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週刊ビッグコミックスピリッツで連載中の人気漫画「土竜の唄」を、監督 三池崇史×脚本 宮藤官九郎× 主演 生田斗真で映画化!5分に1度、何かが起こる!? 予測不能な潜入捜査コメディだ。 本作の主人公・玲二は、あるヤクザ組織を壊滅させるために組織へ送り込まれた潜入捜査官。その特殊な任務から、次から次へとものすごいピンチに追い込まれていく…というハラハラドキドキのキャラクターだ。この玲二に体当たりで挑んだのが、二枚目俳優の生田斗真。今回、バカ丸出しで、ドスケベなくせに女性経験がない童貞潜入捜査官・玲二を熱演する。また、メガホンをとった三池監督は、『クローズZERO』シリーズ、『ヤッターマン』、『十三人の刺客』、『悪の教典』など、劇場映画だけでも50本以上を手掛ける日本を代表する映画監督。鬼才が放つパワフルでエネルギッシュなブッ飛び演出が炸裂する!
今回、公開直前のキャンペーンで主演の生田斗真と三池崇史監督の2人が来名!本作の見どころを語ってくれた。
INTERVIEW
日々現場で起きるドキドキ感とスリルを楽しみました(生田)
▷▷漫画『土竜の唄』を映画としてどう料理しようと?
三池崇史監督(以下:監督)「料理というより、どの場合も絶対に果たさなきゃいけないと決めているのは、原作者に楽しんでもらうということ。一生懸命に生み出したキャラクターと作品が、映画になってみると違うなあ、わかってねぇなあってなったら、我々が存在する意味がなくなっちゃう。もちろんお客さんに楽しんでもらうことは絶対に必要ですけど、その前に原作者にこれは面白い! この漫画を描いてよかった! と思ってもらえるようにしたい。作品を預かって映画化している以上、きちんとして返すことが必要だと思うんです。ただ時間の制約とか色々あるし、演じる生身の人間の魅力も足していかなきゃいけないので、原作者に喜んでもらうのはすごく難しいんですけど、この作品はきちんとクリアできて、我々も現場で作るのを楽しんで、お客さんにも劇場にさえ来てもらえれば必ず楽しんでもらえる。男性のお客さん、特に中高生の男の子に観てもらいたいですけど、女性も楽しめるので、ヤクザものでしょ? 男の映画でしょ?って先入観を捨てて、劇場に知らないモノを体験しにきてもらいたいですね」
▷▷生田さんは以前から三池監督とお仕事したいと思っていたそうですね。
生田斗真(以下:生田)「三池作品をたくさん観てきて、三池さんが描く男の世界に憧れ、自分もいつかこの中に入ってみたいなって思いがありました。それに京都の撮影所で隣のスタジオが三池組だったったことが2度ほどあって、こっちが『源氏物語』で雅な格好をしている隣で、『十三人の刺客』の人たちがボロボロの着物を着て、汚しメイクをしていて。真逆の世界だったこともあっていいなあ、カッコいいなあ、三池組って楽しそうだなって思っていたんです。三池組経験者の先輩や同年代の俳優さんからも三池組は楽しいよってずっと自慢話ばっかり聞かされてきたので、今回お仕事ができたのはすごく嬉しいですね」
▷▷玲二というキャラクターはどう演じようと?
生田「演じるにあたってはほぼノープランですね(笑)。ただ漫画で玲二がぶちキレた時や危ない目に遭った時、目が飛び出るんじゃないかっていうぐらいガッ!て表情をしているのがすごく印象的で、どこかで使えないかなとは思っていて。そう意味では顔芸ですかね(笑)」
監督「顔芸?(笑)」
生田「それに三池組の撮影は現場に行ってみないと、どんな風にカットを撮るのかわからない。かなり現場で変化していく部分があるんです。それが玲二がヤクザの世界に放り込まれて、今日を生きていくために必死でもがいていく姿とちょっと似てるなと。今日は何が起きるんだろうって日々ドキドキ感とスリルを楽しみながら、玲二とリンクしていった部分はあるかなと思います」
玲二みたいな生き方に男はみんな憧れると思います(生田)
▷▷玲二の魅力はどこだと思いますか?
