(※林業生活3年目の初夏に漸くデビュー)
(※今夏?に新発売のチェンソーブーツです)
(※いろんな研究をしていたら、月刊blogになってしまったぁ〜週刊化したいのに…)
世界の、
「林業の世界も昔に比べたら事故も減ってきたと思うが、全体の林業従事者も滅法減ってきて…結局は率から見たら…減ってはいるけど…(溜め息)」
と林業における法改正やガイドライン変更により、またまた安全装備の見直しが入り、ますます動きにくく「安全ってなんだろう…」と呟く先輩のボヤキをよく聞くようになってしまった皆さん、こんばんは。望創家ノリです。
本日の大分県山間部は曇り。台風19号がかすめただけだった大分県でしたが、生まれ育った千葉県がずっと気がかりでした…。朝晩はめっきり気温が下がり10℃以下の日も。日中のお昼休み時にはダウンジャケットもどきとダウンベストもどきを着て寝ています。
皆さんの地域は如何でしたでしょうか。
(※とにかく立派なチェンソーブーツであります)
さてはて、完全に夏も終わり、金木犀も散り、いよいよ本格的に秋が到来した大分県山間部でありますが、相も変わらず標高1,000m付近の20年生ぐらいのスギ・ヒノキの山の中の道入れのための支障木伐採後の造材作業に追われ…ひたすらに来る日も来る日も、枝を払い…4mに揃えて玉切り(丸太にする作業)しておりました、が、無事に終わり、全て搬出をし、次の現場へ重機移動をする段取り中であります。
(※3年前までNYにいた自分がまさか重機に乗っているとは…人生って面白いですよね。まだまだ死ねない)
そんな現場に入り中抜けもありましたが、あることをずーっとしていました。
足場がなかなかのフラットな現場なため、試しに…
「よぉ〜し、履かず嫌いは説得力がない」
と思い、ツル切り(※)時から早3〜4ヶ月、チェンソーブーツを履き続けました。
(※車の運転時、重機運転時にもずっとチェンソーブーツを履いておりました)
(※ツル切り:電柱に上ったカズラを停電防止のために切り歩くお仕事)
(※丸太用なのかなぁ…柔らかめの靴底です)
一応以前にチェンソーブーツと安全スパイク足袋との比較記事的なものも書きましたが、今回改めて、きちんとチェンソーブーツたるものを履いたあとの感想ということで、述べさせていただければと思います。
『まだ読んでいない方は、よかったらどうぞ』
(※草刈り機作業や裏庭作業にもオススメな安全足袋です)
まず、望創家は[足袋派]です。
足袋は足袋でも…
・鉄芯入り
・甲ガード入り
・鉄ピンスパイク底
・大ハゼ8枚
の、荘快堂さんのI-16-8という商品番号の安全スパイク足袋です。現在は2足を交互に履いております。
(※安全スパイク足袋の強化省エネ研究中)
(※やはり弱くても甲ガードがあると安心です)
が、とにかく安全スパイク足袋は[消耗品]でして、まともにノーマル(加工なし)のまま使用し続けたら3〜4ヶ月で確実に不具合が生じてきます。
一足4〜5,000円しますので、年間にしたら15,000円ほど出資することに。
(※補修や強化済みなら年間2〜3足で…いけるかなぁ…)
(※[伐り方]ではなく重機メインなら勿論足袋の消耗は防げます。とかく伐倒シーズン(10月/11月〜4月/3月)の消耗が激しいです)
要はですね、足袋は水気に弱いので…そんな悪天候や地のぬかるみが激しい場合のときは、敢えて…
「そうだ…チェンソーブーツを履こう!」
っということで、本日ご紹介するのは、国内大手老舗?登山用品メーカーの、
mont-bell(モンベル)
です。
(※因みにサイズは28cmです)
はじめてチェンソーブーツたるものを履き、昔登山靴を履いた、あの感覚だろうと…。
これから述べさせていただくのは、あくまでも個人的な感想です。プラス、[足袋派]からの意見です。
(※足袋との比較的な感想にもなっております)
(※blogネタの人柱に、ライトロガーパンツと脚絆も揃えましたが…いつかのネタにまだコメントは控えます、が、脚絆の購入はまだ控えた方がいいです。私にとったら不具合多過ぎ。林業向きじゃない。高い買い物でした)
・相当に重たい
→片足だけで約1,300gほど
・爪先が痛い
→斜面で踏ん張るときは爪先、通常は特に小指が痛い。望創家が幅広の足だからか、通常27.5cmですが、このチェンソーブーツでは28cmを。靴下二重で対処で防御力を上げよう
・造材時の枝払いで、払われた枝の中を歩こうものなら、枝の茂みにはまったら…抜け出す(足を上げる)のに大変
