アクアマン


あらすじ/解説
DCコミックス原作のヒーローで、「ジャスティス・リーグ」にも参戦したアクアマンを主役に描くアクション大作。海底に広がる巨大な帝国アトランティスを築いた海底人たちの王女を母に持ち、人間の血も引くアクアマンは、アーサー・カリーという名の人間として地上で育てられた。やがて、アトランティスが人類を征服しようと地上に攻め入り、アクアマンは、アトランティスとの戦いに身を投じていく。人気テレビシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」で知られるハワイ出身の俳優ジェイソン・モモアがタイトルロールのアクアマンを演じ、世界的大ヒットを記録した「ワイルド・スピード SKY MISSION」のジェームズ・ワン監督がメガホンをとった。共演にアンバー・ハード、ウィレム・デフォー、ニコール・キッドマンほか。


★3.7/5


これまでのダークな雰囲気のDC映画を払拭するような、ただただアッパーな作品。全体的にダサさが目立つ。だが、そこが良い。



監督はジェームズ・ワン。代表作は『死霊館』シリーズ、『ワイルドスピード:スカイミッション』などでしょうか。なかでも個人的に推したいのは『狼の死刑宣告』。上記の作品と比べると地味だけど、かなりの傑作だと思う。
DCU作品第6弾のアクアマン。DCUの過去作と比べるかなり思い切った印象を受けちゃいます。DCU作品特有の重々しいストーリーとかキャラ設定や長たらしい会話がないんですよね。

ストーリー展開は驚くべきテンポで進んでいき、少々の脚本の粗さ、予定調和過ぎるだろ!?なんてツッコミは野暮な話しだと言わんばかりのアクションの連続で強引に魅せる。ちょっとでもシリアスなシーンが続けばドカーン!という爆発と共に毎回戦闘が始まる仕組みで観客を退屈させない親切設計が良い。これにはワイスピで得たパリピイズムを感じてしまう。

最先端VFX技術を駆使した、ちゃんと水中感を残したアクションは凄いけど、冒頭のニコールキッドマンが縦横無尽に室内で戦うワンカット風のアクションシーンには度肝抜かされた。


中盤にある冒頭のワンカット風撮影をさらに進化させたシチリアの洒落た街をパルクールで複数のキャラが同時に追いかけっこを展開するシーンはサーカスのようで単純に楽しいし、見応え充分で印象的。アクアマンとヘラがトレンチの群れから逃げるシーンはワン監督が得意とするホラー演出がキレキレでアクアマンだと言うのに思わずゾッとしてしまった。


しかし、その一方でダサさも目立つ。特に音楽と衣装はラズベリー賞を狙ってるのか?と疑う程のダサさ。

海から陸地にアクアマンとヘラがびしょ濡れで上陸し、その姿をスローに舐め回すし、バックではウェッサイな曲が流れるという演出はワイスピイズムを感じるシーンでダサくて笑ってしまったし、全身タイツにスパンコールを施したような衣装も絶妙なダサさだ。


なかでもブラックマンタのデザインに関してはスタッフは誰も異議を唱えなかったのだろうか?流石に土偶過ぎてダサい。調べてみれば意外と原作に似せたデザインでぐうの音も出なかった。


キャストに、メラの父親役でドルフラングレン。アクアマンの宿敵オーム王はパトリックウィルソンという"じゃない方役者"の意外過ぎるキャスティングにビックリするし、今思えばアクアマン役のジェイソンモモアも、この系統にも思えてくる。


衣装と音楽はダサいし、キャスティングは"じゃない方役者"だけど、アクションは凄いというアンバランスさが木曜洋画劇場っぽくて、懐かしさを感じた。

他のDCU作品と足並みを揃える気がないような破茶滅茶な内容だけど、海にゴミや汚水を垂れ流したりする海洋汚染に踏み込んだテーマが忍ばせてあって好感を持てる。

世界興行収入は10億ドルという破格の数字を更新してしまったアクアマン。もう踏んだり蹴ったりなDCUは全作品をジェームズワンに委ねた方が良いような気がする。

当然続編も決定しているだろう。続編はIMAXで観たいものです。というか、最近の映画はどれもIMAX推奨ばっかりだし、早く香川にもIMAXを作って欲しいばかりだ。はよ。