パラサイト 半地下の家族

あらすじ/解説
「殺人の追憶」「グエムル 漢江の怪物」「スノーピアサー」の監督ポン・ジュノと主演ソン・ガンホが4度目のタッグを組み、2019年・第72回カンヌ国際映画祭で韓国映画初となるパルムドールを受賞した作品。キム一家は家族全員が失業中で、その日暮らしの貧しい生活を送っていた。そんなある日、長男ギウがIT企業のCEOであるパク氏の豪邸へ家庭教師の面接を受けに行くことに。そして妹ギジョンも、兄に続いて豪邸に足を踏み入れる。正反対の2つの家族の出会いは、想像を超える悲喜劇へと猛スピードで加速していく……。共演に「最後まで行く」のイ・ソンギュン、「後宮の秘密」のチョ・ヨジョン、「新感染 ファイナル・エクスプレス」のチェ・ウシク。



★4.5/5



これが格差社会エンターテイメント!



流行りの格差社会をテーマにしたここ最近の映画の中ではトップクラスの面白さ。まるでアクティブな万引き家族。


コメディを主軸としたストーリー展開にガハガハ笑っていたら、突如顔を出すバイオレンスとサスペンス、んー韓国映画はやっぱり期待を裏切らないんだな。


キャストはソンガンホを始めとした絶妙なキャスティングでポンジュノのセンスが光っている。特に妹役のパクソダムは曲者揃いな人物の中でブルジョアでもゲトーでもない雰囲気を常に醸し出していて抜群な存在感で格好良かった。



MVPを挙げるとするなら地下に住んでるリスペクトおじさんのパクミョンホンか。パラサイトする自分を完全に受け入れてしまった姿勢が何とも悲しいんだけど、時々垣間見える狂気に満ちた表情がちょっとムカデ人間2のアイツ感があって強烈だったなぁ。



そしてコミカル過ぎない演技や説明し過ぎないセリフのチョイス、カットやディテールで理解させる映画的演出にもポンジュノのセンスがまたしても光っていた。


中でも中盤の雨を活用した、コメディ、エロ、サスペンス、シリアスが次々と連続展開していく怒涛のシーンはスリリングかつスピーディーな勢いを維持しながらも、韓国のヘビーな格差社会をさり気なく説明してしまうという離れ技をしれっと見事にやってのけていて圧巻。



前半のパク家にキム家がどんどんパラサイトしていくシーンなんかは、タイの傑作カンニング映画『バッドジーニアス』を彷彿とさせるスタイリッシュな格好良さがあり、やってる事はエグいってのに思わずキム家を応援してしまう感覚がホアキン版ジョーカーを彷彿とさせるのでした。


成り上がる為のツールがこれだけ社会に溢れてるのに結局は金。成り上がるにはシンプルに金!という着飾ってない着地はリアルであり、切ないようにも感じた。



社会風刺でありながら、エンタメ志向な内容はパルムドールを受賞してきた数々の作品の中でも断トツ観やすく、いい意味でパルムドールっぽくない印象を受ける。


来月開催のアカデミー賞ではアジア初の作品賞受賞となるのか?ってか受賞して欲しい!


ポンジュノ!コリアンムービー!リスペクト!