生田「玲二みたいな生き方に男はみんな憧れると思いますし、僕もその1人です。玲二は自分の中の正義を貫き通して悪に立ち向かっていく。ダサイし、エロイし、おバカなんですけど、そのカッコ悪さが逆にカッコいいってなればいいなと思っていました。玲二みたいに生きたいけど、普段は自分の気持ちを殺して妥協してみたり、意見を引っ込めたりしている。でも玲二でいる時間は何をやってもいいワケですから、すごく大切で大好きな時間でした」
監督「私生活ではアレが一番役に立つんじゃないの? 我慢できなくなった時に皆川猿時の乳首を思い出すっていう」(一同爆笑)
生田「アハハハ」
監督「あそこは男性のみなさんに使っていただける」
生田「教訓ですね。女性には男性はこんなこと考えてるんだって知ってもらえる(笑)」
監督「男性は頑張ってるんだなってね(笑)」
▷▷玲二がいう鳥肌が立つほどカッコいい生き方、究極の男とは何だと思いますか?
生田「玲二の場合は愛する人を守るっていう気持ちが強いと思います。自分に置き換えると……やっぱり自分がこうだって思うことは貫いていきたいってことでしょうか」
▷▷玲二の兄弟分となるクレイジーパピヨンもカッコいい男でした。
生田「いわゆるヤクザといわれる世界で、世間的には悪として存在しているんだろうけど、パピヨンのようなカッコいい男がいて、仁義があって、そこに玲二は惹かれていく。そのカッコいいけどちょっとハズしてダサイところもあるパピヨンを、堤(真一)さんがすごく丁寧に豪快に演じてくださったので、まさに兄弟!って言いたくなるキャラクターでした」
▷▷堤さんとは演技について話されたりしましたか?
生田「あまりないですね。三池さんとも玲二をこうしていこうっていうやり取りはほとんどしませんでした。頭の中が繋がってるんじゃないかって思える感覚があって。三池さんがこうするならこっちの方が面白いなとか、言葉じゃなくてお芝居で見せていくというか。どこか共通認識があった気がします」
やると言ったらやる! 生田斗真の潔さはスゴいもんだと思いました(監督)
▷▷三池監督はドSなイメージがあると思うんですが……!?
監督「違う(笑)。それは違うと思う」
生田「アハハハ」
▷▷現場でドSだと感じたエピソードがあれば教えてください。
生田「全裸で洗車機に突っ込まれるシーンの時、説明をしてくれるんですけどずっとニヤニヤしてるんですよ。“こいつ本当にやる気か?”って感じで(笑)。その時はドSだなと思いました。でもそのシーンは三池さんだけじゃなく、周りのスタッフも楽しみにしていて、自分が洗車されるのを今か今かと待っている雰囲気があって(笑)。それを見ていると寒いとか、痛いとか、恐いとかいう気持ちはどっかに飛んでいきました」
▷▷とはいえ洗車機のシーンは本当に痛そうでした。
生田「車を洗うためのモノで人が入っちゃダメですから(笑)。強さの強弱がなくて痛いし、冷たいし、大変でしたよ。“もし本当に危なかったらストップとか言ってください”って言われてはいたんですけど、セリフで“やめろー!”とか言ってるから、何が合図かわからないんじゃないかなって思ってました(笑)」
▷▷監督は俳優としての生田さんをどう思われました?
監督「色々な現場を経験してきて、お芝居がグッと伝わってくるのは、もはや当然だと思うんです。ただ表現者として感心したのは心意気。絶対に逃げないし“どこまで脱ぐんですか?”とか“いつまでこんな格好なんでしょうか?”とか、小ちゃいことを言わないんです。それは玲二の周りが決めることであって、その玲二を演じているのに、演じている生田斗真がそんなこと気にしてる場合じゃないっていう。やると言ったらやる。その潔さはスゴいもんだなと思いました。でもさっき話した洗車機のシーンでニヤニヤしていたのは、Sとかって次元じゃなく、誰だって嬉しいと思いますよ(笑)。目の前でジャニーズが洗車機の中に吸い込まれていくのは(笑)」
生田「アハハハ」
監督「こういうことができるのは、映画の可能性は無限じゃねぇかって思いますよね。あのシーンや吹越(満)さんたちが突然、歌を歌い出したりするシーンは、もっとカットを割って見せるやり方もあるんでしょうけど、僕はポンとカメラを据えて傍観しちゃうんです。もうただただ見てるだけ。そういう意味ではフィクションでありながらドキュメンタリーでもある。本人は大変だと思いますけど、僕らは子供のように撮影を楽しめた。多くのシーンがそうでした。映画の仕事っていつ終わるかわかんないし大変だけど、やっぱり楽しいよなっていうのは本当に何度も感じましたね」
▷▷撮っていて笑っちゃうこともある?
