客席のライトが落ち、ほどなくして「オジ専vol.7」のあのテーマが流れてきました。
それまでお喋りにいそしんでいたお嬢さんたちが一斉に口を閉じ、ほんの一瞬、沈黙が生まれた途端、幕がそろそろと上がり始めました。
「あぁ~、いよいよだぁ~、いよいよだぁ~。この、この幕の向こうに!!向こうに!!あああああ~」と、私の緊張は一気にピークに達しました。
と、お芝居の第一声は海老原教授を演じる中尾さん。
この中尾さんの声を聞いて、「おお~!フリーザ、フリーザが喋ってるよ~~~!!生・フリーザやぁ~!本物やぁ~!!」と、すっかり舞い上がってしまいました。
時代を感じさせる反応かもしれませんが、それはかつて水曜日の夜7時のことでした。
中尾さんの声は宇宙最凶の侵略者として、「ドラゴンボールZ」を楽しむ日本中のお茶の間を震撼させたんでした。(笑)
「う~ん、『ザーボンさん!ドドリアさん!』って言い方が憎々しかったよな~。本当にフリーザは嫌いだった!」
目の前のお芝居はよそに、思わずかつての思い出をオーバーラップさせてしまいました。
さて、幕が上がるのと同時に、お嬢さんたちはまるで示し合わせたかのように一斉に黄色い歓声を挙げたのですが、「え?え?え?えええ~???ここは黄色い歓声を挙げるところなの???」と戸惑う私。
おかげで我に返ることができたのですが、これが「声イベント」の特徴なのでしょうか?
まるでアイドルのコンサートのようです。
(一度も行ったことは無いので、あくまでイメージですけど)
私にとっては初めての「声イベント」です。
慣れていないのは当たり前のこと。
けれども、初っ端からお嬢さんたちと私とのギャップを痛感するとは!
ここは穏やかに拍手でもって出演者を迎えるものとばかり思ってました。
さあ、黄色い歓声とざわめきの余韻が残る中、お芝居は滞りなく進んでいたはずです。
舞台中央、中尾さんが手のひらに「人」という字を書いて呑み込んでおり、それを舞台右側、市川准教授役の中井さんが「本当にそんなことをやる人を初めて見た」てなことを話しています。
が、これがどういう状況なのか全くわかりません。
どうやら私、ほんの一瞬かもしれませんが、本当に意識が飛んでいたようです。
「えっと~、もう、お芝居ははじまっているんだよね???前説ではないのよね???」
一つ一つの事象を把握するのにやたらと時間がかかる私。
それもそうでしょう。
舞台上のまぶしいライトに目を細めつつも、三人のオジサマ声優の姿をそれぞれ確認したのですが…。
なんと!私の席から10メートルも離れていない舞台の上に中原さんがいるんですよ!!
しかもしかも、私の席の延長線上にですよ!!!
うおぉぉぉぉぉ~
声には出せないけれど、実に雄々しい雄叫び声を心の中で挙げ続けていたのはここだけの秘密です。(笑)
黄色い歓声なんて屁でありません。
雄叫び声ですよ、雄叫び声!!
表現するなら、「孫悟空が満月を見て大猿に化けて、暴れまわった」という感じ?
再びの「ドラゴンボールネタ」ですけど。
これからの90分間、私は夢じゃないけど、夢のような時を過ごすことになったのでした。