの、バス停で「春日大社」までバスで1時間超、徒歩40分程度なので歩いた方が速いと

ガイドに言われて驚くばかり。

 

とはいえ、93歳の母を40分も歩かせることは出来ず、待ち時間20分ほどでやっとつかまえたタ

クシーで裏道を走ってもらい、何とか春日大社裏に到着。せいぜい2メーターの距離が待ち時間

多数で1,760円と約3倍近い出費になったが、これは致し方がない。裏道から日陰の地道を歩い

て20分ほどでやっとお目当ての「萬葉植物園」に到着した。途中、鹿せんべいをやろうとした

らよほど空腹なのか、頭突きされたりお腹を嚙まれたり(怒!)して、投げつけてしまった。

幸い、母の方は1枚ずつ食べさせられたが、それでも後ろにつきまとい、お尻に頭突きされたり

する始末。やれやれである。

 

到着した「萬葉植物園」では入り口でガイドが「今は遅咲きの藤しか咲いていません」と大声で

注意していたが、もちろん帰る人はなく、500円のチケットも並んで買う事態に(ただし、並ん

でいたのはキャッシュレスの人で、現金払いはすぐだった)。

 

園内では確かに早咲きやその後の藤は終わっていたが、あやめは盛りの美しさで、園後半の藤の

苑では遅咲きの藤はもちろん、全体的に遠目にはまだまだ綺麗で、何とか母も楽しめたようであ

る。

 

園の臨時の東出口は幸いバス停のすぐ近くだったが、駅までの直通はなく、国立博物館前で乗継

ぎとのこと。5分程度でバスは来たが、2停留所先の乗継ぎ所はすごい人混みで、少々不安だっ

たが、幸い後続がすぐだったので、座っての移動ができ、ホッとしたものである。

 

バスの中から見ていると、食事処もどこもかしこも満員、「萬葉植物園」駐車場行きの道路はベ

タに渋滞の列が続いており、激込みぶりにまたまた驚かされた。ともあれ、何とかJR奈良駅に到

着し、午後から訪ねようと思っていた叔母のいるJR加茂駅まで移動しようとしたら、何と加茂行

き列車は出発した後で、次発は1時間後とのこと。調べると、日中は1時間に1本とのことで、

これでは叔母宅まで時間が掛かりすぎてしまうと判り、急遽バスでの移動に変更。バス着まで

10分ほどしかなく、慌ててトイレを済ませ、やっとバスでやれやれと落ち着いて一息。

 

運転士に「奈良・斑鳩1Day」を提示すると、「途中から追加料金になります」と言われ、なる

ほど加茂は京都府だったと納得。終点に到着すると、運転士から「最後に降りて」との指示が

あり、精算に時間が掛かるのかな、と待っていると「今日はこのまま降りてください」とのこ

と。「今度からは気を付けてください」と言われたが、高齢の母とふたりだったので見逃して

くれたようである。片道670円となかなか高かったので、びっくりしたものの感謝してバスを

降りた。ありがたい。

 

 

 

加茂駅で待ち合わせの叔母と会い、車で叔母宅へ。当初の予定からはだいぶ遅くなったが、そ

れでも何とか14時前には訪問できてよかったかな。前日は叔父の命日でまずは仏壇で手を合

わせ、その後、遅い昼食を叔母用意の上寿司で堪能、久々の顔合わせで話に花が咲いた。

 

ひとり暮らしの叔母も今年は89歳になる。近くに弟や妹がいるが、やはり心配である。時間を

見つけて会いに来るようにしたいものである。夕方5時過ぎに電車の時間に合わせて辞去、加

茂駅から奈良駅に電車移動、その後はバスで近鉄奈良駅まで行き、なんば線直通で帰宅した。

「奈良・斑鳩1Day」チケットが2,100円、実際の金額が往復で同額、JR奈良駅~近鉄奈良駅

250円、奈良市内250+250円で750円お得も、JR加茂駅~JR奈良駅往復480円、バス片道670

円の1,150円で実質400円損(ただし、今回は670円のバス賃はおまけだったので結果270円

得。タクシー代は別)ということになった。午前中の「JR奈良駅~JR加茂駅」の時刻合わせが

出来れば、今後は便利に使えるだろう。

 

