この作品は感動作ではなく悲劇の作品と思うべき

 

 

第二次世界大戦後の当時のソ連によってシベリア収容所に捕虜として抑留された山本幡男氏とその仲間を描いた作品です。

 

人気俳優陣の出演、美しい音楽などにより予告編を観る限り家族愛、夫婦愛、友情を描いた感動作のように錯覚しますが、この作品が描いているのは戦争に巻き込まれた国民の悲惨なエピソードです。

その為、本作の上映後に感じたのは感動ではなく、悲しさでもなく何とも言葉にできない虚無感でした。

 

映画の為に多少は史実とは異なり綺麗に表現しているシーンもあるかと思いますが、実際は目を背けたくなる悲惨なエピソードの数々が現場では起きていたのではないかと思います。

そんな状況の中でも、自分を見失わず多くの仲間に良い影響を与え続けた二宮和也演じる山本氏の行動には本当に尊敬に値しますが、戦争自体が無ければそんな無駄な経験をしなくて良かった訳で、作品の終盤で山本氏のセリフを聞いて思わず涙が出てしまい

ました。本当に戦争が生み出すものは何もないことを本作を通して身に染みます。

 

本作については色々な意見があると思います。しかし、製作側が人気俳優陣の協力を得て国民の1人でも多くが本作に興味を持ち、「戦争の無意味さ」、「犠牲になる国民の悲惨さ」を訴えるものとして世に出したものと思っています。

 

世界を見渡すと今なおどこかで戦争、紛争が起こっています。一日も早く終結することを祈ると同時に我々もそれが対岸の火事ではないことは認識すべきかと思います。

【2022年/日本】

【ジャンル】ドラマ

【出演】二宮和也 北川景子 松坂桃李 他