- 峠 (上巻) (新潮文庫)/司馬 遼太郎
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先日「歳月」 を読み終えたが、その前に読んだのがこの「峠」である。
歳月もそうだが、タイトルからは誰の話かわからないので、
てっきり山岳ものかとすら思っていた。
きっかけは、社長100人がすすめる歴史小説みたいな特集で、
何人もの社長が司馬遼太郎作品の中でこれをあげていたこと。
「坂の上の雲」は有名だが、この「峠」って誰のいつの時代を描いたもの?
社長が感銘をうけるところってどこなんだろう?っていう観点から読んでみた。
主人公は河井継之助 新潟長岡藩を率いて
幕末、大政奉還により官軍となった薩長に対して、恭順する佐幕藩が多い中で、
それまでに準備した武力を交渉材料と市、1藩での中立を模索した物語。
今の時代から見れば、日本を改革し、幕府制度を崩壊しなければならない中で
薩長の革命に対抗し血を流すことになんの意味があるのか、という見方もできる。
彼の行動の論理は「立場」
長岡藩の幹部として、藩のためにどうすればいいかという命題に対しては
こう動くしかない、むしろよくここまでつきつけたというぐらいだろう。
彼はその才能と生涯を、越後長岡藩のためにという立場で貫いた。
よくも悪くも。
勝手なことをいえば、崩れいく幕府体制、反体制を考えれば、
立場を変えて、
脱藩して日本のために、という方法もあったと思う。
しかし、
これは、会社でもあることだ。
自分の事業のことだけを考えるのか、事業部全体を考えるのか、会社全体を考えるのか?
事業部製の組織は、その仕組み上、必ず縦割りで事業部のことしか考えない。
横串の仕組みが必要だろう。
さらには、世の中のためにはこのほうがいいと思っても、
自分が属する会社のためにはこっちのほうが利益があがる、というのは
当たり前にある、
つまり属する立場を抜きにしては何もかたれないのだろう。
そういった矛盾のなか、思考をつきつめた河井継之助を
現代の社長の方たちは共感と感銘をうけたのかもしれない。
また、
「行動をともなわない知識は必要がない」という言葉は非常に共感をうけた。
自分もインプットは多いがそれによってアウトプット(アクション)がともなっているか?
と反省することしきりで
一つの本から行動が一つでも変わるように心がけたい。
とりあえず、司馬作品をだいぶ読んできたがおすすめの一冊であることは間違いない。
次は、世に棲む日日 (主人公:高杉晋作)を読む予定です。