「デューン 砂の惑星PART2」バティースタ続投でどうなった!? | プロレスライター新井宏の「映画とプロレスPARTⅡ」

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あれから2年半あまり、ついに登場したデューン 砂の惑星PART2』(23年)。まずは第1作「DUNE/デューン 砂の惑星」(20年)の記事をリバイバル。その後、新作について掲載する。

 

こちらは21年10月23日に掲載したものです。

「DUNE/デューン 砂の惑星」バティースタ登場シーンに象徴される壮大すぎる序章

『灼熱の魂』(10年)『複製された男』(13年)『プリズナーズ』(13年)『ボーダーライン』(15年)『メッセージ』(16年)『ブレードランナー2049』(17年)。ドゥニ・ヴィルヌーブ監督作品には、とにかくハズレがない。しかも作品が発表されるたびにスケールアップしており、新作『DENE/デューン 砂の惑星』(20年)は、スケールアップを何乗にもしたかのような破格の超大作である。

 これは、『スター・ウォーズ』にも大きな影響を与えたとされるフランク・ハーバート原作のSF小説の映画化だ。過去にもこの作品の映画化にはいろいろあって、いずれもいわくつきである。

私的21世紀ベストワンの『マルホランド・ドライブ』(01年)を撮った巨匠デイビッド・リンチによる『デューン/砂の惑星』(84年)は見ていないが、公開当時、興行的にも評価的にも失敗作の烙印を押されていた。チリが生んだ巨匠アレハンドロ・ホドロフスキーも映画化を試みたが、右往左往のうちにあえなく頓挫。その模様を記録した『ホドロフスキーのDUNE』(13年)がドキュメンタリーの傑作だっただけに、南米発の本編が完成していたらどうなっていたか、とんでもない怪作が誕生していたのではないかと、ついつい妄想してしまう。

それだけに、過去のいきさつと相まってのハズレなしのヴィルヌーブ作品とあれば、期待値はおのずと高くなる。コロナ禍での社会情勢もあり、まさしく待望の公開と言っていいだろう。

『デューン』で失敗したリンチ、ホドロフスキーとも、カルトの名をほしいままにする名匠だ。カルトな2人をもってしても果たせなかった壮大すぎる物語をヴィルヌーブが完成させた。果たしてそれは、『灼熱の魂』のような魂を揺さぶる壮絶極まりない人間ドラマか、『複製された男』のような複雑怪奇な世界観か、それとも『ブレードランナー2049』のような、ヴィルヌーブ色をキープしたうえでの正当かつ喝采を送りたくなる続編(今回の場合はリメイク)か。

この巨大なプロジェクトには、錚々たるスターたちが名を連ねた。主人公のポールにティモシー・シャラメ、母親にレベッカ・ファーガソン、父親にオスカー・アイザック。さらにジョシュ・ブローリン、ジェイソン・モモア、ハビエル・バルデム、シャーロット・ランプリング、ステラン・スカルスガルドといった国際色豊かなオールスターが揃ったのである。そしてここに堂々加わるのが、元WWEスーパースター、バティースタことデイブ・バウティスタなのだ。

「遥か昔、遠い彼方の銀河系」ではなく、時は10191年という遠すぎる未来。しかも登場人物たちは地球人によく似た異星人ではなく地球人そのもので、その遠すぎる未来で人類は地球を離れ、いくつもの星に分散しているのだ。

惑星カラダンに住むアトレイデス家は宇宙帝国から砂漠の惑星アラキスの管理を任される。アラキスには不老長寿の薬とされるメランジが採取されており、これは惑星間の移動に不可欠、現代のガソリンに値する資源なのだろう。80年間アラキスを統治していた惑星ジェディプライムのハルコンネン家はこの惑星から追い出されたことで、アトレイデス家の全滅を計画する。ハルコンネン家を仕切る男爵の甥を演じるのがバティースタ演じるラッバーン。男爵の側近で、軍の急先鋒的役割を担っている。