 

 

という訳で、遅ればせながら1月から4月までを駆け足で書き記した次第である…やれやれ。

 

 

 

 

 

 

2023年も大晦日を迎え、明日は新年に改まることとなった。毎年のことだが、一年の終わりと

なると、やはり感慨深いものがあるかな。という訳で「2023年の十大ニュース」を選んでみた。

 

①阪神タイガースのリーグ優勝&38年ぶりの日本一制覇…人生のほぼ全ての期間に渡る西宮市

               民のひとりとしては、何といってもこれに尽きる。久々にほ

               ぼ一年、阪神タイガースでプロ野球を堪能した次第である。

 オリックスファン(生粋の阪急ブレーブスファンで、そのまま応援している)の友人とは、

 日本シリーズの勝者がどちらか賭けをしてみごと勝利! 洒落で「3800円のご褒美」をご馳

 走になった。

 「来年こそはオリックス!」と気炎を上げる友人には「では、200円で奢りますよ」と止め

 を刺して長年の溜飲を下げ、「タイガース特集」で大晦日まで楽しんだ。

 阪神タイガース万歳! 本当におめでとう&ありがとう!

 

①藤井聡太八冠達成!…全国的にも大ニュースだろう。将棋は全く判らないのだが(^^;)、

           若き天才の可愛さにぞっこんで応援することに。これからもますます

           楽しみである。

 

③~⑥びっくり続出。体の異変…これまでに書いたように、隠れ虫歯、白内障、昨年末の健診

               結果の不良=肝臓数値初の三桁にHba1c7.2、原因のひとつ

               でもある体重の激増とここだけで4個の大きなニュースにな

               った一年だった…orz。

 

⑦絶賛ダイエットに突入…その結果が「絶賛ダイエット」である。瞬間的には80㎏の大台に乗

               るほどで、78㎏からダイエットを始め、耳つぼダイエットを

               皮切りに、水中ウォーキング、糖質制限とプロテイン摂取&

 食事改善、痩身エステ、自宅での筋トレ、痩身サプリ、カーブスでのジム運動と現在も継続

 中ながら、耳つぼダイエット最初の2ヶ月の4㎏減が最大の成果という有様。

 

⑧耳つぼダイエットを始めてHba1c8.6に急上昇、肝臓数値三桁から改善なし…しかし、3ヶ

               月目から全く体重が減らず、4ヶ月終了時に数値が急激に悪

               化したため、5ヶ月目の契約を打ち切り、かかりつけ医を受

 診、糖尿病の薬を服用することに(トホホ)。耳つぼダイエットを終了したせいか、12月半

 ば現在、Hba1c6.8、肝臓数値も以前とほぼ同様にまで落ち着き、まずまず安心することが

 出来たのは僥倖だったかな。体重の減少については継続中で目標は65㎏。現在は73~74㎏

 を何とか維持している。

 

⑨生ごみ処理機「ルーフェン」を購入…毎年、何かしら家電を購入したりしているが、今年だ

              けでない大ヒットはこの家電である。生ごみも2人分で多くは

              ないが、これまではやはりゴミ箱の生ごみ臭に悩まされていた

 のが、比較的短時間(3時間程度)でみごとにカラカラに乾燥、量的にも臭い的にも激減し

 た次第。圧倒的にお奨め出来る家電で、★★★★★、快挙の★5。

 

⑩人生初めての投資を始めてみた…TVCMが契機だが、三井住友銀行の「Olieve」が始まり、V

                ポイントの大盤振る舞いがともかく魅力的でかつクレジット

                カードでの投資がネット証券で簡単に出来るとあって、年明

 けには年金世代に突入する身としては切実感に迫られての決断。まあ、初年度年会費無料のゴ

 ールドカードの時間外や他行振込手数料無料、初年度100万円のカード利用での10000ポイン

 トの付与など使い勝手の良さがが魅力的だったことに尽きるのだが(^^;)。

 肝心の投資と言えば、新NISAでの積み立ては「オールカントリー」一本、その他不動産クラ

 ドファンディング投資のオルタナバンクと、cozuchiにも短期の出資を少々、という処。

 新NISAの結果は15~20年後、オルタナバンクとcozuchiは期間ごとになるが、それなりにう

 マくいってほしいものである。

 

