低温やけど

 

ホカロンで、低温やけどとなると、夏にはアザができる、と彼女は言った。

 

ホカロンの低温やけどが夏にアザを生むなんて、まるで季節外れの裏切りだ。彼女はそう言いながら、腕についた薄紫の痕を見せてきた。冬の寒さを凌ぐために信じたポカロンが、夏の日差しの下で静かに攻撃を仕掛けていたとは。なんという陰謀だろう。

 

「これ、どう思う?」と彼女が聞く。私はホカロンを恨むべきか、それとも彼女の使い方を責めるべきか迷った。だが、アザがまるで芸術作品のように見えたので、ついこう言ってしまった。

 

「それ、この夏の新しいファッションじゃない?」

 

彼女は眉をひそめたが、少し笑ったように見えた。ホカロンの罪は重いが、少なくとも話のネタにはなった。低温やけどがもたらすアザが、彼女の夏を少しだけドラマチックにしてくれたのは確かだ。

泥中の蓮

 

深い緑と茶の中間色に沈んだ、薄暗い世界。水面に広がる巨大な蓮の葉は、その葉脈の輝きを失い、皺と渇きを内包しながら、皿のように湾曲している。まるで、時の流れから切り離された、静止した記憶のようだ。

葉を支える細い茎は、闇の中から立ち昇り、孤高の精神を象徴しているかのよう。その下、水面近くには蕾が項垂れている。未だ開かぬ命が、重力と静寂に身を委ね、深い沈黙を保っていた。そして背景の霧のような影の中に、蓮の実の枯れた頭が、かすかな輪郭だけで浮かんでいる。

これは、かつての賑わいと栄華の余韻。水面に満ち溢れていた光と色が、遠い過去の幻となった池の底の物語だ。

老いた葉は、長い夏の過酷な熱と、それを耐え忍んだ静かな誇りを覚えている。かつては天を仰ぎ、雨を受け止め、泥の底で咲き誇った無数の花の生命力を記憶している。しかし今、池全体が深い瞑想に入ったかのように、時の流れは緩慢になり、色彩は褪せていった。

項垂れた蕾は、この静寂と衰退の世界で、開花を待っているのか、それとも永遠の眠りを選んだのか。その未知の運命が、この暗い水面に唯一の動きと緊張感を与えていた。

 

 

絵に描いた人生

いくら画家と言えども、人生は絵に描いたようにはいかないものだ。

アトリエの大きな窓から差し込む光は、以前は彼女にとってインスピレーションの源だった。鮮やかな色彩を連れてくる光。だが、四十を過ぎた頃から、その光さえもどこか色褪せて見え始めた。筆は思うように進まなくなり、キャンバスは白いまま、彼女を拒絶しているかのようだ。かつては、奔放で力強い色彩で人を魅了した彼女の絵も、いまはどこか曇りがちで、魂の輝きを失っている。

パレットの上で絵具を混ぜる。赤、青、黄色――純粋な色を求めれば求めるほど、混ぜれば混ぜるほど、色は深く濁っていく。それはまるで、彼女自身の心象風景のようだった。あの頃の、湧き上がるような情熱の源泉が、いまや枯れ果てた泉の底にある泥水のように感じられた。キャンバスの上で立ちすくむ自分の影を見ているようだった。

「どうしてなの、こんなはずではなかったのに」

かつては、アトリエにひっきりなしに訪れた画商や熱心なコレクターたち。彼らの熱い視線と賞賛の言葉が、彼女の制作意欲を掻き立てた。しかし、いまは違う。依頼は減り、電話が鳴ることも稀になった。郵便受けには、毎年楽しみにしていた大きな展覧会の招待状も届かない。代わりに届くのは、請求書の束ばかりだ。

生活は日々の糧を得るだけで精一杯になり、愛用していた高価な輸入の画材を買うことさえためらうようになった。新しいチューブの絵具を開けるとき、罪悪感にも似た感情が胸をよぎる。「これも描けない絵の無駄になるのではないか」と。

彼女は、長い間握りしめていた筆をそっと置いた。手のひらには、筆の軸の跡が深く残っている。彼女は立ち上がり、窓の外に広がる灰色の空を見上げる。季節はずれの冷たい雨が、アトリエのガラスを静かに叩いている。

才能とは、努力とは、運命とは何だったのだろう。あんなにも信じていた自分自身の表現が、いまはどこにも見当たらない。

絵に描いたような成功、富、名声。そんなものはないと、頭では理解している。わかっている。それでも、この孤独で不確かな現実から逃れるために、彼女は一枚の絵に救いを求めてしまうのだった。それは、まだ見ぬ、鮮やかで、自分を肯定してくれる理想の人生を、もう一度キャンバスに描き出すという、ほとんど信仰に近い行為だったのかもしれない。

彼女は深い息を吐き、もう一度パレットに手を伸ばす。濁った色の中から、光を探すように。