クリス・ジェリコがサメバカ映画「シャークネード エクストリーム・ミッション」を語る | プロレスライター新井宏の「映画とプロレスPARTⅡ」

プロレスライター新井宏の「映画とプロレスPARTⅡ」

週刊プロレスモバイル連載「週モバロードショー~映画とプロレス~」延長戦!

 新日本プロレスの11・3大阪にクリス・ジェリコが参戦、EVILを破り、内藤哲也から奪取したIWGPインターコンチネンタルヘビー級王座の防衛に成功した。新日本では翌朝、ジェリコを緊急インタビュー(その模様は新日本のHPhttps://www.njpw.co.jp/174738で!)。その場に同席し取材したのだが、インタビューでは彼の夢が実現したクルーズイベント「クリス・ジェリコ ロックンレスリング・レイジャー」の話も聞くことができた。

 

 このイベントは1027日から4日間にかけておこなわれたもので、フロリダ州マイアミからバハマ諸島ナッソーまでをクルージング。船内ではさまざまな催し物がおこなわれ、プロレスをはじめコンサートやコメディアンのステージなど、多くのパフォーマンスが披露された。

 

 プロレスからはROH、インパクトレスリングが参戦し、「シー・オブ・オナー・トーナメント」を中心にトータルで8大会を開催。スペシャルゲストとしてプロレス界のレジェンドたちも参加した。主役のジェリコはプロレスの試合(ジェリコ&ヤングバックス組vsケニー・オメガ&Cody&マーティ・スカル組)とFOZZYのライブ、さらに「トーク・イズ・ジェリコ」と題したトークショーを実施。レイ・ミステリオ、コナン、DDPを招いて故エディ・ゲレロをトリビュートし、ジェリー・ローラー、ジム・ロスの実況陣や、バレットクラブとのトークも繰り広げた。また、憧れのリッキー・スティムボートとはシングルで語り合った。リードボーカルをつとめるFOZZYのライブではイベントのトリも含めて3ステージをこなし、ジェリコのワンマンショーまでおこなっている。さらにこのクルーズイベントでは映画も上映。ハロウィンシーズンに合わせ、『スクリーム』(96年)と『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』(93年)が選ばれた。

 

 映画といえば、ジェリコもまた、いくつもの映画やテレビ番組に出演しているスーパースターだ。たとえば、人食いサメが襲ってくる人気シリーズの『シャークネード』第3弾『シャークネード エクストリーム・ミッション(原題『SHARKNADO3:OH HELL NO!』)』(15年)。これはB級映画専門(!?)の製作会社アサイラムによるテレビムービーで、15年7月13日のWWEロウでジェリコ出演がPRされ、22日にアメリカで放送された。シリーズについては同ブログの「今週のもう一本!」であらためて触れるとして、ここでは映画について話したジェリコのインタビューを掲載する。

 

――どのようにして『シャークネード エクストリーム・ミッション』への出演が決まったのですか。

「最初は、マネジャーに製作会社から連絡がきたんだ。その話を聞いてから、脚本をもらった。脚本が気に入ったので、よろこんでオファーを受けたよ。しかもオレの役はカメオ出演ではなかったしね。このシリーズでは、ビッグスターがカメオ出演することも人気だけど、カメオだったら出ていたかどうかはわからない。しっかりとしたキャラクターがあったので、やってみようと思ったんだ」

――シリーズ3作目ですが、前2作をご覧になったことはありますか。

「いや、申し訳ないけど観たことはなかったね。でも人気シリーズだけにタイトルは知っていたよ。出演が決まってから慌てて第1作『シャークネード』(13年)を観たんだ(笑)」

――どんな役柄でしたか。

「役名は、ブルース・ザ・ライド・アテンダント。テーマパークでジェットコースターを担当しているスタッフさ」

――オーランドのユニバーサルスタジオ・フロリダですよね。

「イエス。ハリウッド・リップライド・ロックイットというローラーコースターだよ」

――テーマパークも乗り物も実在するものですね。

「ああ。だからよりおもしろいんだよね。実在の場所にサメが襲ってくるんだぜ(笑)」

――出発前にお客さんを盛り上げるのも仕事のようですが。

「そうなんだ。このブルースがいまからロケットを発射するぜ、さあみんな、いってこい!ってね。だけど最後はサメに襲われる(笑)」

――襲われてこそ、おいしい役ですよね。

「もちろんだよ!」

――撮影はいかがでしたか。

「爆発しそうなくらい楽しかったよ」

――懐かしの大物スターも、カメオではなく重要な役で出演していました。

「デビッド・ハッセルホフ(『ナイトライダー』=80年代に一世を風靡したTVドラマ)、ボー・デレク(『テン』=79年)。また、ミュージシャンのNe―Yoも大統領のエージェント役で出演していたよね。なかでも個人的にうれしかったのは、キム・リチャーズとの共演だったね。彼女は70年代から80年代にかけて人気だった『大草原の小さな家』でブレイクした子役。子どもの頃、大ファンだったんだよ!」

――彼女もテーマパークのスタッフでした。共演シーンがありますよね。

「画面の端っこで2人が話をしているんだ」

――別の出演者が中心のシーンだったので、なにを話しているかは聞こえてきませんでした。

「(笑)」

――こういったB級映画に出るのはどうですか。

「楽しいよ。このシリーズは、3作目がピークだったと思う。いわゆるバカ映画なんだけど、みんなそれをわかってやっている。もちろん、ビッグスターたちもそれがやりたくて出演しているんだ。バカをやるのがコンセプトだからね。演技していて楽しいし、もちろん観ても楽しい。オレ自身がB級映画のファンだからね」

――たとえば、どんな作品が好きですか。

「ハリウッド大作はあまり好きじゃない。やっぱり、B級ホラーが好きだね。ジャパンのJホラーも観るよ。たとえば『オーディション』(00年)。『バトルロワイアル』(00年)もお気に入りさ」

――“ザ・ロック”ドウェイン・ジョンソンが映画界で大成功しています。プロレスラーで映画界に進出する選手も多いですよね。ジェリコ選手もそのひとりです。プロレスと映画の共通点は?

「どちらもキャラクターになりきることだね。演技もプロレスの試合も、どちらも自分自身とは違う人物にならなければならない。プロレスだって、本当に素の自分だったら闘えないよ。どこかでスイッチを入れて変身しなければならない。それは演技での役作りでも同じ。プロレスではドレッシングルームで素の自分を捨てるのさ。リング上のクリス・ジェリコはプロレスラーのクリス・ジェリコに変身している。リング外のオレとは異なる人物なんだ。なりきるという点で、プロレスと演技には共通点が多い。だから映画界に進出する選手も多いんだろうね」

――ジェリコ選手の場合、バンド活動もそうですよね。

「イエス。ステージではFOZZYのクリス・ジェリコを演じる、なりきる。大事なのは、求められるキャラクターになるということ。プロレスの歴史においても、偉大なレスラーというのはみんな役割を使い分けてきた。たとえばグレート・ムタ、ジ・アンダーテイカー。“アルファ”を名乗るニュージャパンのクリス・ジェリコもそうだ。それは、『ミッション:インポッシブル』シリーズのトム・クルーズも一緒だよ(笑)」

クルーズイベントの模様を視聴するジェリコ