番外⑪カメムシの大発生…自宅はマンション7階、周囲に緑は少ないのだが、7月の猛暑とと

            もに何故かカメムシが大量に襲来、共用の外廊下の壁や天井にびっ

            しり張り付く事態に。多い時は200匹ぐらいいただろうか。距離が

あるので、特に悪臭などはなかったが、見た目に気持ち悪く、再々管理人に申し出、清掃をお

願いした。寒くなると、途端にいなくなったが、今から来年の夏が心配である。      

 

 

 

 

というような個人的な「十大ニュース」になったが、ともかく体、健康に関することでの出費が

激増した一年だった。とはいえ、医療保険2本で白内障手術に計32万円が出たので、大半は賄

えたのは大きかったかな。まずまず去年の状態に戻りつつあるので、来年も継続して、目標まで

頑張りたいものである。2023年、一年お疲れ様でした。2024年がいい年でありますように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2023年も12月となり、今年も残り30日を切った訳だが、日記的ブログなので追いかけて

書いている次第。まあ、うだうだ長くならないので、それもまたいいかな…というのは言い

訳だろうか。内心、忸怩たる思いだが、7・8月の音楽鑑賞の話である。

 

 

コロナ禍以来コンサートから離れている感があるが、そんな中、毎年開催の「村越デュオ」

が楽しみである。ピアノとヴァイオリンの姉妹デュオのおふたりは、元上司のお嬢さん方

なので、当時の勤務仲間との久々の邂逅の喜びもまた一入。

 

 

ただ、今回はピアノソロの小さなコンサートと、姉妹でのデュオとの2回なので、少し物

足りなかったかも…。

 

 

 

 

 

 

 

さて、最初が7月20日、大阪倶楽部での「第244回 クラシックファンのためのコンサー

ト~村越知子 ピアノリサイタル」で、こちらは無料のコンサート(賛助金によるもので

毎月第3木曜日に開催。ただし、開催日に変更もあり。定員150名。事前予約なし)。

 

今回は使用で友人たちが集まれず、母とふたりでの音楽鑑賞になった。プログラムは全曲

リストで「ペトラルカのソネット123番」「ラ・カンパネラ」「ソナタ ロ短調」とアン

コールにドビュッシーの「月の光」という有名どころのラインナップである。

 

 

 

「ペトラルカのソネット123番」の詩は、地上で天使の姿を見たというくだりから始まり、

恋の甘美さを歌ったもので、詩の内容通りの穏やかで優美な曲。リストのこれでもか、と

いうような超絶技巧は目立たないので(もちろん易しい曲ではない)、夢心地で聴かせて

いただけて上々。

 

「ラ・カンパネラ」はあまりに有名な曲で、コンサートピースにしばしば取り上げられる

が、それだけに「聴かせる」には至難、技術的には超絶で、しかも演奏の好みが別れると

いう意味でも難曲である。テンポがやや遅めで始まり、技巧的というよりしっかり聴かせ

る演奏で、こちらも上々。

 

「ソナタ ロ短調」は初視聴。リスト唯一のピアノソナタだが、前衛的ともいえる曲調で

その構成の複雑さから、当時は「支離滅裂」と酷評されたとか。オクターブの連打、交差

トリル、フーガなどあらゆるピアノ演奏テクニックがこれでもかと詰め込まれた難曲で、

「鍵盤の魔術師」と呼ばれたリストの面目躍如たる名曲だろう。曲の世界観に圧倒されて

聴き終えたが、初視聴のため「お見事」としか言いようがなく、申し訳ない次第(^^;)。

 

アンコールは打って変わって、こちらも有名なドビュッシーの「月の光」。彼の代表曲

とも言われるほどで、繊細で美しい曲調だが、元の題名の「感傷的な散歩」にある「感

傷的な演奏」はしつこい感じになりやすい。もちろん演奏は感傷的ではなく、むしろ前衛

的にすっきりしており好感。まとまりのいいプログラムの構成の妙もあり、★★★☆☆、

★4に少し届かずという処かな。

 

 

 

 

 

