自分の幸せは自分で決める

 

毎日同じ時間に起床。顔を洗い、髭を整え、育ている草木に水を与える。

自宅のアパート前にある自動販売機で缶コーヒーを購入し、本日の職場となる公衆トイレまで車で移動。公衆トイレを丁寧に清掃し、小型ミラーを使って汚れがないあ隅々までチェック。清掃が終わると次の職場へ。

昼休憩。昼食を撮りながら、自前のカメラで木々を撮影。帰宅後、銭湯に行き、行きつけのお店で夕食を済ませると自宅の寝床で読書。就寝。たまに気に入った美人ママのいるカウンターのあるこじゃれたお店で食事。

 

ほぼ毎日同じルーティンが繰り返される。たまに変化のあることもあるが、大きな事件でもない。作品では、主役の中年男性の日々が延々と繰り返されるだけ。えっ?と思われる方もいるかもしれないですが、本当にこれだけ。

 

ただ驚くべきことに男性の日々をスクリーンを通して観ると癒される。男性がニコニコしながら仕事をする姿、美味しそうにお酒を飲む姿、本当に癒される。

 

男性の素性が詳しく説明される訳ではないものの、中年男性の佇まい、ちょっとした仕草、少ないものの発する言葉から何となく想像される。

大きな事件も無ければ、スーパーヒーローや絶世の美女が登場する訳ではない。

淡々と男性の日々をカメラが追い続けるだけ。鑑賞しながら「人の幸せとは?」とついつい考えてしまいました。

お金とはなんだろうか?大きな家とはなんだろうか?美味しい食事とはなんだろうか?

男性の日々を観ると「幸せはひとそれぞれ。自分の人生は他人ではなく、自分で決めれる。」ということがわかります。


監督は、ドイツ人のヴィム・ベンダース。主演は役所広司。

外国人監督が、日本の生活を違和感なく描いていることに加え、その要求を日本人名優が見事に表現していることは驚きを通り越して感動を覚えます。

 

鑑賞すると本作がなぜ国際的な映画祭で受賞できたのかが納得できます。

 

アクションも無い、恋愛も無い、ましてや驚くべき映像マジックもない。

それでも人を感動させる映画を作れることを本作は証明してくれています。

【2023年/日本・ドイツ】

【ジャンル】ドラマ
【出演】役所広司 柄本時生 麻生祐未 他

 


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