今日古い月刊GUN誌のバックナンバーを読んでいる内にどうしてもこのGUNが欲しくなり、近所の玩具店に急いで出向いて定価で購入した。

それがこのGUN。

「オメガ10ミリオート」。

購入したのは東京マルイの10禁エアコキホップアップ付きの物。

実はかなり以前に全く同じ物を持っていたのだが、マガジンが壊れたか内部のシアーバー?が折れたかで、当時は直すのも面倒で廃棄したか誰かにあげた様な、もう今となっては記憶が定かでない最後を迎えた事が有った。

その当時の個体はかなりホップアップの効きが強烈で、0.12グラム弾使用の際は昇龍拳弾道だった記憶が有る。

箱出しのオメガ10ミリオート。

6インチのロングスライドにはヒケも見えるが、それも仕方が無い。

このオメガは確か月刊GUN誌で最初に紹介された1988年7月号からそれ程間が開かずにマルイがモデルアップしたので、恐らくは同年内に発売となった筈。

もしこれが事実ならば発売から36年が経過した金型なので、金型のあちこちにガタが出ているのも仕方が無い事だ。

まっ更の箱出しの状態なので対象年齢のシールやコーションステッカーもそのままなのは御了承願いたい。

低価格帯エアソフトガン特有のモナカ構造のネジ止め方式故にネジの頭がチラホラ見えるのも当時は当たり前だった。

このオメガの場合はまだそこまでネジが目立たない方だと思う。

フレームのダストカバー部先端部と同線上のスライド部に大きなヒケが有るのが分かる。

同じマルイのエアコキのオートマグ3でもそうだったが、オートマチックタイプのロングスライドモデルを樹脂製で再現しようとすると、どうしてもヒケが入ってしまう。

この個体は箱出し状態なのにスライド先端に傷が入っていたのには閉口せざるを得ない。

マルイさん。もう少し品質管理をしっかりして下さい。

もしこれがエアソフトガン初購入の10歳児の子供だったならば、多いに落胆してしまう事だろう。

幸い私はオッサンだし、月刊GUN誌の実銃レビューでも、「キッタネー仕上げのシミだらけのGUN」とオメガはレポーターのJACK氏からダメ出しされているのでまあこんな物かと諦めも付くが、これが10歳児で税込み価格2750円のエアソフトガンの購入となればそれはかなりの出費となるだろうから、ちゃんと綺麗なエアガンでトイガン趣味に入門して頂きたい物だ。

逆スラントしたヘンテコな形状のパートリッジフロントサイト。

これは野外での光の反射は抑えられるだろうが、ホルスタードロウやインサイドパンツの状態からのドロウの際にはサイトが引っ掛かりやすくて現実的では無いサイト形状だ。

実銃ではバレル迄ガッポリと空くコンペンセイターも、マルイのエアコキでは塞がっておりパッと見だけの再現に留まる。

スライド後部の再現の仕方は残念だが、リアサイトの形状やハンマーのセレーションは実銃にそっくり。

もっともこのオメガのフレームは、先行発売されていた非HGのエアコキミリガバの物を流用しているので、実銃のコルト製ミリガバの場合はチェッカリングにワイドスパーハンマーなので、このセレーションのハンマーはリアルでは無いと言う事となる。

因みに実銃のオメガ10ミリオートの初期ロットはスプリングフィールド社のミリタリーグレードのガバメントのフレームを使用しているので、マルイのエアコキのオメガもサムセーフティーレバーの形状やハンマースプリングハウジングにランヤードリングが付いているのは正解だ。

マルイのエアコキオメガの場合、コルト製のM1911A1のフレームがベースとなる刻印類で有るのが分かる。

それに対してスライド部の再現度はかなり高い。

スライドセレーション後ろの刻印類もオメガのエンブレムマークの上部に入っているシリアルナンバー迄も月刊GUN誌のリポートのJACK氏所有物だったオメガと全く同じ物なので、マルイのオメガがJACK氏所有のオメガをモデルにした事は明らかだ。

無可動モールドの左右に配置されたエキストラクター部にはアルミテープが貼られていて、まるで別部品の様に見せる処理が施されている。

ピーターズ・シュタールのバレルロッキングシステムを使用した10ミリオートの証としてエジェクションポートに刻印が入っている。

これは余談だが、このピーターズ・シュタールのバレルロッキングシステムは当時実用新案登録中だった物で、従来の1911ピストルのバレルリンク式ショートリコイルシステムとは全く異なるエジェクションポートの角を利用したロッキングシステムだった。

