***写真は一部、メンバー撮影のものを使わせていただきました***



前回に引き続き今回も【風組関東】の桑さんにお世話になり、浸水家屋の処置の実地研修させて頂くため秋田市へ向かう



本当は朝イチで出発しようかと思ったが、初日の予報は明け方から雨



履き始めて6シーズン経過したジオランダーATは昨年辺りからウェット路面でアクセルを吹かすと後輪が空転することもあり、念のためにいつも通り雫石ライナーは夜行便とした


仙岩峠を越える区間で遅いクルマ数台に捕まり、アクセルを緩めに踏まねばならず右足の脛の筋肉がつってしまい大変なことに。。



峠を降りてからその数台をパスして快走を続けていると、道の駅協和が近づいてきた辺りで前方にライトを振っている人影が…


よく見ると、道路の左手に大型トラックが落ちている!



右の大型トラックからワイヤーを張って救出作業の途中らしい



しばらく待っても埒が明かないので、ナビに出ている道路で迂回することに


赤い✕印が現場で、青矢印の道が迂回に使った道



ずーっと後ろをついて走ってきた乗用車もリードしながら、無事に本線に合流



狭くてでこぼこしてたりする林道みたいな道なので、大型トラックや車高を落としている車はムリかも。



予報では明け方前から雨予報


早く作業が終わるといいね



そんなこんなで無事に《道の駅 協和》に到着


さっそく寝袋を広げて就寝準備



考えてみれば、今回の豪雨災害では初回の五城目行きの時以降は寝袋を使ってなかった



あまりの暑さにドアを全て開け放して寝た夜もあった



それでも暑さで寝不足だったが、今回はライトウィンタータイプのダウンシュラフでも暑さを感じないほどの気温



季節は着実に進んでいる。



冬に向かって…






今回のお手伝い先は、前回と同じ2軒



まずは楢山古川新町の元・大工のKおとーさん宅へ


緑の丸がKさんのところで、赤い丸は中大付属高時代の親友H君のご親類宅



今回確認したら、緑地を挟んで真っ正面だった



これを《偶然》と呼ぶべきなのか…



建設系の仕事を営んでいるH君のご親類だから困っていることはそれほど無いと勝手に思ってはいたが、幸いにも工務店の手配が早めに出来たようで畳の入れ換えなどは済んだとのことだった



大工も電気屋も手が回らないらしく、五城目も秋田市も『うちで建てた家じゃないから修理は受けられない』とか『うちの店で買ったものじゃないから修理はしない』と言われたという方に何人もお会いした



ボランティアが入っていろいろお手伝いしても、最終的に大工さんに引き継ぐことになる



その大工が、つかまらないという



被災件数の多さもあるけれど、どうにかならないものだろうか。。






さて、早めに道の駅を出てきたものの、やはり秋田市内は通勤ラッシュの時間であちこちの渋滞に捕まり、なかなか前に進まない


それでも結果的に一番乗りになって現場に到着したので、メンバーが揃うまでKさんとお話。



健康のこと、普段の生活のこと、今回やって欲しいことなどなど



『眠れてますか?』って聞いてみると、やはり前回同様に『熟睡はできないなぁ』と。



元々はここの生まれ育ちだったKさんは仙台に出稼ぎに行ってたのだが、このまま仙台にいたら熱中症でしんじゃうと危機感を持ち秋田に帰ってきた



そして、ほんの数ヶ月後にこの水害…



『職安にも行かなきゃだし、家のこともやらなきゃだし…』と。



やはり、不安が大きくて眠れないのだと思う



60代半ばのKさん、足はあまり達者ではないが大工だったこともあり、家の中の壁や床の撤去はご自身でコツコツと進めてあった


前回ボクが来た時と比べると、風組の別チームが入ったこともあると思うが天井がほぼ撤去されていて、小さな体育館にでも入ったみたいな光景になっていた



Kさんの要望を聞き出して作業の方向性を決めていく桑さんとKOZENさん
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そしてこの日のメンバーは結構多く、宮城・山元町のテラセンこと《おてら災害ボランティアセンター》の坂野住職、学生ボランティア団体《IVUSA》のOB・OGのJunkiさんとKahoさん、そして曹洞宗の若手のお坊様が3名も。