→もう先に進める気がしない
・一度下った斜面を登るのが…大変
→とにかく体力を使う
・滑る
→斜面を登るときに縦になった枝を踏んだら、滑りまくり
・機敏性が下がりまくり
→足袋だと安心してできたことに不安を覚えることしばしば
→一番の問題
・重機の運転が慣れないと相当に手間取る
→爪先と踵を使っての操作は最早28cmではできない(足の操作ペダルにブーツが入らない)、ので、爪先だけで大体はステップ操作する。
・シューレース(靴紐)の消耗(劣化)が激しい
→mont-bellロガーブーツ用の場合は店舗に基本的に売っていません。ネット注文もできません。店舗に問い合わせで「ロガーブーツ用の218cmのシューレースを」と注文されてください。1本単位の注文になり(税込198円)、1週間あればお取り寄せできます。
(※シューレース固定のためのDリンク?があり、そのため枝や雑木が多い現場でのDリンク部接触が激しく、その部分からシューレースが劣化していく)
(※実際ロガーブーツを履いてて思うのですが、ラウンド(丸紐)のシューレースのロング210cmでイケると思います。ロガーブーツ専用の218cmも長さは要らないと思います。今度購入して試してみます)
(※便利な固定機能なんですが、イバラな現場ですといろいろと消耗が激しい。林業は登山道のように人が通ったあとの山道というより未開発地を進むことが多々ありですからね)
・靴底が分厚いので足裏の感覚が鈍く、地の形状や地質が分かりづらいので、歩きにくい
→転びやすい
→これが大きな問題のひとつ
(※靴底の交換は9,000円、周囲のラバーも一緒に交換ですと11,000円だったかな…mont-bellさんに聞きました)
(※重機のブレードに当てることが多いので、スパイクピンの減りも早い)
・靴底の中央だけにスパイクピンがあり、その微妙さで重機の乗り降りで滑ることも
→どうせなら全体にスパイクピンが欲しかった
・何気にラバー部(ブーツ周囲の補強ゴム部)の消耗(劣化)が激しい
→履いて3ヶ月でかなり劣化しました
(※登山家以上にほぼ毎日使うものなので、高価(38,000円+税)ですが、2足をローテーションさせるのが賢明だと思われます)
・足首が痛くなる
→慣れれば多少緩和
・足首の可動域が狭まり自由が損なわれる
→慣れれば多少緩和
→ミッションの車も普通に運転してます
・とにかく転倒が多い
→慣れれば多少緩和
・足先を曲げての作業が難しい
→なんとなく痛みを覚えます
・手入れが大変
→ヌバックとGORE-TEXの組み合わせなので、専用のケア用品が必要。最低でも豚毛か馬毛の靴磨きブラシがあるといいです。とにかく汚れやすいので、その汚れを取り除くことを頻繁にしてあげないとヌバックのもちも悪く、GORE-TEXの効果も薄れていきます
(※紐通しの穴にはシリコンスプレーを定期的に吹いてます)
(※劣化したシューレースはDリンクによるものです)
(※シリコンスプレー:多用途に使える無溶剤のシリコン被膜をつくりだすスプレーです。防水性、潤滑性を向上させるのに便利です)
・サイズ感は人それぞれの足の形状次第
→幅広甲高さんはワンサイズ上げた方が小指の痛みが減るかもですが、インソールを工夫しないと急斜面でのツマ先への負荷が大きいと思います
如何でしたでしょうか。
あれ…
「悪い感想しかないやぁ〜ん!」
[足袋派]なので仕方のない感想ですが、次はそんな足袋には真似できない、このチェンソーブーツの素晴らしさを伝えたいと思います。
・GORE-TEX最高
→通気性、防水性が高いために、蒸れにくく雨にも強い
・鉄芯や甲ガードの屈強さ
→もう靴先が潰れる気がしません。チェンソーにも勝てそうです
・寒さを軽減
→足袋には真似できません
あれ…これ以上イイトコロが出てこない、けど、このチェンソーブーツの防護力はかなり高いです。
そもそもチェンソーブーツに求められるものとは防護力だと思いますので…そこに足袋の能力を求めては御門違いだと思います(思うようにしています)。
(※夏は暑いですけど、痒くて危険なことは避けたいので)
ここで、勝手に足袋とチェンソーブーツ(ロガーブーツ)を☆の数(7段階評価)で比べてみましょう。
甲ガード付き安全スパイク足袋
防護性:★★★☆☆☆☆
防水性:★★☆☆☆☆☆
通気性:★★★★★★★
機動性:★★★★★★★
耐久性:★★★☆☆☆☆
コスパ:★★★★☆☆☆
総合評価としての安全性は…
★★★★★☆☆
mont-bell
ロガーブーツ
