あの日、私は心の奥底で、静かに終わらせようとしていた。

心も体も、もう限界だった。

誰にも言えない思いを抱え、 

「もう、生きなくてもいい」と感じていた。

悲鳴のような叫びではなく、静かな祈りのように。 

 

私は、目を瞑り、自分の胸に両手を当てて、自分の体に向かって、こうお願いした。

「お願いですから、私の魂を手放してください」

ただ、それだけを願っていた。 

このまま息を吐くように、消えてしまえたら。 

それができたら、どれだけ楽だろうとさえ思っていた。

 

でもそのとき、体はこう答えた。

 

「ダメ」

 

はっきりとした言葉ではない。

けれど、確かに“拒否”の感覚があった。 

「ダメ」「まだ終わらない」 そんな風に、体のどこかが、私を抱きとめたような感じだった。

 

そして次の瞬間、胸の中心から、ふわりと何かが現れた。

それは、小さな金色の光のボールだった。

まるで、胸の奥に隠れていた“いのちのかけら”のようなもの。 

それはやさしく、あたたかく、でもどこか涙が出るような寂しさをまとっていた。

 

その光は、私にこう伝えた。

「自分の知らない自分がいるよ」

私は

「え?」

と頭の中が混乱していた。

その意味も、すぐにはわからなかった。 

わかるはずもなかった。                                  

 

でも、その言葉を聞いた瞬間、私は「終わらせること」を忘れてしまっていた。

それが、すべての始まりだったのかもしれない。

 

光を見たからといって、すぐに救われたわけではなかった。 

苦しさは残っていたし、現実が変わったわけでもなかった。

けれどあのとき、体が「だめ」と言ってくれたこと。 

そして、胸から生まれた金色の光が、

「まだ終わっていない」と伝えてくれたこと。 

それだけが、私の中に“ほんの少しのズレ”を生んだ。

 

そのズレが、私をこの先の道へと導いていった。

「もういい」と思っていたのに、終われなかった。

だからこそ、始まった。

 

そのとき私は、まだ知らなかった。

この“知らない自分”と出会う旅が、これから始まっていくということを。

 

小さなことば

終わらせたかったそのとき、 体はあなたを「ダメ」と言って抱きとめていた。 

あなたの中に、まだ光を知る前の“誰か”が生きていた。 

それは、未来のあなた自身。 

どうかその声を、これからも聞き続けてください。 

光は、あなたの中に必ずいます。