前の店長が仕入れたはいいけどマニアックすぎて売れ残ってた《ナポレオンフィッシュ》



群馬のTJブランドというメーカーのもので、太いのはいいんだけど短い。



コンセプトも『ボードみたいなサーフターンができるスキー』ということで、基本的にパウダーしか考えていないという攻めたモデルなんですw



で、仕入れから何年も経過していたので一気に売価を下げて処分していたのですがなかなか売れずにおりました



が、



『子供と滑るために、ひさーしぶりにスキーやってみようと思うんです』っていうボーダーさんが購入してくれました \(^o^)/



スキー自体は《ナポスキー》という愛称があり、TJBRANDそのものがボーダーさんの間での方が認知されているので、この板のことを調べてきたみたい



これにビンディングとK2のブーツMINDBENDER120BOA、さらにシールまでフルセットお買い上げ!!



よくよく話をしてみるとシズクイ市の移住組仲間で、お子さんの保育園は我が家がお世話になった西山保育園とのこと!



これは作業にも気合いが入りますっ



で、分かったこと



板が太すぎてマーカーのゲージが使えない



イヤでも気合い入れないと作業できないことが判明したのでしたwww


まず紙ゲージを準備して、載せる位置を決めます



スウィートスポットが広めのスキーでしたが、とりあえず『スキーは初心者』という自己申告だったので、トラディショナルな位置に決定。


左右でプリント位置がずれていることがあるので、巻き尺で計測しながらマーキングしていきます



今回載せるのはコチラ


マーカーのF10ツアー



最近流行ってるテックタイプは高いので、着脱が普通のアルペンビンディングと同じでお財布に優しいものをチョイス♪



で。



とりあえず【センター出し】さえできれば、紙ゲージで取り付け作業はできます



こんなときの助っ人が、超ファットスキーにも対応している22Designsのゲージ!


適当な位置にドリルで軽くマーキング



トップ側とテール側2ヶ所にマーキングしたら、それを正確に繋げればセンターラインを引くことができます



分かりやすいようにマスキングテープを貼って、そこにドリルで軽く傷をつけます


こんな感じネ



前後2ヶ所をマークしたら、次にペーパーゲージの端の辺りに線を引きます


緊張する瞬間。。




できたっ!



ペーパーゲージのトップ側もテール側も同じように作業するので、スキー片方につき4箇所マーキングするイメージ。



次にペーパーゲージをセロテープでずれないように固定します


畳みジワにも気を付けて作業します



ここ、落ち着いてキッチリ合わせてテープで固定。


ここまでできたら、次はネジの長さのの確認



TJBRANDのスキーは作りが薄く、ネジが長いビンディングだと滑走面を持ち上げてしまう危険性があります



具体的に言うと22D・Voile・Rottefellaのビンディングは要注意。



こちらはヒールピースを固定するレール


ネジを一本だけ入れまして…



スキーに当てて、ネジがサイドウォールに来るようにします


これを横から覗き込んでみて…


うん、この程度ならネジを削らないでそのまま作業できますっ❤️



さて。



ペーパーゲージがあるからと言って、いきなりドリリングはできません(やる人もいるかもしれんが精度が出せない)



トーチャンがいつも準備するのはコチラの道具


40年近く使っているディバイダーと、これまた35年ほど使っているアーミーナイフについているリーマー(錐)



ネジ穴の指定位置をディバイダーの針で強めにマーキングして、そのごく小さい穴をリーマーで広げていくのです


これがなかなか大変な作業なんだけど、いちばん重要な行程です



次に、ドリルビットの刃先をリーマーで広げた穴に当て、ドリルビットを30度ずつ回転させながらハンマーで叩いてさらに穴を広げていきます


電動ドリルを小さい下穴にいきなり当てると、とんでもないところに穴を空けてしまうことがあるんです



手も疲れるし時間もかかるんだけど、これは大切な行程。



持ち込みでここまで手を掛けてやるとなると、たぶん断る店が大半なんじゃないかな?



紙ゲージさえあればトーチャンは受けてますがw



で、やっとこさこんな感じになりました


ここまで来たら、メーカー指定の直径のドリルビットで穴をあけます


メタルが入っていないTJBRANDはΦ3.5mmが指定



次に《面取り》作業


これはホームセンターに売っている高速度鋼の面取りカッターを電ドリの先端につけてギューンとするだけ



ただ、過去にも書いているけど、この作業をやらないとネジの周囲が持ち上がっちゃってビンディングが浮いてしまうんです



お客さんの目には絶対に入ることのない部分なんだけど、絶対に手抜きをしないこだわりの作業です



ビンディングをネジ固定する時に使う防水液は、お客さんと話をして『取り外すことは絶対ないと思う』ってことなので、いちばん確実なエポキシを使います


A剤とB剤をネリネリするやつです



トーチャンが愛用しているのは《コニシ ボンドEセット》というもの



竹串の先端で丁寧に穴の側壁に塗りつけるようにして馴染ませていきます


一気に流し込むと底の方まで絶対に接着剤が届いていないので、10分くらいかけて作業するようにします



で、やっとパーツの取り付け


ヒール固定用のレールからいきます



続いてトゥピースっ!


ドライバーは家庭用のものを使わず、必ず【ポジドライバー】を使いましょう!



同じプラスのネジに見えても、家庭用のものはフィリップス、ネジの頭に✕印の切り欠きがあるスキー用ネジはポジの規格で別物なのです


スキー・歩行の切換レバーの部分のネジも固定して…



完成っ!


おっしゃ!


んー、いいじゃんいいじゃん💕



ここまで来たら、ブーツを合わせてサイズ調整っ!


前後長をざっくり調整しまして…



前コバの高さも合わせていきます


良くやるのが『ハガキを爪先のソール下に挟み込んでステップインして、破れないように引っ張り出せればOK』というもの



マーカーには純正でこんなものがついてきます

こいつをブーツの下にセットして…



引っ張ってみたときに…


下の紙だけが出てくれば適正、赤く塗った方も出てきたら緩すぎ、破れたら強すぎ



原始的だけど便利ですねコレ。



さらに解放強度を設定して、手でブーツを捻ってサイド方向の《リリースチェック》を行ったら完成です




できた~ \(^o^)/



で、最後にこのブレーキを幅広のものが入荷した日に付け替えました


板幅が広すぎて、ブレーキが雪面に落ちないんですw



取り寄せたのは【136mm】のブレーキ


冷静に考えると、そんな幅のスキーを使うシチュエーションってディープパウダーだからブレーキなんてあってもなくても(以下自粛www)



袋を開けるとネジもついてきてます


元々ついてるものを外して載せ換えるだけ



元々のやつはというと…


んー、なんとなく頼りない




板幅に干渉して、なんとなく引っ掛かってるような…




載せ換えは簡単。


ブレーキ後部の2本のネジで固定されているだけです



ここを緩めて…


クルクルクル…



2本とも外します


次に前方へスライドさせると…


簡単に取れちゃいます




逆の手順で136mmのブレーキを組みつけてみると…


お、いいじゃん!


今度はちゃんと仕事する気を感じますw



左、ブーツをセットしたところ


思ったほどはみ出ないで済みそうです


うん、まぁ許容範囲ですね




うん、OK!





ってことで、ようやく全ての行程が完成しました❤️



さぁ、可愛がってもらうんだぞっっっ!!



そのうちAMHでセッションできるといいね♪




#TJBRAND #ナポスキー #バックカントリー #スキー取り付け #フリーハンド取り付け #グリーンハウス盛岡店