映画はオープニングシーンからバティースタが登場する。ヴィルヌーブの前作『ブレードランナー2049』に続いての登板だ。ラッバーンは男爵から「メランジによる収益を搾り取れ」「(アラキス先住民の)クレメンを皆殺しにせよ」との指示を受ける。ところが、バティースタの大暴れは見られないまま映画は終わってしまう。オープニングではタイトルが「DUNE part one」となっていた。実際、描かれていたのは長編小説の前半までとのことで、2時間半かけ、ようやく出発点にたどり着いた感覚だ。

続編ありきの本作ながら、第2作を同時進行で撮影したわけでもなければ、まだ正式に製作も決まっていないのだという。そもそもこの一本で莫大な制作費がかかっている。それを回収するような大ヒットにならなければ、第2作が作られない可能性もあるようだ。もしもそうなってしまったら、また新たなる失敗として映画史に刻まれ、忘れられる? 「呪われたデューン」と言われないためにもぜひとも続編は作っていただきたい(もちろん、ドゥニ・ヴィルヌーブ監督で)。バティースタの大暴れは、続編で見られると信じている!

 

「デューン 砂の惑星PART2」バティースタ続投でどうなった!?

あれほど人を馬鹿にした映画もなかったと思わされた第1作。3時間近くも見せておきながら話はいっこうに進まず、ラストで「さあ、ここからが始まりよ!」って…。当時はまだ続編の製作が決まっていたわけではなく、頓挫していたら映画史に残る汚点となっていたことだろう。最先端技術の無駄遣いもいいところだった。

 なのでまったく見る気はなかったのだが、評判は上々で「おもしろいよ」とすすめれらたので見ることに。バティースタが出てるだけに、やっぱり見ておかなければ。

 主要登場人物のひとりに名を連ねていた元WWEのバティースタことテデイブ・バウティスタ。前作ではハルコンネン男爵の命令に「ははー、かしこまりました」と応じるも、その後何もしないまま映画は終わる。続編が作られなければ本当にヤバかった役柄だ。それだけにうっぷんを晴らすような活躍が期待される。今回は、ハルコンネン家にはバウティスタ演じるラッバーンに弟がいたという設定だ。

 弟のフェイド・ラウサ・ハルコンネンを演じるのはジェラルド・バトラー。バウティスタのラッバーンがいつも頭に血が上っている怒り沸点の男なら、フェイド・ラウサは冷徹非情の容赦ない男と、ある意味で対照的。もともとデイビッド・リンチ版ではポリスのスティングが演じ、幻のホドロフスキー版ではローリング・ストーンズのミック・ジャガーが予定されていたという。いわゆるロックスター枠で、バトラーは『エルヴィス』でエルヴィス・プレスリーを演じているとあって、うってつけの配役といっていいだろう。

 なお、バティースタのラッバーンはホドロフスキー版ではアンドレ・ザ・ジャイアントが候補にあがっていたらしい。ここはプロレスラー枠なのだろうか。

 続編ではハルコンネン家のハルコンネン男爵、ラッバーン、フェイド・ラウサが悪の三本柱。ラッバーンは彼らの星の収入源であるスパイス採取の失敗で男爵からダメ出しを食らい、厳しい立場に追いやられる。今作ではフェイド・ラウサのバトラーがメチャメチャ株を上げており、バティースタはおいしいところを持っていかれてしまったようだ。同時に、バティースタの物語上の失態がバトラーを引き上げたとも言えるだろう。ちなみに、ベビーフェース軍では、ハビエル・バルデム演じるスティルガ-の予言信じまくりに苦笑せざるをえない?

 「大いなる闘いが始まるぞ」。そしてまたまた、次はどうなるのというラストのセリフ。どうやら第1作のような不安なく、第3作が作られることになりそう。マッドなあの人もカメオで出たいたことだし…。