このシステム自体はSIGP220シリーズ等のアイデアの流用なのだが、排莢方向を選択可能とする為に左右両方に配したエキストラクターや上記のバレルロッキングシステムがピーターズ・シュタール社の実用新案であり、オメガの発売元のスプリングフィールドアーモリー社がピーターズ・シュタール社に対してこのロッキングシステム使用料を払ってオメガを製品化したのだが、このオメガが市場でコケた後もスプリングフィールドアーモリー社はピーターズ・シュタール社に無許可でこのロッキングシステムを使用した他の機種のガンを販売した為に特許の無許可使用で訴訟問題となってしまい、後に両社の間で賠償か和解かで解決はしたらしいのだが、スプリングフィールドアーモリー社はもうこの手のトラブルは懲り懲りと、このピーターズ・シュタール社の特許に抵触するロッキングシステムを搭載するガンの販売から撤退した。

なので、このマルイのオメガはそのピーターズ・シュタール社の刻印までしっかりと再現した貴重なオメガのトイガンでも有るのが今となっては皮肉な物だ。

こちら側のエキストラクター部にもアルミテープが貼られている。

旧タイプのパックマイヤーグリップ風樹脂製グリップには実物刻印が入っている。

これも昔の無版権刻印使いたい放題だった時代ならではの無許可実物刻印だろう。

しかし、この無許可実物刻印の入っているパックマイヤー風樹脂製グリップの握り心地は滑りにくくてかなり良い。

これは実物を忠実にパクった証だろう。

マガジンは逆さにすると弾がこぼれ落ちる悪名高い残弾保持のマガジンリップの無い割り箸マガジン。

装弾数は12発と多くは無いが、非HG時代のマルイのエアコキハンドガンはどれもこんなヘッポコな細長い割り箸マガジンだったので、オメガのマガジンがこれでも仕方が無い。

マガジンボトムにウイルソンロジャースタイプのマグバンパーっぽいパーツが付いているだけまだマシか?

ハンマーはモールドで無可動。故にハンマーダウン状態でもセーフティーレバーは可動する。

これが月刊GUN誌のオメガの初レポート記事。

JACK氏の知識豊富な記事は大変読み応えが有り、これでもかとハンドロードやファクトリーロードした弾をバカスカ撃つ記事は今では出版社が大した取材料も出さないだろうからもう書けないだろう。

汚いシミだらけの仕上げの荒いオメガをここまで綺麗に撮影するテクニック。

これもJACK氏のリポート記事を読む楽しみの1つだった。

実銃の場合、銃身にこれだけ大きな穴を開ける事によるグルーピングへの影響が懸念されたが、実射の際にその懸念は的中する事となる。

左ページ下の画像のオメガのハンマースパーの形状を見ると、マルイのエアコキオメガのハンマー形状が実物を正確にトレースしている事が分かる。

内部メカニズムの詳細が載る。

この時代はインターネット等まだ遠い未来のお話で、実銃の正確な形状や機能を知る術は専門誌以外に無くJACK氏のリポートの写真を穴が空く程睨む様に眺めた物だった。

何故だろう。

こうして見るとネットや動画で実射レポートを見るよりもJACK氏のリポート写真からの方が静止画像なのにリコイルの強さや迫力が伝わってくる気がする。

この射撃時の銃の23センチ横に段ボールを立てて射撃した場合、コンペンセイターから吹き出た弾の削れたカスが沢山突き刺さっている写真とか、動画じゃないのに「実銃はこんなに撃つ事へのリスクが伴うのだな。」と妙に説得力が有る。

水入りポリタンクを射撃した破壊力チェックもJACK氏のリポートの常套手段だった。

これが客観的に恐ろしい迄の威力を持つガンの本物なのだと言う事を痛感した物だった。

本当に良い時代だった。

銃を撃つ事もターゲットを破壊してそのパワーをチェックする事も自由に出来た。

最近あちらの動画で「ヒコック爺さん」とか呼ばれておられる方の貴重な実銃射撃レポートを見る事がたまに有るのだが、それとてJACK氏のガンリポートの写真から伝わってくる迫力には及ばない。

写真が動画を超える迫力と質感を伝えてくるなんて、そんな時代はもう二度と戻って来ないだろう。

簡単に動画で実射レポートを見ても正直あの頃の感動はそこには無い。

近年そのJACK氏は体調を崩され、閉鎖されたブログの移設の情報や更新の話も聞こえてこない。

残された月刊GUN誌のバックナンバーから過ぎ去りし日のJACK氏が紹介した迷銃?のオメガのトイガンを手に持ち、このオメガもいつ生産終了となってもおかしくは無い年代物な事と、過ぎ去った遠い時代の遺産は余りにも大きな物だったのだなと痛感した私でした✨。