防護性:★★★★★★★
防水性:★★★★★★☆
通気性:★★★☆☆☆☆
機動性:★☆☆☆☆☆☆
耐久性:★★★★★☆☆
コスパ:★★☆☆☆☆☆
総合評価としての安全性は…
★★☆☆☆☆☆
どうしてこのように総合評価としての安全性とした結果、差が開いたのでしょうか。
望創家視点での[林業における安全性]があり、多分それは個々で違うと思っています。
現段階で林業バリバリ世代の50代以上の先輩方に、
「今日から皆さん、法改正があり、事故防止策としてロガーブーツ着用が義務となりました」
と公に告知されたら…
チェンソーでのケガが減少する代わりに、
・チェンソーでの事故多発
→機敏性が下がり、いつもは避けられたことが…
→思いように足場が決まらず…
・転倒滑落者続出
→思うように足を動かせず
→足の裏の感覚が鈍くなり…
・体力消耗が激しく注意力低下
→事故率増加
→離職者増加
と勝手にモウソウします。
(※既に先輩方の多くはチェンソーパンツでさえ、大いに抵抗しております)
私がこのロガーブーツを履く用途として
・体力と筋力を養う
・雨や寒さ防止
・少しでも足袋の寿命を延ばすための延命措置
(※現場環境が悪いときに足袋を履きたくない)
なために履きます。
決して安全性を高めたいと思って履くわけではありません。
私が思う[林業の世界においての安全性]とは[機敏性]と思っているので、諸々の防護性と安全性を考慮し荘快堂I-16-8を履いています。
チェンソーパンツでもそうですが、どんなチェンソー事故からでも100%守ってくれるスーパーヒーローがチェンソーブーツではありません。
それは、
「自動ブレーキシステム搭載車だから、必ず事故から身を守ってくれます」
でもなく、
「エアーバックが追突事故から必ず身を守ってくれます」
でもありません。
それと一緒で、チェンソーブーツもチェンソーパンツも存在していると思っています。
あくまでも[事故軽減]です。
なので、自分なりの差し引きを考え、防護性が劣る分機敏性を上げて事故回避率を上げ、夏の暑さや臭気から逃れる分通気性を上げ、寒さを凌ぐために靴下二重作戦とインソールで対応し…消耗・劣化を遅らせるために耐久性を上げるコーティングをし…
などなど、その防護性に己を依存させず、常に緊張感を持って作業をしております。
これからチェンソーブーツをお考えの方、自分なりの安全や身体を考え、用途分けで足袋とチェンソーブーツを使い分けたり、うまく安全装備品を身につけていただけたらいいと思います。
「防護力と安全力はイコールではない」
もし可能であれば…mont-bellさんに望創家がモウソウするチェンソーブーツを…
「ボクシングシューズのような編み上げスタイルがベースな足袋型(&ブーツ型)チェンソーブーツを開発してください」
・靴底は薄く、全体にスパイクピン
・鉄芯入り
・甲ガードもさりげない薄さに
・重さも800gぐらいまでに軽量化
・全体的にしなやかなつくり
・GORE-TEX
・価格は19,800円〜24,800円(+税)
・ライトロガーブーツ(足袋型)
・踵にクッション材入り
・チェンソーパンツをブーツ内に入れたいひと用に、ブーツが少し大きめにガバッと開いて脱ぎ履きが容易にできる
荘快堂さんとmont-bellさんがコラボした、そんな安全スパイク足袋…つくって欲しいなぁ…
そんなモウソウをして今夜は寝るとします。
(※ふぅ〜一ヶ月の責務(ノルマ)から解放されたぁ〜って、好きでblog書いてますよ!)
それではまた次回お会いしましょう。
Ciao!
(※なかなかの快適グッズです→☆)
追記:
未だ[法律では定められていません]が、[ガイドライン改正]予定の今冬での文面では、
4)安全靴等の履物 作業を行う場所、作業の方法等に応じた適切な履物を使用すること。
安全靴は、つま先、足の甲部、足首及び下腿の前側半分に、ソーチェーンによる損傷を防ぐ保護部材が入っている2IS 2T 27)-02 に適合する安全靴又は同等以上の性能を有するものを使用すること。
となっております。
厚●省の方に聞いたのですが、ガイドラインはあくまでもガイドラインであって、法律で定められたものではない、と仰っておりました。
私にはよく分かりませ〜ん。
つまりガイドラインに違反しても、法律違反ではないので罰せられないということなのでしょうかね。
いつもいうように…
「自分の身は自分で守ろう!」
ですね。
後日談:
→足首の自由性が向上
→紐の劣化防止
→他の紐で代用可能に