今日は断捨離中にも関わらず、仕事で使う道具だからと言う理由「安価なデジタル式が主流な昨今、この理由は半ばこじつけであるのだが。」で先日ネットオークションにて落札購入したこれが届いた。

東京時計と言う名前の会社の機械式ストップウオッチ。

私達世代の人間ならば、小学校とかの体育の時間に体育教師がタイムキーパーにこんな機械式ストップウオッチを使っていたのを覚えておられるかと思う。

1980年代には学校で使われるストップウオッチはクォーツのデジタル式に一新されてしまい、それまでの機械式ストップウオッチは駆逐されて学校の体育の授業から消えてしまった。

このストップウオッチのメーカーの東京時計と言う会社も1970年代で消滅してしまったらしい。

6時位置に印字された「KANAGAWA JAPAN」の文字からも、この東京時計と言う企業がかつて神奈川県に存在していた事が分かる。


裏蓋のクロームメッキは掠れて剥げた箇所から真鍮の下地が剥き出しになっている。

恐らく60年近く前の機械式ストップウオッチが経て来た年輪の様な物だ。

パラコードの紐にカラビナを取り付けてあるが、これは私が仕事で使う際にズボンのベルトループに引っ掛けて使う為にこうした。


青色に焼き入れされた分針と秒針がレトロで美しく見える。

機械式ストップウオッチは大抵の物が30分か15分計測のインダイヤルの物が多い気がするのだが、このストップウオッチは60分迄計測出来る為にこれを選んだ。

私の仕事のタイムキーパーとしては、12分。30分。60分。の3タイムを毎回計測する為だ。

現在はストップウオッチが必須な仕事は少ないのだろうか?

私の仕事では必ず毎回仕事で上記の時間を計測するので、ストップウオッチが無いと何だか仕事がし難いのだ。

届いた機械式ストップウオッチの竜頭をカリカリと巻いてストップウオッチに命を吹き込む儀式は済んだ。

手始めに3分間時間を計測してストップウオッチの機能に狂いが出ていないかを確かめる為に時計のゼロ秒と合わせてストップウオッチの竜頭を押した。

機械式ストップウオッチの秒針が時を刻む。

しかし、その時を刻む音がデカいデカい。

思わず苦笑してしまう位に「カチカチカチカチ」言う。

3分間計測テストの結果、時間の狂いは無く機械の状態は悪く無さそうだった。

私は機械式ストップウオッチの音を聞くとつい、アニメのルパン三世の1stシリーズの第一話の「ルパンは燃えているか?」の次元とルパンの乗るF1マシンがコース上でナイショで入れ替わる際の緊張感漂うあのシーンを思い浮かべてしまう。

全ては昭和の話だ。

緊張感を出す際の演出にはクォーツのステップ運針の音よりも、機械式時計の連続したテンプの振動音の方がより緊張感を生み出す効果が高いと思う。

レトロな蒸気機関車の鉛筆削りと機械式ストップウオッチ。

恐らくはかつて同時代に活躍して生きただろう前時代の遺物達。

例え世の中では前時代の遺物となってしまっても、私の職場では失われた昭和の時代と同じく現役でバリバリに働いて貰う。

物は使ってなんぼだ。

傷付き壊れる事を恐れて、タンスの中に仕舞い込んでしまっては物の命は止まってしまう。

傷付き壊れる事を恐れる様な物は博物館にでも飾っておけば良い。

物は自分の人生と共に使って消耗しなければならない。

墓やあの世に持って行く訳でも無し。

自分がこの世から消えた後も運良く物が生き残っていたならば、誰かに引き継いで貰えば良い。

蚊取り線香にジッポーで火を点け、機関車の鉛筆削りで鉛筆を削り書類に書き込む。

仕事に掛かる時間を機械式ストップウオッチで計測する。

此れ等の作業は私がこの世に存在しているからこそ行われる作業なのだ。

私がこの世から消えた途端、此れ等の道具は死んだ道具となる。

若しくは誰かが引き継いで使うのかもしれない。

でも自分が死んだ後の事なんか全く興味が無いので、知らないし知る由もない。

断捨離の最中に、それを使う人が生きているからこそ道具は使われて輝くのだな。と思った仕事終わりの夕刻の私でした✨。