相変わらず今回もクドイ駄話が映画の大半を占めちゃうのか〜と思っていたら、ワンハリを映画館に観に来た自分達が劇中の映画館のシーンで上映される映画作品を実際のスクリーン越しに観るというトリッキーさ、マンソンファミリーが巣食う廃れた映画スタジオにクリフが立ち入る緊張感あるスリラー、そして誰もが笑えるブラックユーモアなど、ジャンルを問わないメリハリの効いた演出にエンタメ性を感じた。そこにはタランティーノっぽさが控えめな印象を受けるが、アト6対談を聴くと監督自身が意図した演出のようにも思える。
そしてディカプリオとブラピという豪華共演は今作の最大の強味だと思う。映画に興味無い職場のおばちゃん達も『デカプリオとブラピの映画観たい〜』と言ってたしなぁ。ダメンズなコメディリリーフのディカプリオとハードボイルドなブラピは演出の力もあるんだろうけど、今作限りでリック&クリフを終わらせるには勿体ないと思える程ハマっていて見事。他にもお馴染みのマイケルマドセンやカートラッセル、ティムロス、アルパチーノ、ヒロインにマーゴットロビーと脇を固めるキャストも何気に豪華だったりする。
物語のクライマックスにはシャロンテート事件が待っている。そこは"ジャンゴ"や"イングロリアスバスターズ"のような歴史改変展開が待っていて笑えるし、痛快だしで、もう最高!でしかないのだけど、シャロンテートの夫であるポランスキーはまだ存命だし、事件に関わってる人であるしって考えると中々エグいなとも思えてくる。
あと、この事件について事前に予習しておいたのは良かった。予習したか、してないか、で映画の醍醐味を味わえないのは今作唯一の難点だろう。
監督自身は予習しなくても問題ないと公言していたけど、やっぱ結果を知った上での、事件に辿り着くまでの過程やシャロンテート事件の歴史改変ラストが意味を成して来る気がするんだけどなぁ。
それはそうと、今作を観た後に改めて思う、映画を映画館で観る事の楽しさや深さ、価値感なんかを意識させられる体験って、ネトフリやアマプラでお手軽に映画を観れるこのご時世だからこそスペシャルに思えてくる。映画を映画館で観るなんて当たり前だと思ってた。
今作もマニアックから王道まで映画オマージュが盛り沢山でその全ては把握しきれないけど、こうやって古き良き映画をフレッシュなモノとして現代に蘇らせるタランティーノスタイルをアイデア不足なハリウッド映画界はパクリじゃなくて、サンプリングすべきだと僕は毎回思うのでした。
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