Kさん宅は築70年の部分に隣接するように増築がなされており、今回の水害を機に70歳の部分の家を切り離して解体するという

 ⬆️
写真はすべて解体する部分で、右奥だけ資材置場として床板を残し、あとはすべて撤去する



床板を剥がしたら、その下にある根太や大引も家の構造に影響がない部分はすべて外してしまうことに。



小型のチェーンソーで大引をカットする坂野住職


あくまでも本職は山元町《普門寺》のご住職



時々かかってくる電話は法要のご予約だったり読経のご依頼だったり…



本物のご住職なんだけど、こんなにいろんな道具を使いこなして困っている人を助けてしまうのってカッコ良すぎ。



聞けば、震災の時に被害を受けたご自身のお寺をDIYで直していったのだという



そして突発的に始まる講習会


《荒板》と呼ばれる和室の畳の下の床板を剥がす



まず板の末端と根太との間にバールを打ち込んで…



持ち上げる!


少し持ち上げたら別のバールを突っ込んで支えておき、先ほどのバールで前方を持ち上げる


と、この繰り返し。



但し、このやり方だと釘が残ったままの床板が大量に発生してしまい、あとで運搬するときに自分に刺さりかねない



釘を抜きながら板を剥がしていくより早いのだけど、床板を廃棄する前提でのテクニックと言えるかも



また、社協のボランティアのように自分が知らない人たちで構成される翌日以降のグループに引き継ぐときは、怪我の原因にもなるのでハンマーで釘を叩いて寝かせておいたりという気遣いも場合によっては必要かと感じた



時間的制約と安全性の両立は、なかなか難しい。



一方こちらはKahoさんが捨て張りのベニヤ剥がしに挑戦中


先ほどの坂野先生と同様、片方のバールで持ち上げたらもう片方のバールを突っ込んで支えておき…というのを繰り返していく



ここで桑原先生から技術指導!


普段、雫石の水害ボラ講習会で習ったりしても新品のコンパネに新品の釘だと割合簡単に思った通りに外せる



しかし実際の現場では釘が錆びて抜けなかったり、腐食が進んで頭が弾けとんで根太に残ってしまったり…



板も湿気を吸っていればバールで持ち上げようとすると割れてしまうこともある



現場で指導してくれるのってめちゃくちゃ分かりやすいし、作業しながら《いま聞きたいこと》をすぐ質問して教えてもらうことができるので、ものすごく役に立つ



そんなこんなで、部屋はどんどん解体されていき…


床板もほぼ取り外して根太も撤去!



建物の構造上、強度低下しない部分の大引も撤去していき…


床に敷き詰めてあった防湿シート(恐らくリフォームの時に敷いたと思われる)も全て外していって、昼御飯タイム



みんなは《秋田チャンポン》を食べに行ったみたい


五城目でのボラの時にKAZさんに連れていってもらった店も《唐人チャンポン》が有名だったし、秋田は何故かこれがソウルフード化しているようだ



さて、最後に部屋の中や建物の周囲の釘を拾い集めて今回のKさん宅のミッションは完了!



この後は風組の小林さんチームに引き継がれるとのことで、ボクたちは次のお宅へ向かう






2軒目は、浸水被害にあって度々ニュースに出てきた《聖霊学園女子高》のお隣のYさんのところ



前回のブログにも書いたが、初動時にボランティアが入って畳あげなどの片付けをした後『ブルーシートを敷いておけば問題ないですよ』などというとんでもないガセネタを吹き込まれてしまい、この酷暑のなかで1ヶ月ほど床板を蒸らしてしまった部屋がある

