能登半島の地震で、心の片隅でずーっと気になってることがあるんだ
小学5年生の終わりに所沢へ引っ越し、同じ学年の不良女子グループに《馬坂(うまさか)》って苗字のヤツがいた
色黒の女の子で、まぁ見た目は可愛いんだけど活発すぎて苦手だった
…ワルだったし、いじめられたし。
6年生の時に放送委員で一緒になり、いつも日替わりでクラシックのレコードが流れてる給食時間にチェッカーズのレコード持ってきてかけちゃって、学校中大騒ぎになったりした
委員長のボクは《ねずみ男》に似ているおっかない教頭のところへ謝りに行ったり(違うクラスなのにw)、まぁ大変なことをしてくれたわけ
そんな馬坂が、中学に入ってから夏休みの前か後に『田舎のばぁちゃんちに行く予定』だか『行ってきた』だかって話をみんなとしていて、田舎ってどこなの？という問いに対して小さな声で『タコシマ…』って答えてた
はっきり思い出せないが、たぶん同じクラスだったんだと思う
何しろ子供が多い時代で、3つの小学校が校区だった所沢中央中学校は、42～43人の学級が1学年につき8～9クラスあったのよ、あの頃は。
休み時間ともなれば他のクラスに出入りするなんて普通だったからね
で、みんなは地名に《タコ》ってつくのが面白くて、本人の予想通りにしばらくはそれをネタに男子からいじられてた
後でそっとヤツに聞いたら、タコシマは能登半島ってところにあって漢字でも『蛸』って書くんだと教えてくれた
別に当時彼女を好きだったわけでもないし、中学校でもクラブや委員会で接点があったわけではない(はずw)んだけど、あの『タコシマ…』って恥ずかしそうに答えてた中１の馬坂の姿を、何故か大人になってからも時々思い出すことがあったんだ
なんでなんだろう
《タコシマ》のインパクトが強すぎたのか、厄介な《いじめっこ》が《いじめられっこ》になる瞬間のインパクトが強かったのか…
ただ、恥ずかしそうに『タコシマ…』って答える姿と、その後いじられてた馬坂が可哀想に見えたのは覚えている
小学校では《いじめられっこ》であることが多かった自分は、そうされると悲しいということを知っていたから。
で。
元旦の地震の後すぐに、そのタコシマの場所を地図で探したんだ
そしたら…
あろうことか、いっちばん先っちょなのよ、能登半島の。。
【半島】って陸からのアクセスが1方向からしかないんだよね、半島の付け根からの。
地図で見ると分からないけど、日本の半島って平坦なところってそうそう無いわけで(国内あちこち行ったけど砂州みたいな野付半島くらいかな)、男鹿半島なんて断崖が海に向かって落ち込んでるような感じのところが連続してるわけ
『んじゃ、半島なら3方向が海に囲まれてるから船で！』って思ったが、暫く経ってからやっと入ってきた情報は《隆起して船が接岸できない》とか《港が壊れた》っていうものだった
4m近く隆起した港もあるとか…
たぶん、住民の皆さんはしばらく孤立してたんだろう
いまだって大変な状態が続いてるだろう、確実に。
馬坂のばぁちゃんはさすがに天に昇っているはずだが、親類とか親御さんの知人友人なんかは、まだ住んでいるんじゃないのかな、タコシマに。
中学を卒業してから35年、自分は都内の私立高に通っていたから地元の連中との接点は薄れ、ヤツとも卒業式以来一度も会っていない
『だからその時間を取り戻すためにボランティアとしてタコシマに駆けつけるぞ！』とかってことでもないんだけど。
もし時間と金銭的な面が許せば、恐らくボクはそこへ行くだろう
しかし現実的には、遠い。。
いま自分にできることは、本当に少ないけど被災地のため・そこで活動する仲間のために募金すること、そして子供たちに《いつもの冬》を満喫させてあげること・その中で《いつものこと》がどれだけ大切なものなのかを感じてもらうこと
そんなところだろうか
いま『宝くじが当たったらどうする？』って聞かれたら、たぶんボランティアの活動資金にするって答えるだろう
あとは『普段発泡酒飲んでるけど、たまにはビール買うかも』って。
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タコシマの皆さん、どうぞ寒い中で体調を崩されることがありませんよう、心よりお祈り申し上げます
過去の被災地同様に、自身の周りの方への優しい気持ちから2次避難を躊躇される方が多いと聞きましたが、復旧復興のためには元気な体と心をキープすることが大切です
それは決して、逃げるということではないのです
悲しいけれど、災害復興は長期戦です
将来の能登のためにも、能登の皆様がそれぞれの最善の選択をされることを、遠く岩手より願っております
#能登半島地震 #負けるな能登 #負けるな蛸島