トマホーク ガンマンVS食人族


あらすじ/解説
「ヘイトフル・エイト」のカート・ラッセルが主演を務め、食人族に連れ去られた人々を救うべく立ち上がった4人のガンマンの戦いを描いた西部劇アクションスリラー。アメリカの荒野にある田舎町で、複数の住人が忽然と姿を消した。さらに空き家の納屋で、惨殺された男性の遺体が発見される。現場の遺留品や遺体の状態から、犯人は食人族として恐れられている原住民であることが判明。保安官のハントら4人の男たちは拉致された人々を助けるため、足跡をたどって荒野を進んで行くが……。共演に「ウォッチメン」のパトリック・ウィルソン、テレビドラマ「LOST」のマシュー・フォックス、「扉をたたく人」のリチャード・ジェンキンス。「ザ・インシデント」の脚本を手掛けたS・クレイグ・ザラーがメガホンをとった。


★3.6/5


誰もが期待しないタイトル。しかし中身は骨太な西部劇であり、フレッシュなグロテスクホラー。名作でもなく傑作でもなく、これは奇作だ。



監督はS・クレイグ・サラー。『デンジャラスプリズン』『ザインシデント』の2作品を監督しているが未見なんで、また追って観たいと思う。

映画好きなら誰もが聞いてると思われる、ライムスターの宇多丸師匠がメインMCを務めるTBSラジオ、アフター6ジャンクションのとあるコーナーで紹介されていたのをキッカケに拝見!

なんせ『トマホーク ガンマンvs食人族』って邦題だけに、紹介されてなかったら絶対スルーしてた作品だろう。ちなみに原題は『トマホーク 』なんですね。うん、原題の方が邦題より全然イケてますね。

そんな、ふざけた邦題に対して、ストーリーは良く言えば渋いし、悪く言えば退屈とも言える。なんせ肝心のタイトルにもなってるvs食人族までのシーンに到達するのに約1時間30分というね…

そこに行き着くまでは、ほぼほぼ西部を舞台にしたロードムービーで、タランティーノ映画のような駄話な展開が目立ちます。駄話だからと適当に聞き流してると、ちょっとした伏線が忍ばされてあって油断ができない。でも定点カメラで撮影されたような引いたカットが睡魔に引き込む事必須なんで、観る時はしっかり睡眠を取りたい。


そして待ち兼ねたクライマックスの食人族戦。これまでのユルい雰囲気から一気にハードモードに突入するわけなんですよ。

何の前触れもなく、気づいたらそこに居て一瞬で狩る、または波状攻撃で次々と襲いかかる。という隙を与えない合理的なゲリラ戦法は今まで観たことない演出で斬新。奴らが装備する鈍器や刃物を使った人体破壊描写も重々しく、容赦なく、人体の脆さを生々しく再現し、奴らが使う独特な言語というか喉仏に埋め込められた笛の音なんかは良い意味で不気味だ。


ゴア描写は、あるシーンを除けば大した事はないが、そのあるシーンこそが凄い。頭バッコーン!からの股裂きジャキジャキ!と、この合理的で悪趣味なアイデアをよく思いついたなぁ〜と思わず感心する。

役者は主役を務めるカートラッセル以外は知名度の低い役者ばかり……かと思ってたら、パトリックウィルソンが出てたり、ブレードランナーのレイチェルがチョイ役で出演したりと豪華さを抑えたキャスティングが作品の雰囲気にマッチしていて良かった。


カートラッセルなんかは『ガーディアンズオブギャラクシー』みたいな大作から今作みたいな低予算作品まで、その幅広さに好感を持てる。そういやパトリックウィルソンも『アクアマン 』で宿敵のオーシャンマスター役で出演していたなぁ〜。

全体的に一点集中型な盛り上がりをみせるクセのある作品だけど、映画秘宝ファンなら観て損はないはず。ここだけの話し、フレッシュなゴア描写を観るだけでも十分観る価値はあるでしょう。