コンサート後は、梅田でお気に入りの「福ずし」さんを目指したが、何とホワイティ梅田

は全休でがっくり。2ヶ月に一度の定休日は水曜だったはずだが、いつの間にか木曜に変

更していたらしい。という訳で、この日は梅田食道街の「新喜楽」さんに久々に立ち寄る

ことに。私は「鴨鍋定食」、母は「刺身定食」を頼んだが、私より多い量の定食をぺろりと

平らげた母には少々驚かされた。9月に93歳になる母の健啖ぶりはある意味みごとで、★

なら五つでも足りないかもしれないかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、続いては毎年恒例、「夢詩歌~村越知子&村越伸子 Duoコンサート」。箕面メイプ

ルホールで、今年の開催は9月1日。この日も3人の友人のうちひとりが有休を取れず、残

念ながらコンサートの参加はふたりで。夕方からは時間があるとのことで、箕面での会食を

予定しての集まりになった。

 

1年ぶりの同年の友人とは自身や家族の健康問題がまず話題になり、60歳代前半らしい話に

始まり、勤務先での厄介ごとなどで同病相哀れむ雑談に花が咲いた。お互いまずまずで、まあ

胸を撫でおろしたような次第である。

 

 

 

 

今年のプログラムは、アンケートからリクエスト曲を考慮した構成で、前半はエルガー「愛の

挨拶」、フォーレ「シチリアーノ作品78」、リスト「ペトラルカのソネット123番/ラ カン

パネラ」、バルトーク「ラプソディー第一番(フォークダンス)」。

 

休憩をはさんで、後半はデ ファリャ「歌」、ショパン「エチュード『革命』作品12‐10」、

ガルデル「Por  una  cabeza」、ドボルザーク「ピアノとヴァイオリンのためのソナチネ ト

長調作品100」とヨーロッパ各国と南米の音楽家たちの国際色豊かな構成である。

 

 

 

 

まずは、軽い口当たりの良い食前酒と小前菜のような「愛の挨拶」。コンサートの口開けや、

アンコール曲としても好まれる有名曲で、耳に快い演奏ぶりが好感。続く「シチリアーノ作

品78」は瀟洒で本格的な前菜という処。フォーレの代表曲を嫋々と聴かせて◎。

 

「ペトラルカのソネット123番/ラ カンパネラ」は7月のコンサートでも披露されたが、

テンポやトーン、速度を変えての工夫ある演奏ぶりでじっくり聴かせて上々。定番のスープ

に薬味を加えたひと工夫が嬉しい。「ラプソディー第一番(フォークダンス)」は力強い不協

和音と独特の民族音楽のリズムのバルトークらしい曲で、見慣れない魚を用いた最初のメイン

料理という処だろうか。

 

「歌」はメランコリックな美しく繊細な名曲。口直しのシャーベットにぴったりのしっとりし

た演奏にうっとり。「エチュード『革命』作品12‐10」は対照的に激しい難曲。どっしりした

パンのように噛み応え充分の貫禄ある堂々たる演奏ぶりがよかったかな。

 

続く「Por  una  cabeza」はタンゴの名曲。ボディのしっかりしたワインのように芳醇な香り

に満ちあふれた二重奏を堪能した次第。最後の「ピアノとヴァイオリンのためのソナチネ ト

長調作品100」は初視聴。作曲家自身のふたりの子どもに献呈されたとかで、音楽的にはアメ

リカ・ネイティブの民謡や黒人霊歌、現代的なシンコペーションなどを取り入れた異文化の

音楽であり、いわばジビエの肉料理のよう。あまり演奏の機会のない曲らしく、経験のない

音楽で締めくくった構成が意欲的だったかな。

 

アンコールにドボルザーク「わが母の教え給いし歌」。元は歌曲だったのを、クライスラーが

二重奏曲に編曲、その後美しい旋律で人気を博し、有名にもなったとか。癖のない豊かな風味

のチーズのようで、アンコール希望の人たちも満足だったのではと思う次第。

 

最後は「浜辺の歌」を久々に全員で声に出して歌い、自家製デザートのように素朴な味わいで

コンサートは終了。意欲的な内容に、★★★☆☆、★3.5とは少しからいだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

