観終わった後は違和感が残るが徐々に作品の真意が理解できるようになる
時間があり、観れる映画が本作しかなかった為、鑑賞。
物語の舞台は不動産を中心としたバブル経済に沸く台湾。台北郊外に住む父親と息子は自分たちの家、自分たちの店(理容室)を
持つために日々倹約生活を送っている。息子は、父親の行いが正しいと信じ、身なりの貧しい手作りの服を他の生徒達にからかわれても我慢して生活していたものの、ある日自分たち親子が住む家の地主である老獪なキツネ(オールドフォックス)と呼ばれる老人との出会いから彼は「自分の人生」について疑問を持ち、考え始める。
観る前はタイトルの意味も「何を選択するのか?」全く想像もつかなかったものの、ストーリーが進むにつれてタイトルの意味や少年(息子)が何の選択を迫られているのか?を理解することができた。
よく本作で少年が選択する(した)ものは1つの考えであり、地主が説く考えも1つの考えであり、それが正しいか?それとも正しくないか?は本人次第。そう考えると本作のテーマは非常に興味深く、本作に登場する地主、少年、その父親のどれを選択するのか?を観客に問いているようにも思える。
一方、本作には父親の恋バナ的なエピソードもあり、多分、監督の狙いとしては地主とのコントラストを考えての演出だったかと思うものの、作品から考えると若干くどかったようにも思える。これが観終わってすぐの感想。
しかし、時間が経つにつれてくどいと思っていた恋バナの理由が徐々に理解でき、地主とのコントラストだけではないことに気づく。そう考えると本作が監督賞をはじめ映画祭で賞を受賞したことが理解できる。
選択した少年、選択肢を与えた地主、地主の考える選択肢すら発想のない父親、どれが一番正しい選択肢だったのか?その後の彼らの人生を少し見たい気がする。
因みに地主のキャラクターを観て「日本でリメイクするのならビートたけし(北野武)だなぁ」という思いが頭から離れずに鑑賞していた。
時代設定やバブル経済など日本の時代背景と酷似するものが多いが、当時、日本に本作で描かれている親子がいたかというと疑問が残る。やはりリメイクはないか。
【2023年/台湾 日本】
【ジャンル】ドラマ
【出演】バイ・ルンイン リウ・グァンティン アキオ・チェン 門脇麦
映画『オールド・フォックス 11歳の選択』公式サイト (oldfox11.com)