スキーやスノーボードで滑るとき、皆さんヘルメットって被っていますか?




まだボクが20代だった頃、スノーボードというものが若者に一気に流行り、そして子供を含む多くの人が《逆エッジ》で後頭部を強打し、なくなる方も多くいらっしゃいました




当時の日本は、スキーヤーでもヘルメットを被っているのは選手くらいのもので、普通にゲレンデや山で滑っている人がヘルメット被ることなんて有り得ませんでした




そう、【有り得なかった】のです




安全対策への意識が、現在より低かったのでしょう




山を滑るとき、まだスコップも1人1本じゃない時代でしたしビーコンもいまほど普及していない時代でした




あの頃、池袋秀山荘にいたボクのテレマークスキー用品の取引先でありテレマークの師匠でもあったノルハイムの澤田さんが、北米のスポーツショーに行ったついでに西海岸で滑って帰ってきました




で、開口一番『北米のテレマーカーは、みんなヘルメット被って滑ってたっっっ!!!』って。




早速ノルハイムではBOERIのヘルメットを取扱い開始し講習生たちもそれを真似て被り始めましたが、周りからは『あいつら暴走族だから怪我しないように被ってるんだぜ』なんて陰口を叩かれたりしたものです



⬆️ 
1990年代後半の北米のスキー雑誌より 
『BOERI   It's your head.』というキャッチが懐かしい




で、とにかく安全だし暖かいしニット帽みたいに雪で濡れて冷たくなったりしないし、使えば良さが分かるんだけどなかなか普及させるには課題が多い【ヘルメット】を、一体どうやったら多くの一般層に受け入れてもらえるか、当時の業界の人たちが一生懸命考えた結果が…




カッコいい人に被らせる作戦でしたw




ファッションでもなんでも、有名な選手とか人気がある俳優・女優さんとかって気になりますよね?




で、業界が仕掛けたことは…




【みんなが憧れる人がヘルメットを使ってたら真似するんじゃね?】




『いろいろみんなで考えた結論がそれ?』って思うかもしれませんが、目的は《一般のスノースポーツ愛好家に、いかにヘルメットを普及させるか》《スノースポーツ愛好家の頭部負傷事故をいかに減らすか》というところにあるので、結果さえついてくればOK!




それ以降、人気がある選手とかBCスキーの滑り手がヘルメットを着用した画像・映像が各メディアで露出し始め、ヘルメットメーカー各社が競技用ではないスタイリッシュなスキーヘルメットを作り出し、一般の方も段々と被るようになっていったんです




時代はちょうどボクが八甲田・酸ヶ湯のガイドチームに入った頃で、GIROの輸入元のロータスインターナショナルさんから『是非ともガイドの皆さんに被って欲しい』と提供を受けたのも、ゲストたちへの普及を考えた上での業界一丸となっての取り組みの一貫でした




いま子供たちのスキー教室で先生役として参加してみると、半数以上の子供がヘルメットを被っています




『◯◯クンが被ってるからボクも欲しい』でもいいんです、きっかけは。




それが、転倒して頭部を強打したときに命を守ってくれるのだから。




そんなことでヘルメット普及への思い入れが強いのですが、だからなおさら先日の成田童夢さんの件については『まーだそんなヤカラがいるのか』と呆れつつ、それへの成田さんの対応がアッパレ過ぎて、これは将来のためにも書き留めておかなくてはと思ったんです




以下、《THE DIGEST》に掲載されていた、その顛末についての秀逸な記事をご紹介します


THE DIGEST「一人でも多くの方がヘルメットを着けてくれれば嬉しいです」成田童夢、ゲレンデのエピソードを通してヘルメットやプロテクターの重要性を訴える


記事がとてもいいので、リンクが消えてしまうともったいないので本文を引用させていただきます(このブログでは一切利益を出しておりませんので)ご理解をお願いします)




以下、本文より引用


【元トリノ五輪スノーボードハーフパイプ日本代表の成田童夢が自身のXを更新。ゲレンデのリフトの上でスノーボードマウントを取っていた人のエピソードを話し、ヘルメットやプロテクターの重要性を発信した。スノーボードファンのみならず、多くの人の関心を集めた。

 成田は「こないだリフトの上でスノーボードマウントを取ってくる人がいたんだけど、」と話しはじめ、成田があえて聞こえないふりをしながら聞いていたところ「おれはこのスキー場で間違いなく一番上手いからメットするのはだせぇだの、プロテクターは甘えだの言ってたからつい言っちゃったんですよ」と、我慢出来ないような発言に出会ってしまったことを語り、「私、こう見えて2回ほどスノーボードで世界一になったことあるんですけど、私含め他の選手もメットとプロテクターは必ず付けてましたよ?」とはっきり伝えたらマウントを取っていた人が黙って帰ってしまったという、スカッとする痛快なエピソードを投稿した。

 さらに「私はスノーボード用のヘルメットではなくブラックダイヤモンド登山用ヘルメットを被ってます。落石にも耐えれる強度があるだけでなく、通気性バッチリで汗っかきの私にはベストバイでした」と自信が愛用するヘルメットついても紹介した。

 投稿には6万を超える「いいね!」がつくほどの反響で、投稿をみたフォロワーからは「大マウントですね!山だけに!」「俺も数年前からヘルメット付けるようになった。若い時はその重要性がなかなかわからないんだよね」「上手い人ほどちゃんと安全対策をしてるイメージ」「ちょっと上手くなってきた頃にプロテクターやヘルメットを取りたくなるからね」「兄はプロテクター無しで滑ってて逆エッジになって半月板割りました」「そう言う人より、ちゃんと装備してる人がかっこいいですね」「ヘルメット着けてると帽子なんかより断然暖かいんだよ」などなど、さまざまな声が寄せられた。】


引用終わり




実際には『ボード教えてあげようか?』とかも言われたらしいですwww




自分自身は春のザラメのシーズンになるとヘルメットを使わないことが増えてくる(ツリーランもないルートの場合)けど、現在ゲレンデとか冬季のBCの場合はメット無しで滑ることは有り得ません




記事の中では成田さんが《クライミングヘルメットを使っている》という記述があるのですが、この点については道具のプロとして賛同しかねる部分があります




スキーでの転倒の場合は頭部が雪面に接触した瞬間に頭蓋骨内で脳に回転する力が働いてしまって障害が残ったり最悪の場合は死亡事故に繋がります




つまり、クライミングでの落石などとは、頭部への力がかかる方向が異なるんです




最近は転倒時にヘルメットのライナーが微妙に回転することにより脳へのダメージを防ぐ【MIPS】という構造が普及しており、その発展型のものも登場しています


GIRO スフェリカルテクノロジー 



高次元の安全性を求めるなら、こういった機能があるヘルメットがお勧めです




ストリート系のデザインやベンチレーターの開閉が出来るフリーライド系のものなど多くの種類があり、価格もK2のように2万円前後のものからあるので、興味のある方はネットで調べてみてください




個人的にはGIROを代々使い続けているのですが、SMITHなども人気が高いですね




国産のSWANS(山本光学)なども昔よりデザインが良くなってきています




輸入物はアジアンモデルがあれば、必ずそれにしておいた方が無難。サイズがダイヤル調整式になっているものは、ストレスなく被ることが出来ますよ





ということで、長くなりましたがスノースポーツをする際には、みんなヘルメット被りましょうね!