コンサート後、残る友人との待ち合わせに「ピッツェリア エ トラットリア アーラ 」へ。

大阪の名店「ポンテヴェキオ」で修業したシェフが開業したお店とかで、少々お高いが味は

お墨付きとのこと。前菜、ピッツァ、パスタを3人でシェアしながら、久しぶりの邂逅に話が

弾んだ。デザートはそれぞれ注文して、いずれも美味。★★★☆☆、★3少々。値段の割に、

少し量が少ないのが減点ポイントという処かな。

 

 

 

 

年の近い友人たちとは、親や自身の現況、年金の話など現実的な話も交えての歓談になったが

それぞれ元気なのは上々だろう。また来年も変わらず集まれればいいね、と言い交わしながら

の散会となった。年々歳々、変わらずいたいものである。

 

 

 

 

 

2023年もあっという間に11月に。殺人的な酷暑の7、8月、同じく強い残暑の9月から一転

して秋の涼しさの10月になったかと思うと、「戻り残暑」で夏日復活の11月と季節は慌ただ

しく移り、精神的な落ち着きを取り戻せないまま、年末まで2ヶ月を切ってしまった。

 

ブログの更新もそのままで、気になってはいたが、なかなか手を付けられず、とりあえず書

いて置こうと思った次第である。

 

 

 

慌ただしい中にも歌舞伎観劇や音楽鑑賞などに結構出掛けていて、うろ覚えの記憶をたどりな

がらだが、まずは7月から始めてみよう。

 

 

 

まずは夏恒例、松竹座の「七月大歌舞伎」。去年は急な休演で仁左衛門丈を見逃し、悔しい思い

をしたが、いろいろあってチケットの手配が出来ず、未練がましく「おけぴ」をのぞいてみたら、

二階一列の良席が2枚、お値引きの出品があり、思わず飛びついて購入したのが7月3日のこと。

 

日時が切迫していたので、出品者様と直接お会いしての取引は、全くの初対面ながら歌舞伎談義

で盛り上がり、嬉しい出会いで望外の幸せを味わった。その後、やはり昼の部もと思い立ち、こ

ちらは節約して2等席ながら、二階6列33、34番が獲れ、どちらも満足なお座席確保となった。

 

 

 

 

 

まずはお譲りいただいたお席で、8日の夜の部からの観劇である。

 

口開けは「俊寛」。仁左衛門丈では初見。丹波少将成経の幸四郎丈が「ドラマチックで、人の

心をわしづかみにするような感動を与える俊寛」と評したのはさもありなんと思わされる圧巻

の出来映え。平判官康頼の橘三郎丈は手堅く、瀬尾の弥十郎丈は高身長もあって、威圧的で

憎々しく上々。千之助丈の千鳥は可憐(孝太郎丈は配役されず、がっくりしたとか)。 丹左

衛門尉基康の菊之助丈はりりしく、きっぱりした風貌、立ち居振る舞いが目の覚めるようで

適役。すっぽんを水の深みに見立てた演出もよく、★★★★☆、堂々の★4.5。

 

 

 

 

 

 

続く舞台は「吉原狐」。めずらしい演目で、1961年に十七世勘三郎丈のおきち、八代目幸四郎

丈の三五郎で初演。二度目が2006年で、福助丈のおきち、三津五郎丈の三五郎に、貝塚采女で

当時染五郎の現・幸四郎丈が演じ、今年が三回目で17年ぶりの公演だとか。

 

米吉丈のおきちは気が強いのにうっかりで、落ち目の男に惚れっぽくて失敗する、厄介だが可

愛い女を演じてぴったり。おきちが惚れる瞬間には、シャリンと鈴の音がなって、ピカっと照

明が当たり、おきちの手が狐手になるので、会場が大ウケ(これは、幸四郎丈と鴈治郎丈が共

演した他の芝居での演出と同様だが、令和の味付けで判りやすく、良しとしておく)。 

対する三五郎の幸四郎丈は父親役には難のある若見えで、うまいのだがやや見劣りして残念。

先輩芸者・おえんの孝太郎丈はハマリ役で上々(やはり千鳥は千之助丈に譲ってよかったか

と)。

高慢な上客・貝塚采女の染五郎丈は線が細くまだまだという処。舞台で顔を作ると美形ぶりが

際立たないのも残念。化粧の工夫も必要かな。

三五郎といい仲ながら、おきちより年下の下女・お杉の虎之介丈は生真面目さが際立って面白

いが、きんきんした声の調子は少し強すぎたかも。

采女と芸者を取り合う上客・越前屋孫之助の隼人丈は大富豪同心さながらの軽さでまあまあ。

相手が染五郎丈なので、少し控えたのかな。その他、遣手おつるの吉弥丈、女将の扇雀丈、

旦那の遠州屋半蔵の鴈治郎丈が脇を固めて手堅い。抱腹絶倒の舞台で、★★★★☆、大満足の

★4。

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、忙しくも翌9日、またまた母と揃って昼の部の観劇である。

