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そぴあのブログ

今はカードキャプターさくらにハマり中です。
もちろんケヴィン・レイノルズ選手とニコライ・ホジャイノフ氏が好きです。
レイノルズ選手は引退されましたが、ホジャイノフ氏についての考察や感想も続けます。

以下のお話しは、感想というより、作中の小狼君のピアノと、合同発表会の言葉に、勝手に想像したお話しです。

こんな話があったらいいな…と。脳内のピアノ演奏者は、リヒテル氏です。作中の曲、リヒテル氏の演奏CDでしか聴いたことはありません。

いつかニコライ・ホジャイノフ氏の演奏で聴きたい曲の一つです。

ここは小狼君の演奏で実現してみたいなあというのがきっかけでした。とはいえ、そこまでまだお話しが行きついていないのですが。

(尚、文中の演奏、リヒテル氏の演奏に、溌剌さと、青春の甘酸っぱい感傷をプラスした感じのイメージです。)

 

主人公は小狼君です。

小狼君、私大好きなんです。

いつから好きだったかといいますと、第9話「さくらとふしぎなブローチ」で、さくらに振り下ろされた利佳ちゃんの剣を、小狼君が自分の剣で受けて、さくらをかばう描写を視た時からです。

因みに初登場の第7話のラストや、第8話のさくら初対面時のちょっと怖い李君のことは、リアルで視聴した初回放送時、やっぱり同年代の相方がいるよね、と思ったくらいだったような。最初から雪兎さんは憧れの人でしかないはずと考えていましたので。

李君というキャラクターを好きになってから、俄然視聴時の熱も上がっていきました(ええ、年甲斐もなく、です)。

だんだんと、さくらちゃんと李君の気持ちが重なって行く様子に(例えば第17話「さくらのこわーいきもだめし」)、胸ときめかせて視聴しておりました。

そして、遂にクロウカード編第40話「さくらと夢の中のさくら」を視た時、「待っていました!」と、感激したことを懐かしく思い出します。

この話数の初回放送時、5月の連休の時期で、実家に帰省していたため、自宅のビデオの録画タイマーを入れておらず、しまったと焦っていたのです。すると40話が放送されるはずの時間帯は、連休のせいなのか、制作の都合上なのか、総集編のような話が放送されていました。そして、翌週の40話を視て、もしこの話数を録り逃していたら、それこそ、こんなことで

「一生もんの悔いに」(byケロちゃん)になるところでした。

まさに「(一生もんの悔いは)人それぞれですわ」(by知世ちゃん)

ですものね。

以下のお話しを、楽しんで読んでいただける方がいらっしゃいましたら、うれしいです。

 

 

 

カードキャプターさくら第6話と第11話より

 

  『昼休みとピアノ』

 

「先約…ですか?」

昼休みになったばかりの職員室で、知世は意外なという面持ちで、コーラス部の顧問の丸田に問い返した。

「ええ。ピアノを弾かせてほしいとさっき来た子がいて。鍵を渡したところなのよ。」

「まあ、ではピアノを弾いておられるのですね。横で練習するわけにはまいりませんわね。残念ですわ…。失礼します、先生。」

知世は顧問に挨拶すると、後ろの秋穂を振り返り、互いにうなずきながら職員室を後にした。

 

翌日。

「え、今日も、ですか?」

「ええ、そうなの。昨日と同じ子よ。」

丸田は気の毒そうに、知世達を見て苦笑した。

「あなたたちと同じ1年生の子よ。3組の子だったから、大道寺さんは知らない子かも知れないわね。」

「3組? あの、どなたでしょう、お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」

「ええっと、外国から転校してきた子で…。」

知世ははたと、思いいたる。3組の外国人は一人だけのはずだ。

「李君ですね。」

「あ、そうそう、李君。思い出したわ。あら、お知り合いだったかしら。」

「はい。先生、ありがとうございました。」

知世はぺこりと先生に礼をして、得心顔の秋穂とともに、音楽室に急いだ。

 

