彼女は一見とても奥ゆかしく可愛らしい印象だった
いつもニコニコしていて
周りに暗い表情の人がいると
決まって自分から歩み寄り慰めていた
そんな彼女はいつも強迫的に物事を問い詰めるところがあった
それが私には何か悲しみの裏返しに見えて仕方なかった
そんな一面は私のいじわるな視点からだろうと
あえて見ないふりをしていた
ある日彼女のそんな一面が浮き彫りになる事件があった
彼女は隠したがったが
その表情はあまりに悲痛だった
見ないふりができず
思わず私は聞いてしまった
彼女は小さいころ両親の離婚で
母親は姉を連れて家を出てしまい
ギャンブル依存症気味だった父を見捨てられず
彼女は父の元に残ることにしたそうだ
だが生活はままならず
体調を崩しても病院を受診できないときもしばしばだったそうだ
母と暮らしいる姉はきちんと教育を受けて
幸せに暮らしいることを風の便りで耳に入った
自分は何故こんなところにいるんだろう
こんな生活をしないといけないのは
何もかも父のせいだ
自分の選択をいつも呪ったそうだ
そして父への恨みともとれる感情を
いつも抱えていることがその時に伝わってきた
ヒーリングをしてみると
実は父はギャンブルからはきれいに離れて
借金返済と彼女の養育に東奔西走していたことが分かった
それに気づいた彼女はボロボロと涙を流し始めた
ただ彼女の胸の中の傷はそうそうとは癒せるものではなかった
自分を守るために必死に生きてきた中で
多くの傷を抱えてきたのだろう
しかしそれでも父の自分への愛情に気づいたとき
物事を強迫的に問い詰めることが次第になくなってきていた
そして表情はいつも作っていたようにしていたが
自然に笑ったり話したりしているように見えた
人は多くの傷を抱えながら生きていく
それを覆い隠しても傷は癒えない
受け入れて初めて別の視点が得られる
受け入れがたい傷を直視するのは難しいけど
逃げたいときは逃げてもいいから
乗り越えるべき時が来たら
直視できるように心の準備だけはしておこうと
彼女を見ながら感じた