今月いまだ無職続行中の切ない物書きでございますこんにちわ。いやあ、本当に失業手当貰う現実が見えて参りました。困ったもんです。


という訳で、本日のお題。


YouTuberや漫画家になりたい人、小説家になりたい人、その他クリエイティブ業と呼ばれる職業に就きたい方は多々いらっしゃいますよね。


私もそうだった上に、今年になって一応書籍を出して頂いた【商業作家】という枠組みに爪先だけ足を入れたような人間ですから、お気持ちは大変良く分かります。


ただ、少し期待を持ちすぎ問題と言うのがこの界隈には常にございまして。


それは「専業で生きていけるのはごく僅か」という現実が見えてない方が結構いらっしゃるんですよね。

プロになれば周りにも自慢できるしお金も沢山入るよね、と思っている方も多そうです。



漫画で言えば、誰もが「鬼滅の刃」のように何百万何千万部と売れ、アニメ化やらグッズやらで生涯賃金を叩き出せる訳ではありませんし、ライトノベルなら「ソードアートオンライン」や「転生したらスライムだった件」(転スラ)、「破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった」(はめフラ)や「薬屋のひとりごと」のように1000万部、2000万部超の発行部数を誇りアニメ化もされる、なんてのは一生かかっても無理な人が大多数です。運にも左右されます。


私は小説関連の事情しか知りませんので、そこだけお話ししますが、ネットなどで出ているので大抵の方がご存じのように、印税と言うのは出版社によって違います。


ざっくりと言えば、大体紙だと10%前後、電子だと15から20%というのが作者の収入になります。勿論ここから源泉徴収なんか持っていかれます。

そして、出版社が実売部数なのか発行部数なのかによっても変わります。


発行部数制の場合は、最初から初版××××部と決めて、発行する際にどれだけ売れたかに関係なくまとめて振り込まれますし、増刷される場合も1000部単位ですので、ある程度まとまった額で振り込まれます。


実売部数制であれば、出版社に売り上げが上がって来てからになりますので、発行後かなりの日数がかかります。(下手すると半年後とか)ただ地味に売れていれば、チマチマと毎月お金が入ってくる形ですね。

売れていれば、ですけども(笑)


で、新人なんていうのはまあよほどの話題作でもなければ、初版は一万前後の部数と相場が決まっております。3000、5000部なんて話もざらにあります。


一般的な数字でざっと計算してみましょう。


新書1200円の本で印税10%とすると1冊売れたら120円、発行部数での換算で120×5000部なので、5000部でも60万円(税込)です。

数ヵ月の校正や加筆修正を経て、ですからね?

文庫になれば700円前後×10%×部数計算がプラスです。

もし電子書籍にもならず増刷もかからなければ、これでこの本の収入はおしまいです。

最近の出版業界はコロちゃんの関係もあるのか電子書籍は流行りなので、電子の方が売れるという場合もありますから、電子出ないのはレアケースかとは思います。


コミカライズでもされれば書籍化で何%かは入るでしょうが、漫画家さんの方が当然印税率は高いですからこれも売れなければ微々たるものです。


これだけの期間がかかって、年に何冊も出せればそこそこいい収入になりますが、これも元からWeb連載していてある程度の物語が出来ている、完結している、公募に出すために書き終えていた場合です。

それをただ直す、修正をするだけでも数ヵ月の期間がかかります。

年に4冊も5冊も出せる人なんてそうそう居ません。


大体新人に1から書き下ろしの依頼をするなんて出版社はないでしょうから、ある程度の持ち玉(作品)を持ってないと話にもなりません。

年に2冊3冊コンスタントに出せたら、かなりいい方ではないかと思います。


ただ年に3冊出せたとしても、平均的な部数換算で180万円ほどなら、会社員やバイトの方がもっと稼げると思います。今の時代だと1冊で5万部以上出せたとしたら大成功でしょうが、コンスタントに売れるものが出せるかなんて分かりませんし、たまたま売れた作品があったとしても、それで次の仕事が簡単に来る訳ではないですからね。超不安定なのです。


それこそ腐るほどいるプロ作家が公募に応募したりしているのも、その方が単純に書籍化のチャンスが増えるからだし、ひいては直接依頼を貰う為の実績作りでもあるんだと私は思っています。

(現に自分はそうなので(笑))


文芸作家は月刊誌や新聞、雑誌で連載していたりして原稿料も貰えるでしょうが、ライトノベル作家は恐らく殆どの方は本、コミカライズのみですよね。


本が延々と売れてくれたらいいでしょうが、そんな作家は一握りです。また次の作品を書いて書籍にして貰えるべく頑張るしかないのです。


正直、圧倒的多数の方が定職を持っている方が多いのもそういう訳です。大体の作家はそれだけで生きて行きたいですが、食えないんです(笑)

よほどの有名作家でもなければ家のローン審査すら通りません。浮き草商売なのです。




資料集めたり、細かくプロット考えたり、いい作品を作りたいしで時間はいくらあっても足りません。専業になりたいに決まってます。

でも多くの人は睡眠時間を削り、休みをほぼ潰して書いてます。それでも本にならない事の方が多いんです。
好きじゃなきゃ出来ないんですよ(涙)
これが殆どのライトノベル作家の現実ではないかと思います。恐らく一般書籍の作家もそうでしょう。


多分20代位までなら、専業でも実家の援助やら自宅で生活してる事で何とかなる場合もありますけどね。

そこまでで土台が出来ていて、毎回数万部は確実に売れる作家になっていたらワンチャンありますが、それもこの先は分からない、って現実は全く変わりませんからね。

私が定職を探しているのもそういう事です。


本が出せたのはラッキーで、常にこれが永遠に続く訳ではない、と理解していないと、執筆の仕事がなくなった時に、本当に潰しの利かない人間になる可能性が高いです。社会常識とかは社会で接点を持ってないと培われませんし。


私なんぞは特にダメ人間ですから、最低限暮らせる収入があればいいからなるべく働きたくない、出来るだけ書く時間をくれ、というタイプなので尚更です。


ですから、今から商業作家を目指す方には、くれぐれも定職は持ったままで!


辞めた後に改めて転職するのも、ここ数年は大変でしょうしデメリットの方が多いです。

どうしても専業でチャレンジしてみたければ、5年は無収入でも生きていける位の貯金を持った上でないと、多分99%詰みます。


私のような派遣も不安定ですから、先行きは明るくないですが、バイトでも派遣でも定収入を得ておくのは大事ですよ、というお話でした。

現実は結構厳しいんですよ、本当に。


意外と呑気に見えてるかも知れませんが、毎日が戦々恐々です(笑)

楽天的なのは事実ですけど、多分1人暮らしだからかも知れません。他に養う家族いたら無理ですね。