これはショービジネス界だけの闇ではない

 

セクハラや性的暴力被害を訴え世の中を変えようとする#MeToo運動のきっかけとなったニューヨーク・タイムズの報道の真実を

それを追いかけた二人の女性記者の行動を描いた作品です。

 

まず本作を観る前の疑問に思ったのが、本作で描かれているパワーハラスメント、セクシャルハラスメントの悪事がなぜ長年続けられ問題にならなかったこと。言論の自由が保障され(と思われている)、日常的に裁判が行われるアメリカではショービジネス界といえども被害者は助けを求めることができるのではないか?と思っていましたが、声を上げること、業界で力を持つ者と戦うのがどれほど難しく、困難であるかを本作を鑑賞してよく理解ができました。

 

作中では被害者を助ける為、二人の記者が被害者や関係者の証言や証拠を苦労しながら集めます。当然、相手はショービジネス界の巨人。あらゆる妨害や脅迫が入りますが、実際は、本作に描かれている以上の妨害や脅迫を受けて身の危険を感じたのは1度や2度でないことが容易に想像できます。

 

記者たちの努力ある活動による報道は、その後の#MeToo運動の1つのきっかけとなり世界的運動に繋がる訳ですが、これはショービジネス界だけの特有のものでしょうか?

 

パワハラ、セクハラとここ数年社会的問題として注目され、企業などではその取り組みを行っていますが、その実態はどうでしょうか?「対策やってますよ」と対外的アピールを目的としたポーズだけになっていないでしょうか?

 

本作を観終わった時に「これはショービジネス界だけの問題ではない」と思ったのは正直な感想です。

最近、以前のように#MeToo運動の文字をニュースなどで目にすることは少なくなりましたが、この問題はまだ続いており、みなさんの身近で起きているかもしれません。

 

本作を観て「別世界の出来事」と考えずに「自分事」として考える必要があるのではないか?と思います。

【2022年/アメリカ】

【ジャンル】ドラマ

【出演】キャリー・マリガン ゾーイ・カザン 他

 

 


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