良いドラマの映画版が全て良い訳ではない

 

2021年に裁判所を舞台に異色の刑事裁判官を中心に東京地方裁判所第3支部第1刑事部(通称:イチケイ)の面々の活躍を描いたドラマ「イチケイのカラス」。主演の竹野内豊や黒木華などの好演もあり非常に面白く、楽しいテレビドラマでした。

 

本作の原作は漫画。私は未読なものの調べると原作の主役はドラマで黒木華演じる坂間千鶴。もっと正確に書くと坂間真平で女性ではなく、男性。この時点で原作から乖離しており、多分、物語も骨子を守りつつもところどころストーリーが異なることが容易に想像できる。

漫画をベースにドラマ化、映画化したものの、その後、原作者と揉めるなどしてお蔵入り作品(があると言われている)フジテレビ製作の本作であるものの、原作と異なるという理由で非難する声を聞いたことがない。

考えるにキャスト、演出、ストーリー全てが良かったということもあり、非難が起こらなかったと想像しています。まぁ、陰では製作陣と発行書店含める原作者側と色々と調整が行われたことを想像に難くないですが。。。

 

さて、このテレビドラマは、私自身非常に好きな作品で、当時、フジテレビ製作の漫画原作の映画は「東京リベンジャーズ」はじめ秀作を世に出しており、「ドラマが良い。それをベースに映画化。間違いなく良い作品」と考え、映画版の鑑賞を非常に楽しみ

にしていました。

 

で、鑑賞。「えっ、これ何?」といった出来。全体的に矛盾が多い話でストーリー展開もかなり強引。

映画のテーマは悪くなく、むしろ良かったです。但し、このテーマに対して強引にストーリーを当てはめた為、結果、ストーリーのところどころに矛盾が生じたのではないかと思います。

また、無駄なお笑いシーンが多く、シリアスのテーマとの調和が崩壊しており、これに加えて強引なストーリー展開で最初の言葉が出てしまいました。

 

テレビ同様にキャスト陣の演技は良かったものの、感動させようとするシーンを無理やり押し込んでおり、「このストーリーでよく感情移入できたな」と感心しました。変な形であるもののプロの俳優の凄さがよくわかりました。
テレビドラマよし、キャストよしだったのになぜ映画で失速してしまったんでしょうか?今も謎です。

ちなみに、テレビドラマはスペシャル版含めて全てクオリティは高いです。

【2023年/日本】

【ジャンル】ドラマ

【出演者】竹野内豊 黒木華 小日向文世 他

 

映画「イチケイのカラス」 - フジテレビ (fujitv.co.jp)