 

口開けは「吉例寿曾我」。今回は「鶴ヶ岡石段」「大磯曲輪外」の公演。初見。冒頭、隼人丈と

虎之介丈との立ち回りが新鮮。華やかで見映のいい立ち回りの最後には、石段がふたりをのせた

ままぐるっと「がんどうがえし」という大掛かりな見せ場もあり、秀逸。

 

続く「大磯曲輪外」では大きく描かれた富士山を背景に、緋毛氈の床几に腰をおろす工藤祐経、

華やかな傾城・大磯の虎、化粧坂少将、喜瀬川亀鶴に、朝比奈三郎、秦野四郎国郷、茶道珍斎ら

が居並ぶ処へ、曽我五郎と曽我十郎がやってきて…という祝祭的な美しい舞台。

 

祐経の弥十郎丈は威厳あって適役。曽我兄弟は十郎が千之助丈、五郎が染五郎丈と若いふたり

で花のような美しさ。大磯の虎は米吉丈の可憐な女形ぶりで上々。朝比奈の亀鶴丈がきりりと

締めて、一幅の絵のように収まった。取り立てて筋書きのない舞台だが、歌舞伎らしい一幕で

★★★☆☆、めでたく★3.5。

 

 

 

 

 

二幕目は大曲「京鹿子娘道成寺」。菊之助丈渾身の舞踊で嫋々と美しい。道成寺物の緊張もあ

り、きりりと引き締まった舞台で上々吉。途中、「手ぬぐい巻」で会場が湧くなど★★★★☆、

魅惑の★4。

 

 

 

 

 

最後は名作「沼津」。上方歌舞伎らしく、平作を鴈治郎丈、娘・お米を孝太郎丈、十兵衛を扇

雀丈で固め、池添孫八を幸四郎丈が付き合っての見ごたえある舞台。最近老け役の多い鴈治郎

丈はニンにあってまずまず。欲を言えばもう少し痩せて欲しい処。孝太郎丈は人妻らしい風情

で上々。扇雀丈は亡父・藤十郎丈ほどの上方らしさがないのは残念だが、男前ぶりや親思いの

姿はなかなかの出来。ほぼこの三人の芝居なので、池添孫八の幸四郎丈は目立たず、損なお役

だったかも。

お約束の一階客席一巡りで、客席はにぎやかに盛り上がり、その後は一気に深刻な現実に突き

進み、最後はたっぷりの愁嘆場で終わるが、親子の情愛の深さがしみとおる。★★★★☆、

地味ながら★ほぼ4。

 

 

今回の「七月大歌舞伎」は昼・夜とも良く、大満足の観劇になった。やはり生の舞台はいいも

のである。という訳で、引き続き8月も観劇に足を運ぶことにしたような次第である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お次は「南座特別公演」ということで、玉三郎丈と愛之助丈との「牡丹灯籠」の観劇。こちら

ももちろん、母とふたりでの揃い踏みである。

 

今年、玉三郎丈と愛之助丈のペアはこれで三回目。こなれてきたこともあり、また今回は庶民

の貧乏夫婦という役柄のせいか、不釣り合いさはほぼ解消されて、まずは上々という処。今回

は「圓朝噺」ではなく、文学座でも演じられたという「大西信行本」での上演とのことで、怪

談味は薄く、その分「生きている人間の怖さ」に焦点が当たっている。

大筋「圓朝噺」と同様だが、「土手の場」での「お峰殺し」はなく、関口屋内での夫婦喧嘩の

末の「殺し」に変わっていて、どこまでも「世話物」の雰囲気たっぷりの「新版・牡丹灯籠」

である。

 

