もう十年ぐらいほとんどテレビ見てないので(そもそも家にテレビがない)、年末年始に身内のところでちょろっと見るぐらいしかない私なので、ドラマどころか好きなお笑い系の番組すらYouTubeで済ましている人間です。

それにしても、今テレビないと生きて行けないみたいな人ってどのぐらいいるんでしょうね。

 

漫画家の芦原妃名子先生が儚くなられた原因は、「セクシー田中さん」ドラマ化の件で、脚本家の方の「原作者」へのリスペクトの欠片もない煽りとも思えるひどい発言をSNSでされたからという説が主流のようですが、これも実際はどうあれ比重としては割とあるのではないかと思います。

 

ただ日テレや小学館とのやり取りも、ちゃんと芦原先生の意向(まだ未完で連載中のため原作に忠実にすること、最終二話に関してはセリフも展開もこちらの意見を取り入れる)が伝わっているのかも、契約書に記載があるのかも当事者でないので分かりません。

ただ初回から色々とラブコメ方面に舵を切ろうと展開を変えたりしている、という話で芦原先生も色々と修正をしていたようですよね。

私は見ていないのでこの点は何とも言えないのです。

 

ただ、連載中の漫画家ってとにかく時間がないんですよ。

デジタルだってそうだし、アナログならもっとです。

それを本人の意向を無視して突っ走られたら、作者としては読者のためにも何とかしないとと思うでしょうし、睡眠時間削ってでも直したりすると思うんですよね。だって自分の作品めちゃくちゃにされたくないから。

だから精神的にも肉体的にもしんどかっただろうなと想像します。

脚本が素人だろうが、原作をないがしろにされるならば私が守らないと、と思う漫画家、作家はいるんです。

 

でも、勘違いしないで欲しいのは、メディアが違えば完全に別物として扱って構いませんよ、という方もいるんです。

全くの別物になったところで気にしない、だって直接原稿を書き直される訳じゃないから、ってことですね。

ですからすべてのクリエイターが原作改変をNGとしている訳ではないと思います。

 

ただし、どちらに転ぼうとも「原作者の意思」が最優先である訳で、その意思を無視して好き勝手にやられてはたまったものではありません。

漫画家、作家に限らず、作品の本来の所有権を有する人間が尊重されるべきです。されなくてはならないんです。

 

例えばあなたが裁縫が好きで、好みのデザインでお気に入りのワンピースを作成したとします。

「それ可愛いから貸して♪」

と言われて誰かに貸したら、戻って来たら勝手に「こっちの方が可愛くなると思ったから」とレースをくっつけられたり、スカートの丈をミニにされてたり、果ては染色までされて別の色になっていたらブチ切れませんか?

 

要は「自分のものでもないものを、所有者の許可も得ずに勝手にどうこうする権利はねえだろが」なんです。

 

改変しても構わないという人もいれば、変えないでくれという人もいる。

どちらであろうと、その意思を尊重しないのなら相手を見下しているということだし、尊厳もクソもないんです。

 

私もコミカライズに対しても大きな改変はされたくないタイプなので、芦原先生の気持ちはとてもよく分かります。

 

ここで、とても不思議なのは、テレビ媒体ってそんなに今も重要な位置づけなのか、って話です。

まあ実際に私が見てないですし、ドラマとかも興味がないので一方的な価値観になるんですけども、昔は娯楽がそこまで多様化してなかったので紅白だって50%を越える視聴率だったり、ドラマも人気があるものは30%越えだとかあったと思うんですけど、今そこまでの注目集めるものってありますか?

 

今世の中不況と言ってもいい状態だし、若い子たちは動画ぐらいしか見ないって子も多い。

実家出てたら金銭的にもゆとりがなくてテレビなんて持ってないみたいな子もいます。

「別に見ないし」

「つけててもだらだら流しているだけでまともに見てない」

みたいな人も沢山いると思います。

 

ドラマ化してやる、みたいな尊大な態度で来られる立場なのかなと。

実際に視聴率は大爆死する可能性もありますしね。

原作者にとってもイメージダウンになる可能性もあるでしょう。

原作ありき、で話題を取ろうとするなら原作者の意向に沿えと思うのは間違いですか?

 

個人的な考えですが、

「オリジナル脚本でもないのに何で脚本家も偉そうなんだろうか」

とか思っちゃいますしね。

要はAI絵師とか言っている人みたいに、自分で描いてもないのにアーティスト気取りの人みたいじゃないですか。

あれは他の絵師さんが時間を掛けて描いた絵を勝手に学習して取り込んで、アウトプットしたのをいじっているだけですから。

少なくとも私はAI絵師を絵師とは思えません。AI加工者です。

だって多分紙とペン用意して、あなたが自分の作品だというこれと同じの描いて下さい、って言われて描ける人まずいないでしょう。

似たり寄ったりの絵柄も多いですしね。

 

まあAIの件はおいといて。

今後、ドラマ化だの映画化だのに関してはきっちりとアウトライン決めて、原作者の意思最優先で契約書を作らないと、今回のようなことになりかねません。

前にも「海猿」や「いい人。」など原作者の意思を無視した制作をして揉めた件もありますしね。

 

物書きも漫画家も基本的に孤独な作業です。

出版社や相対する企業が敬意をもってクリエイターを守って行かないと、今後このような悲劇はなくならないと思います。

 

小声でぶっちゃけると、原作がある作品については

「プロデューサーや脚本家が変わってもなーんも困らないけど、原作者は替えがきかない」

のだと私は思っています。

だから、何がそんなに偉いんだろうなあ、と。

正直私は実写化アニメ化云々は(そこまで売れてないですから話もないですが(笑))、別にどうでもいい立場です。

芦原先生のように後から約束を反故にされるなら最初からない方がいいし、ぽしゃっても困らないです。

だって話がある時点でそこそこ売れてる訳でしょう?

別にそれ以上求めなくてもいいかなあと。

ストレスになる方が嫌なので。

 

髪も若い頃に比べて薄くなって来てるんですから、メンタルは労らないと( 一一)

ただでさえ今回の件でモチベーションを上げようにもなかなか上がらない状態なのに。

一面識もない人間ですら、同じクリエイター業界の人間として本当に辛いんですよ。

身近にいた方はもっとお辛いだろうと思います。

 

芦原先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。