音楽室は、特別室が並ぶ、北棟の3階のはずれにあり、次に授業のないこんな時間は、生徒達の行きかう姿もなく、閑散としている。

扉は閉まっているが、ピアノの柔らかく重なるたくさんの音が、廊下に漏れ出していた。

 

「見事な演奏ですね…何というか、すごく本格的なピアノ曲というか…。」

秋穂が気圧されたように知世を振り返った。お邪魔ではないかと心配顔になっている。

 

「秋穂ちゃん、大丈夫ですわ、きっと。そっと入りましょう。」

「え、いいんですか? 李君のお邪魔では…。」

「さ、開けますわよ…。」

知世は音をたてないようにそっと、扉を開け、秋穂に目配せして、音楽室に足を踏み入れた。そろそろと、秋穂もついてくる。

 

奥のピアノは鳴り続けていた。ちょうど、やや強めの和音が連打され、幾重にも重なる音は、二人の気配を奏者に伝えていないようだった。

 

ピアノの蓋はわずかに開いているだけだったが、譜面台の影になり、演奏者の顔が見えない。

演奏に集中しているのだろう、いつもは気配に敏感なはずの小狼がまったく侵入者に気付いていないようだった。

低音から高音部に、流れるパッセージ、しばしの沈黙から、水を含んだ穂先のようにしまった和音が響き、やがて曲が終わった。 

知世が、拍手する。秋穂もはっとして慌てて同じように拍手した。

がたっと音がして、演奏者が立ち上がった。小狼が驚いた顔で二人を見ている。

「李君、あの、ごめんなさい。でも、あんまり素敵な演奏でしたので…。」

秋穂が申し訳なさそうに呼びかけた。

「李君、お邪魔して申し訳ありませんわ。この時間は誰もいないものとばかり思っていたので練習しようと思っていたのですが、まさか李君に先を越されるとは。」

「いや、そうか。合同発表会、近いものな。大道寺達なら、寸暇を惜しんで練習するところだよな。俺の方こそ、邪魔して申し訳ない。」

「まあ、何を仰いますやら。でも先ほどの演奏、途中でしたけど、本当に素晴らしかったですわ。曲名をお伺いしても?」

「シューベルトのソナタ、イ長調。第13番の方だ。…何となく好きな曲なんだ。」

最後はつぶやくように付け加えた小狼。何故か少し恥ずかしそうである。

「ああ、小さなイ長調ソナタでしたかしら。確か、第一楽章がとても可憐で素敵な曲ですわね。…春の陽射しに、花びらが舞うような、可愛らしさとやさしさと寂しさとが一体となったような…。」

ふと、大切な友人の面影が知世の脳裏に浮かぶ。彼にとってもこの曲は同じ大切な人を偲ばせるとともに、恐らく彼自身の彼女への思慕の気持ちに寄り添う曲なのだ。だから、彼はこの曲が好きで、また急に弾きたくなったのではないか。自分自身の心と向き合うために。

続く言葉を飲み込み、知世は明るく、先ほどからの思いつきを口にする。

「あらためて、最初からお聴きしたいところですが、それはまたの機会に。李君。お願いがあります。せっかくですから、お邪魔ついでに、また私達の伴奏を引き受けてくださいませんか?」

小狼は、少しバツが悪そうに頬を赤らめ、一瞬下の方を向いたが、小さく息をはくと、わかったと顔をあげた。

「ああ、そうだな…俺で構わないのなら、邪魔をしたお詫びに。」

「まあ、構わないなんて! 李君の伴奏で練習できるなんて、こんな贅沢はありませんわ!ね、秋穂ちゃん!」

秋穂も少し顔を赤くし、こくこくと必死に頷いている。

知世は、ピアノに近づき、蓋を全開にすると、今度は、窓に近寄り、わずかに開いていただけだったカーテンを引き、窓を外側に押し開けた。射し込んだ初夏の強い陽射しに、ほこりがきらめく。

その間に秋穂から楽譜を受け取った小狼は、まばゆい光にわずかに目をすがめながら譜面を目で追っていた。

「…うまく弾けるといいが…。」

譜面立てに、楽譜を広げると、いつかのように、そっと鍵盤に指をおろす。短い前奏の後に、二人のやわらかく美しい、澄んだ声が重なる。

 