監督「基本的に一番、笑っちゃってるでしょうね(笑)。本番中は我慢しますけど、それでもカットかける前に笑っちゃいますよ。でもそれがライブですから」
▷▷脚本の宮藤官九郎さんとは何度かタッグを組まれていますが、今回はこうきたか!と思ったことは?
監督「今回、打ち合わせしたポイントは1つでした。原作が今もまだ続いていて、撮影の時に34、5巻まで出ていたため、どこまで行くかっていうこと。作品によって違いますけど、普通は2時間前後で物語を収めようとすると5、6巻になる。でも今回は思い切って23、4巻まで、この話が区切りのつくところまでにしようと。ということは、どこを削ぎ落とすかという作業になる。それは宮藤官九郎にとって『土竜の唄』のどこが面白いのかという問いかけになるワケです。より削ぎ落としていくことで『土竜の唄』の本質に迫っていくという、脚本家にとっては自分の個性を殺していく作業。でもこんなにザクザク切ってココは残しますか?っていう感覚が妙に一致するんですよね。物語にはいらないけれども、やっぱりコレがないと『土竜の唄』じゃないよねっていう。原作に対するリスペクトの度合いが共通はしていたかな」
▷▷劇中で歌われる“土竜の唄”は宮藤さんのアイデア?
監督「ついつい出てきたんでしょうね(笑)。前にも出てきたんです。これは自分の推理ですが、恐らく普通の監督やプロデューサーに書いて出したら怒られますよ。“なんで歌うんですか?”“何を勝手に歌作っちゃってんの?”って(笑)。でも“コイツなら大丈夫じゃね?書いとこ”みたいな感じだったんじゃないかと(笑)。まあ本人がどれほど意識しているかは別にして、一見、思いつきに見えるようなことにも意味があると思うんです。きっとあの3人組はモグラの掟を伝える時に、言葉で言っただけでは体に染み込まないんじゃないかって考えて、例えば遠藤憲一あたりが“わかった!歌にしよう!”“歌?! そうかー!”って。玲二が(潜入捜査官のテストに)合格するのを見越して、たぶん半日ぐらい稽古したんですね。(一同爆笑)もし玲二が合格してなかったら“せっかく練習したのに!”“歌だけ歌っとく?”ってなりますよ。その無駄っぷりというかバカっぷりがいい。でもそれも玲二に伝えなきゃいけないっていう愛情ですよ。現実にはそういうカタチで撮ってはいませんが、困った時に言葉じゃなく歌だったからちょっと甦ってきたりしたのかもわかんない。彼らがやったなりの効果があったんじゃないかっていう風に僕らは読むんです。コイツらいい奴らだぜ!って(笑)。でもそれはこういう映画だよねっていうヒントにはなりますし、ひいては宮藤官九郎からの挑戦状みたいなところだと思います」
▷▷歌は最近の宮藤さんの持ち味なのかなと思いました(笑)
監督「ああマイブームなのかもしれないですね。でもそのマイブームをぶつけられても大体迷惑しますよね(笑)。自分でやっとけや!って(笑)。でもぶつけることが出来る対象だと思ってくれていると有り難いですね。少々暴投を投げたって取るんじゃないか、例え後ろに逃しても、逃がしっぷりがいいんじゃないかと。今回はちゃんと取れたのか、後ろに逃したのかわかりませんが、取れてない感じが面白いっていうこともありますからね(笑)」
TEXT=尾鍋栄里子
★『土竜の唄 潜入捜査官 REIJI』2/15(土)→ピカデリーほか
公式サイト
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(C)2014「土竜の唄」製作委員会 (C)高橋のぼる・小学館