 

玉三郎丈のお峰は既に手に入ったお役で万全。最後の夫婦喧嘩では、心の丈をここぞとばかり

ぶちまける糟糠の妻を面白可笑しく、また哀れにも演じてみごと。対する愛之助丈は、どこか

ふらふらと定まらず、幽霊に丸め込まれて心ならずも恩人を見殺しにする手助けをし、幽霊か

らの百両を元手に始めた商売が軌道に乗ると、妻の寂しさを顧みることを忘れて、酌婦に溺れ、

遊びがバレた妻の小言に勢いあまって殺してしまう底の浅い夫を丹念に演じて、こちらも上々。

 

ほぼこのふたりの芝居だが、新三郎の喜多村緑郎丈の男前ぶりや、乳母・お米の吉弥丈の不気

味な妖しさ、妖婦・お国の河合雪之丞丈のあくどい色っぽさなど、脇もきっちり固めての舞台

は上出来。★★★★☆、貫禄の★4という処だろうか。

 

 

それにしても、この日の京都の暑さは格別で、外はまるで高温のオーブンの中のような高熱の

空気で、南座を出るなり、「怪談噺」のぞっとした雰囲気がふっ飛んでしまった。暑さゆえの

狂気もまたありかも、と思いつつの帰路であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続いて9月。こちらは「おけぴ」で見つけた二階席2列・3列2番縦並びの良席につい食指が

動き、千秋楽前日の23日にぎりぎり飛び込みでの「新・水滸伝」に母と出掛けた。

 

折しも、澤瀉屋は猿之助丈の醜聞で存亡の危機的状況だが、8月公演を何とかしのぎ切り、今

回は8月同様、中国四大奇書のひとつ「水滸伝」を下敷きに誕生した『新・水滸伝』を南座での

大舞台。エンターテインメント満載、息つく暇なしのスピード感あふれる展開で、東京・歌舞伎

座でも話題を呼んだが、猿之助丈を欠いての舞台にはやはり一抹の不安が観るこちらはありあり

である。

 

 

 

 

冒頭、團子丈演じる彭玘が、朗々と悪人を打ち取る旨の口説の後、隼人丈演じる林冲の立ち回り

が華々しい。林冲を一途に慕い、最後まで信じて死ぬ若人を團子丈が生き生きと演じて上々吉。

数多の罪に問われ、生きる目的を失う失意の林冲が酒に溺れながらも、梁山泊の仲間を救い、 

高俅への憎しみに自分を取り戻してゆく様を丹念に演じる隼人丈が秀逸。大凧「飛龍」での宙乗

りも迫力満点で、二階席を堪能させていただいた。猿之助丈の事件の折り、力強いメッセージを

発していたが、以降、覚悟が定まったのか、一皮も二皮も向けた印象で頼もしい限り。今後の活

躍が本当に楽しみである。

 

 

 

梁山泊の頭・ 晁蓋演じる中車丈はどっしり腰の座った頭首ぶり。歌舞伎界に飛び込んでわずか

12年、真摯な努力を営々と積み重ねて、世話物や新作歌舞伎ではなくてはならない歌舞伎役者

に到達してみごと。姫虎(このネーミングはどうか)の笑三郎丈、悩める暗殺者・青華の笑也丈、

公孫勝の門之助丈と「二十一世紀歌舞伎組」の面々が脇を固めて手堅くなかなか。特に夜叉を演

じる壱太郎丈と山賊上がりの王英を演じる猿弥丈のコミカルな掛け合いは会場の笑いをさらって

大いに盛り上げた。

 

梁山泊の若者、李逵・張進を演じた福之助、歌之助兄弟もいきいき元気いっぱいで花を添え、何

よりずる賢い悪人・高俅を演じた浅野和之氏の上手さが、林冲との対比を際立たせてみごと。

 

舞台は荒山と崖(に見立てた鉄骨の橋と階段)のみだったが、ともかく衣装が華やかなのでちょ

うどよく、そこへ大音響の現代音楽やツケが入っての立ち回りは派手だが、きりりと引き締まっ

て息もつかせぬ迫力ぶり。猿之助丈の不在を感じさせないどころか、猿之助丈の登場するお役が

ないと思えるほどの圧巻の舞台で、★★★★☆、応援も込めて★4.5。

 