「『おぼろ月夜』はもちろんだけど、こっちの『空はみている』、たしかお花見の時に歌ってくれた曲だな…。この曲も、二人にとても合っている…やさしくて暖かい。それと、何より二人の音程がとてもしっかりとれているから美しいハーモニーになっている。見事なものだな。発表会が楽しみだ。」

小狼が感嘆したように、感想を述べた。

「あ、ありがとうございます…!」

秋穂はすっかり感激している。練習の甲斐があったというものだ。そして、いいことを思いついたといわんばかりに、顔をあげて半ば叫ぶように小狼に向かって言った。

「あ、あの、李君、発表会まで、私達の練習に付き合ってくださいませんか?」

「え? でも俺なんかより、もっとうまい先輩とか、コーラス部にはいっぱいいるだろう?」

小狼は意外そうにたずねた。

「でも、李君の伴奏、えっと、上手とか、歌いやすいとか、そういうことだけじゃなくて…。あ、もちろん、ものすごっく、お上手ですけど。

その、それだけじゃなくて、李君の伴奏で歌う時って、まるで大きな翼に包まれているような…そんな安心感があって…。それがとても心地よくて、いくらでも歌いたくなるんです!」

秋穂は一所懸命だった。

「そ、そうなのか…?」

そんな大袈裟なと、とまどう小狼に知世もあと一押しとばかりに、お願いしてくる。

「李君、お願いします。あと4日だけですし。お昼休み、ここで私達の練習に付き合ってくださいませんか?」

「李君!僕達からも、お願い、ね。」

その時、音楽室の入り口から、山崎の声がした。続いて千春、奈緒子、さくらが入って来る。

「私達も聴かせてもらっていたんだ。ほんと、李君の演奏、素敵だね。知世ちゃんと秋穂ちゃんと最高の組み合わせだよ。この前のおぼろ月夜すばらしかったもの。」

千春が続ける。

「さくらちゃんがね、もっと、李君のピアノを聴きたいって。また前みたいに、李君が伴奏して二人が歌うの聴きたいなあって。ね、さくらちゃん!」

千春がさくらを前に押しやった。

「ほら、さくらちゃん、ちゃんと李君に言ってあげて。」

さくらは、意を決したように小狼を見た。

「小狼君、私も、小狼君のピアノで知世ちゃんと秋穂ちゃんの歌が聴けるとうれしい。ううん、すごく聴きたい!お願い!」

真っ直ぐに小狼を見つめている、さくらの顔はとても真剣だ。

「…いいのか?」

小狼がおずおずと、さくらに許しを請うかのような口調でたずねる。

「これは、私からのお願い、だよ。私が聴きたいの。私がうれしいんだよ。あ…もちろん小狼君がいやじゃなければだけど…。」

さくらは、頬を赤く染めて少しうつむいたがまたすぐに顔をあげた。小狼はそんなさくらをじっと見つめる。しばし二人見つめ合った後、小狼が答えた。

「おれでよければ…発表会まで付き合う。」

やったあ、と女の子たちが手をたたきあい、山崎はうんうんと頷いている。

「じゃ、まだ時間あるよ。早速練習だね。さあ、もう一回! そうそうこのもう一回の、もうっていうのはね、牛の鳴き声みたいだけど…。」

何事か語り出した山崎の口を千春があわてて抑えると小狼に向かって言った。

「李君、お願いね。」

小狼は頷くと、知世達に目を合わせ、先ほどと同じようにそっと鍵盤に手を置いた。

さくらは、小狼をそっと見やる。そして、ピアノに向かう小狼の真剣な横顔から目を離すことができなくなっていることに、拍手が聞こえるまで気付くことはなかった。

 

(2018/4/28)

補足ですが。

顧問の丸田先生、名前の由来はマルタ・アルゲリッチ様からです。

ただし、風貌や性格は、似せてないのですが…もちろん(笑)。