MGCの固定スライドガスガンのベレッタ92F。

素材はABS樹脂製なので後にHW材で生産された事を思うとこれは初期型?かもしれない。

確かインターネットオークションサイトで1500円位で落札購入した気がするがもう10年以上前の話なのでハッキリと覚えてはいない。

モデルガンコーポレーションの略称である「MGC」が社名だけ有って時代がモデルガンからエアソフトガンに移行し始めた頃はエアソフトガンの危険性を謳っていたMGC。

だが、MGCがどうあがこうと世の潮流は第一次サバゲーブーム前夜の熱量が凄まじい時期だった事も有り、時代の流れはエアソフトガン一色になりつつ有った。

そんな中あれだけエアソフトガンを否定していたMGCが180°方向転換して業界初のフロンガスがパワーソースのエアソフトガンのM93Rを出して来た。

当時、マニア達から「MGCは二枚舌」だのなんだのと揶揄された物だったが、いざ業界初の固定スライドガスガンのM93Rが発売されるとその性能がそれ迄のエアコキガンと比べるとかなり良かったのと、トリガーを引き続けるだけで連射が出来た事が画期的だった為にM93Rは爆発的大ヒット商品となった。

このベレッタ92Fの固定スライドガスガンはそんな業界初の固定スライドガスガンを発売したMGCの固定スライドガスガンの後期の頃のヒット作だ。

MGCの製品は箱の写真や雰囲気も洒落ていた。

平成に時代が変わって直ぐの頃はまだMGCのトイガンは高級な大人の嗜好品だった。

この個体は中古で購入した物なのでアウターバレル先端部やフロントサイトに打痕が見えるが私が使用して傷付けた訳では無い。

最初からのダメージだ。

そして固定スライドガスガン後期の製品の証にバレルに覗くライフリングが見える。

これがMGCの後期のガスガンの特徴の「サイクロンバレル」だ。

取り扱い説明書はイラコバさんの味の有るイラストによる分かりやすい物だった。

MGCのメーカーロゴの隣にはこの頃はまだMGCのパテントだった、マガジンへのガスのリキッドチャージ方式の旨と、特許申請中と書かれたサイクロンバレルのマークが入る。

このサイクロンバレル。その後特許は取得出来たのか?疑問が残る。

と言うのも、実際には当時メーカーが謳っていた程の精度向上効果が体感出来なかったからだ。

それでもMGC製品の話題作りには事欠かない技術?だったし、説明書やMGCの広告にもごもっともな宣伝文句が書き並べて有った。

インナーバレルをチャンバー側から覗いた図。

螺旋状に溝が彫られたインナーバレルが見える。

これがBB弾を発射するのにどの様な影響が有ったのかは知らないがMGCの固定スライドガスガン後期の製品にはもれなく搭載されていた。

後にこのサイクロンバレルとホップアップシステムの組み合わせで高精度を謳う「タニオ・コバ ツイストバレル」なるカスタムバレルが発売されたが最近はもう名前も聞かなくなった事を見ると、やはりエアソフトガンのインナーバレルにライフリングを刻んだ所で手間の掛かる割には大した精度向上効果が見られなかったのかもしれない。

後のWAの商標権関連の訴訟前の製品の為に、当然リアル刻印だ。

刻印の書体も彫り方も流石にMGC。

実に繊細で綺麗な刻印だ。

スライド裏側の刻印もリアル刻印。

まだ92FSとなる前の92F刻印なのが時代を感じさせる。

トリガーガード上のMGC ASGKの刻印がこの92Fがエアソフトガンだと言う事を表している。 

当然グリップパネルもリアルベレッタロゴマーク入り。

刻印はリアルだが若干寸法がアレンジされているのか?実物グリップは付けられなかった筈。

グリップパネルを外してもかなりリアルなトリガーバーやスプリングが見える。

とても30年以上前に発売されたエアソフトガンには見えないリアルな機構。

グリップスクリューの受けが真鍮製のブッシュが入っている事からもこの92Fが高品質なトイガンと言うのが分かる。

デコッキングレバー下のスライドにはこれ見よがしのツールマークが入る。

一時期ABS素材のエアソフトガンでも実銃の素材の鋼鉄の切削加工跡のツールマークを真似するのが流行った。

これも過度に意識し過ぎの製品ではトリガーやデコッキングレバーの切削加工跡まで再現していた物も有った記憶が有る。

このMGCのベレッタ92Fの固定スライドガスガンは一昔前迄は中古で安値で売られている事が多かった理由の1つにドーブテイル方式で取付けられたリアサイトが嵌め込んで留めてあるだけの固定方法の為に「リアサイトの脱落欠品」した個体が異常な程に多い事だった。

