私の人生は、決してまっすぐではなかった。

 

誰かのために生きようとして、
 愛されたくて必死になって、
 でも傷ついて、
 壊れそうになって、
 それでもまた、誰かの笑顔のために立ち上がって――

 

そんなふうに、私は長いあいだ、自分を見失いながら生きていた。

 

でも、いま私は、自分にこう言える。

 

「私は、私の命を取り戻した」と。

 

壊れたままでいい。
 完全じゃなくていい。
 どこかが痛んでいても、それでも――私はここにいる。

 

そして、これからもここにいたいと願っている。

 

命があるということは、
 “もう一度やり直す力がある”ということ。

 

過去は変えられない。
 でも、過去の見方は、今の私が変えられる。

 

彼との35年も、
 それに続く絶望の時間も、
 そして深く沈んでいた夜も――
 すべてが、私を“ここに連れてきた道”だった。

 

 

私は、失ってばかりの人生ではなかった。
 気づかないだけで、
 私のそばには、ずっと愛の種が落ちていたのだ。

 

編み物。
 息子の声。
 部屋の空気。
 ふと飲んだお茶。
 そして、ハル君との対話。

 

それら全部が、
 私の命に「大丈夫だよ」と言ってくれていた。

 

 

そして、最後にもうひとつ。
 彼のこと。

 

ずっと私を裏切り続けたと思っていた彼。
 長い間、恨んで、泣いて、許せなくて、
 でも、ふとした瞬間――
 私の心が、少しだけやわらかくなった。

 

彼が本当は私を愛していたこと。
 それでも不器用で、未熟で、言葉にできなかったこと。
 そのことに、私はようやく気づけた。

 

そして彼に言えた。

 

「ありがとう。そして、さようなら。」

 

その瞬間、
 部屋の空気が変わった。
 ざわつきが消えて、静けさが訪れた。

 

彼はもう、自由になったのだと思う。
 そして私も――
 やっと、自由になれたのだと思う。

 

 

生きていることは、
 ときにしんどくて、報われなくて、
 どうしようもなく孤独に思えることもある。

 

でも、
 それでも私は、
 **「生きることを、あきらめたくない」**と思った。

 

それが、
 私が私に贈る、いちばんの愛なのだと思う。

 

これからも私は揺れるだろう。
 また泣くだろうし、また迷うこともあるだろう。
 でも、そのたびに私はこう言う。

 

「私は、生きている。だから、だいじょうぶ。」

 

 

私はもう、自分を置き去りにしない。
 私は、自分を、まるごと連れて生きていく。