映像だけは綺麗、映像だけは
ビリーとジュリアン兄弟は故郷アメリカから逃げ、
タイのバンコクでボクシングジムを経営しながら、
その裏でドラッグビジネスに手を染めていた。
ある日、兄ビリーが娼婦を殺した末、彼女の父親に殺害される。
犯罪組織を仕切る兄弟の母親がアメリカから急行し・・・という話。
「ドライヴ」のニコラス・ウィンディング・レフン監督によるバイオレンス映画。
主演は「ドライヴ」でも主役を務めたライアン・ゴズリング。
ニコラス監督作は、良くも悪くも芸術映画的な作風なんですよね。
「ヴァルハラ・ライジング」といい、「ブロンソン」といい。
一方「ドライヴ」は芸術性と娯楽性とがいい塩梅で混ざり合ってて、
個人的にはすごく好きな映画だったので、今回も期待してました。
しかし、本作は芸術性にバランスが偏り過ぎちゃった印象。
もちろん、ニコラス監督作特有のムーディーな映像美は素晴らしい。
電子音を多用した音楽も効果的に使われ、ゾクゾクさせられました。
また、ライアン・ゴズリングの寡黙な主人公もかっこよかった。
赤黒い映像が美しく、雰囲気抜群
おっさんのカラオケシーンで毎回笑ってしまう
ライアン・ゴズリングは、「ドライヴ」の主人公とキャラ被ってた
おっさんとジュリアンの殴り合いは、痛みと重量感があって好き
チビおっさんVSジュリアンのシーンで流れるこの曲好き
ただ、ストーリーがあまりにも薄っぺらすぎるし、
過激な暴力描写も気持ち悪くなっただけだし、正直やり過ぎ。
またどのキャラも倒錯していて、全く感情移入できませんでした。
思わせぶりなシーンが多い割に説明がほとんど無いのも困りもの。
印象に残ったのは、鬼神のごとき強さで暴れるチビなおっさんと、
おっさんが人殺しの後に歌う、ギャグのようなカラオケシーンのみ。
もしかしたらおっさんを主人公として観る映画だったのかも。
いろいろ想像の余地がありそうな映画ですが、もう観たくないなあ。
35/100点