名も無き人々のもう1つの第二次世界大戦

 

第二次世界大戦下の上海を舞台に共産党、国民党、日本軍3つ巴のスパイ達の情報戦を描いた作品です。

登場人物達にモデルがいるかどうかは定かではないですが、当時、本作に描かれていたような人物がいて、人知れず水面下での戦いがあったことは容易に想像できます。

 

戦下で自分の素性がばれると即消される(殺される)緊張感がスクリーンを通して伝わり、時代物サスペンスアクション映画としてはクオリティ高い作品でした。

但し、ストーリー展開の時間軸が行ったり、来たりして当時の時代背景が明るくない人や鑑賞中に登場するキャラクターと周りとの関係性を把握できない場合は、理解が追い付くのはかなり苦しいかと思います。

 

主演は、香港の名優トニー・レオンと中国本土の歌手でありタレントであるワン・イーボー。トニー・レオンは相変わらずの名演技でしたが、ワン・イーボーも負けず劣らずの演技を見せてくれます。

 

ストーリーが進むにつれて、それぞれの関係性が明らかになり、当然のことながら裏切りも発生します。日本と中国それぞれの祖国を持つ者同士。仮に時代が戦時中ではなく、今の時代であれば、彼らは心からの親友になり、穏やかに生活していたのではないか?と思うと戦争が持つ陰の部分を感じてしまいます。

 

中国映画にありがちな「中国=正義」ではなく、戦争を通しての戦争の無意味さ、無情さを作品を通して伝えてくれます。

【2023年/中国】

【ジャンル】ドラマ

【出演】トニー・レオン ワン・イーボー 他

 

 

 

 

映画『無名』公式HP (unpfilm.com)