前回の南座観劇から一ヶ月、まだまだ残暑が続いてはいたが、8月の殺人的な酷暑はさすがに終

わっていて、ホッとしながら澤瀉屋の「熱い舞台」に明るい未来を思いを馳せた次第である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さてさて、友人のお誘いで、團十郎丈の襲名を巡業公演でという話になり、10月25日に大阪フェ

スティバルホールへ出向くことになった。チケットの売り出しが平日だったため、やっとサイト

を開いてみれば、S席は完売、A席も空きがちらほらという有様。ともかく、一日のみの公演な

ので、頑張って探したみた処、2階最前列の57、58番をゲット。フェスは元々音楽ホールで広さ

が半端ない。歌舞伎観劇には少々つらいが、それでも中途半端に1階の後方よりはましかと友人

には謝り、午前中は業務をこなして、午後に待ち合わせたが、5分前の滑り込みセーフになった

次第。

 

 

 

 

口開けは歌舞伎舞踊「君が代 松竹梅」から。松の姫を児太郎丈、竹の君を廣松丈、梅の君を莟

玉丈と若い三人揃い踏みでのめでたい舞踊である。長唄の歌詞からは、松竹梅それぞれ女君らし

いが、今回は竹と梅は貴公子を当て、美しい祝祭的な趣きらしい。ゆったり緩やかな踊りでほの

ぼの美しい。襲名披露を寿ぎ、めでたく舞い納めて、★★★☆☆、★3という処かな。

 

 

 

 

続いては「口上」。先代團十郎丈と同い年で、子供同士も同い年という梅玉丈が身内のような親

しさで口上を述べ、團十郎丈が答えて、無事お開き。

 

 

 

 

 

 

30分の幕間の後、眼目の「毛抜」である。團十郎丈では初見。「歌舞伎十八番」中でもおおら

かな芝居で、その加減が難しい演目。先代團十郎丈は明るく、おおらかな久米寺弾正だったが、

さて、新團十郎丈はいかに、とドキドキで拝見したが、これがなかなかの出来で嬉しくなった。

先代の明るさ、おおらかさとはすこし性質が違うが、「実は切れ者」の切っ先がオブラートに

包まれて嫌みがない。口跡も先代よりすっきりとまとまって上々吉。

 

右團次丈の八剱玄蕃は悪人がよく似合い、きっぱりした口跡が心地よい。九團次丈の秦民部、

廣松丈の秦秀太郎はともにまずまず。児太郎丈の巻絹は若い腰元らしく愛らしく、場慣れ感が

なかなか。市蔵丈の小原万兵衛は野卑さと片棒担ぎの無責任さがうまい。莟玉丈の春道はいか

にも頼りない若君でまあ及第点かな。春風公の梅玉丈はどっしりとゆるぎない。ほぼ同年代の

菊五郎丈、白鷗丈ともに最近は体調不良気味、吉右衛門丈、先代團十郎丈は既に亡く、やや年

下の仁左衛門丈も体調に不安ありとベテラン勢も勢いがなくなりつつある中、一層頑張ってほ

しいものである。★★★★☆、安定の★4.5。

 

 

 

 

 

「毛抜」「助六」と観てきたが、「勧進帳」はぜひ観たいし(出来れば、弁慶と富樫をWで)、

「切られ与三」「暫」も観てみたい。今年の顔見世は「助六」「景清」「男伊達花廓」と新之

助丈の「外郎売」だが、「助六(揚巻に玉三郎丈と極上)」と「男伊達花廓」は観ているし、

値段(一等席25,000円、二等席12,000~10,000円)を考えても、なかなか食指が動かない。

 

最悪、来年「松竹座」もあるし、こちらは「あっと驚く演目を」との口上挨拶にもあったので、

そちらにしようかと思案中である。さてさて、どうしようかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

という訳で、以上が今年7月、8月、9月、10月の「観劇お楽しみ編」である。團十郎丈の

襲名披露公演は来年10月の「松竹座」まで続くし、それ以外にも公演は多々ありそう。懐具合

に目を瞑っての観劇になりそうだが、やはり舞台は観てみたい。流行りの「推し活」もなかな

か大変と思う次第。