私の個体も漏れなくリアサイトが欠品した物だったので破格値で落札購入出来た。

現在付いているリアサイトはS2Sのダメダメ性能の固定スライドガスガンのM92Fのリアサイトをドナーに使用。

スライドからリアサイトを切り出して手作業で削って擦り合せしながら形状を整えてMGCの92Fに取り付けて接着した。

S2SのM92Fのリアサイトが米軍仕様のM9の為にリアサイトのホワイトラインが旧型のM92Fと同じだった事と素材がABS樹脂製だったので加工がしやすいと思いS2Sのリアサイトを加工流用した。

そんなMGCの92Fも何故か?パーティングラインがフレームのダストカバー部からグリップフレーム部分までガッツリと残っている😅。

他の部分がリアルなだけにここはキチンと処理しておいて欲しかった。

因みにフィールドストリッピングも固定スライドガスガンとしてはかなりリアルな部類である。

実銃と同じくテイクダウンレバーを90°押し回して下げる。

ハンマーを起こした状態でスライドをほんの少し後退させて持ち上げると上記画像の様にスライドが外れる。

そのまま前方にスライドを抜き取りフィールドストリッピング完了。

フィールドストリッピングはかなりリアルな物の、アウターバレルの固定方法は機関部のダボピン?みたいな突起にアウターバレルの穴が左右で8箇所嵌め込んで留めてある。

こんなアウターバレルの固定方法ではダボピン?に嵌っている部分に傷を付けずに取り外す事は困難極まり無い。

MGC製品の特徴の1つに「どの製品にもやたらと煮詰めが甘い設計箇所が必ず一箇所はある。」のだが、この92Fのガスガンの場合は間違い無くこのアウターバレルの固定方法の安直さだと思う。

この点で同時期の製品のWAのワルサーP38のフィールドストリッピング方法はかなり良く出来ていた。

が、WAのワルサーP38の場合はフィールドストリッピング以上の分解がかなり面倒なので、結局何処かしらに無理の有る設計なのは当時のどのメーカーの製品も大差無いのかもしれない。

取り外したスライドのファイヤリングピン周りの図。

これもライブでスチール製のファイヤリングピンを模したパーツを装備しており、当時としてはかなりの再現度の高さでデコッキングレバー「この製品ではセーフティーレバーだが。」を回転させるとファイヤリングピンも上にクルリと回って隠れるのだ。

で、ファイヤリングピンパーツを介した打撃力はこのインナーハンマーに介達してマガジンの後方に上向きに付いたバルブを叩くのだ。

これがバルブ。

スチールプレスプレート外装のリアルなマガジン。

刻印までリアルな物だった。
マガジンの外装のスチールにも綺麗なガンブルー処理が施されている。

装弾数は21発。

フォロワーは前方に配置されている。

そんな当時最新の米軍制式拳銃のベレッタ92F。

それを満を持して登場した、MGCの固定スライドガスガンの92F。

今回は禊シューティングも行ってみた。 

ターゲットはマルイの製品に付属するペーパーターゲットをコピーした物。

条件は何時もと同じく銃口からターゲット迄の距離は5m。

使用する弾はマルイの0.2グラムのセミバイオ弾。

使用するガスはマルイのノンフロンガス。

室温は20.6℃

ツーハンドホールドでシングルアクションにて5発発射。

5発を1分以内で射撃。

ノンホップモデルの為、狙点は黒丸センターにサイトを重ねるセンター照準。

それでは往年の名銃。

MGCのベレッタ92Fをシューティングしてみます。

結果はこれだった。

9~10点圏内に4発。

8点圏内に一発。

30年以上前の化石銃のバレル後座式の固定スライドガスガンとしては中々のグルーピングでは無かろうか。

今は亡き王者のトイガンメーカーのMGCが固定スライドガスガン全盛期に送り出した、最先端のミリタリーピストルのベレッタ92F。

まだゲームソフトのバイオハザードがまだ世に出る前の製品だ。

ガスブローバックガンが当たり前となった現在ではもう化石銃以外の何物でも無いMGCの固定スライドガスガンの92F。

それでも今でもとても魅力的なトイガンに見えるのは、私が「MGC」と言うバイアスが掛けられた世代だからかもしれない✨。