 ⬆️
前回、9月上旬の写真
右にあるのが問題のブルーシートだ



部屋に入ると右の壁にタンスがいくつかあるのだが、90歳くらいのおばあちゃんがボヨンボヨンになった床板の上を行ったり来たりしながらタンスの中身を片付けようとしていたらしい



体重が軽かったために奇跡的に踏み抜かなかったのだが…



このままでは危険なため一般ボラを入れるわけにはいかないということで、前回は主に部屋の入り口とタンスとの間の動線だけ床板を撤去してコンパネを仮張りして、送風機をセットして床下に風を送るようにしておいた



今回のミッションは、タンスの下の床板も撤去して改めて部屋全体のコンパネを敷き直してしっかり固定し、送風機をセットして風を床下に送りつつ普段の片付け作業に危険がない状態を作ろうというもの



《仏壇の部屋》チームと別れ、こちらの部屋は3名でタンスを移動して元々あった床板を剥がしていく


昨年の講習会と前回のKさん宅で桑さんに教えてもらったテクニックで、小さなバールを垂直に叩き込んで釘を抜いていく



…が、釘が細いのか腐食が進んでいるのか、ほとんどのものが頭が弾けてしまってうまく抜けない。。



どうしても根太に残って抜けないものは、コンパネを敷くときに邪魔にならないようにハンマーで根太に叩きつけてフラットにしておく


釘も抜きづらい上、すっかり湿気を吸ってしまった捨て張りのベニヤは、まるでミルフィーユのように薄くバラバラに剥がれてしまう



それでも黙々と作業を進めていけるのは、前回よりも気温が涼しくなってきたからか…



9月上旬に来たときは、あまりの蒸し暑さにマスクの中を汗が流れていった



床下を覗き込んでみると…


だいぶ乾燥が進んでいるみたいだ



ただ、増築をしたらしく床下に不自然にコンクリートの壁があって、風がうまく循環しづらい感じ



送風機に加え、ダクトをつけたサーキュレーターで奥に風を送った方が良さそうだった


この開口部も少し小さく作り直さなきゃ。



時計を見れば17時近く



とりあえず時間が遅くなってしまったので、翌日へ持ち越しとすることにして、一旦解散。



宿に泊まるメンバーの皆さんと別れて、体を洗うために温泉を検索


秋田市の東の方の山の中にある《河辺岩見温泉》へ


泉質は茶色くてトロッとしたようなお湯



シャワーやカランは《押すと一定時間で止まっちゃう》ものではなく家庭用に近い作りで使いやすく、隣との間が衝立で完全に仕切られているのでシャンプーの泡が飛んでしまうとかシャワーのお湯がかかってしまうなんていう心配をしなくていいのが嬉しい



小さな子供連れで行くと狭く感じるかも?



綺麗に体を洗い流してすっかり温まりリラックス



そして、往路で気になったラーメン屋さんへGO!



やはりここもあの日の水害でやられてしまったようだが、8月24日に営業再開したとのこと



頼んだのはコレ!


ネギ味噌大盛りにネギ増し!!



コッテリ具合もちょうどよく、お腹いっぱいに♪



そして悩んだのは車中泊の場所



秋田市街地からは《道の駅 協和》も《道の駅 しょうわ》も距離的にはほとんど変わりがなかった



ならば、泊まり慣れている《しょうわ》へ!


ということで、道の駅しょうわ。



数日前にもここで寝ていた気がするんだけど…



この日、桑さんからいただいた【風組Tシャツ】


『塾生として合格!』って。



これ、めちゃめちゃカッコいいなー欲しいなーって思って見ていたやつ。



なんでも、熊本での活動で出会った書家の女性に書いてもらったんだとか



『現場で経験を積む人たちのユニフォームだよ』とのありがたいお言葉



これはタカラモノにしなくては。



ということで、ジムニー泊2日目


荷物をできるだけ運転席に置いて後部を広くすれば、かなり快適な空間になることに改めて気づく



前夜より少し気温が高く、シュラフのファスナーを全開にして布団のように体にかけて寝ることにした



さて、明日も頑張らなきゃ!