そぴあのブログ -10ページ目

そぴあのブログ

今はカードキャプターさくらにハマり中です。
もちろんケヴィン・レイノルズ選手とニコライ・ホジャイノフ氏が好きです。
レイノルズ選手は引退されましたが、ホジャイノフ氏についての考察や感想も続けます。

「にこらい…?どうしたの?何があったの? ね、僕に話して。」
にこらいは、うなだれてしまったまま顔をあげません。やがて、小さなかすれるような声で話し出しました。
「…さっき、フランツ殿を目にした時…僕はもう少しで、彼にとびかかりそうになった。君の仇とばかりに。あんな激しい、めまいがするような怒りを覚えたのは初めてだ。…思い出したんだ、昨夜のこと。あの時…君を…君を失うんじゃないかと…。…本当に怖かった。もう、二度とごめんだ。こんなことは、もう、絶対にいやだ。僕は、君さえ…君さえ、僕の側で笑っていてくれればそれでいいんだ。迫る闇のことも何もかもどうでもいいんだ。君がいてくれたなら、それでいいんだ。それなのに…。もっと危険な目に遭わせるかも知れないことに、君を、巻き込んでしまった。僕は愚かで浅はかだった。僕は…。いや、すまない。僕が言っていいことではなかった。…すまない、けびん…。」
けびんは、手を伸ばし、うつむいているにこらいの、ふわふわとゆれる巻き毛に触れ、愛おしそうに優しく撫でました。
「ああ、今日もにこらいの髪に、さわることができた! ね! 明日も明後日もさわっていい?天界に帰ってしまったら、無理だけど、また遊びにきて、触らせてくれるよね? あ、もちろん僕が天界に行ってもいいんだよね。今度、アレクサンドラ様に天界への渡り方を教えてもらわなきゃ。…だから、僕、早く体を治すよ。そして、僕達二人で闇を退治しよう。だってそうしなきゃ、僕達皆の未来がなくなって、にこらいの髪に触れることも、演奏を聴くこともできなくなってしまうんだもの。僕は大丈夫だよ、にこらい。だって、僕は、一人じゃない、大好きなにこらいと二人で、頑張るんだ。」
にこらいは、ゆっくりと、うつむいていた顔をあげ、けびんを、見つめました。
「けびん…。本当に…?」
「うん。」
にこらいは、自分の頭にあったけびんの手をとり、大切そうに両手で包みました。
「…僕の髪をさわるのは、1日、1回、一撫でだけだよ。けびん…まったく、君ときたら。どうしてだろう、僕は君と一緒なら、何でも、どんなことでもできるような気がするよ。…わかった。そうだね、うん。二人で頑張ろう。…これからも、ずっと、君とともに。…けびん、ありがとう。」
にこらいの頬は、涙で濡れていました。けれども、にこらいは、今はにっこりと笑っていました。心からの美しい笑顔でした。これからも、いつまでも、にこらいのこんな笑顔を見ていたいのだと、そのためになら、自分はどんなことでも頑張ることができるのだと、けびんは思うのでした。

ちょうどその時、扉を叩く音がして、ヴァレリーが入ってきました。
「にこらい様、けびん様、皆様をお連れしましたよ。さあ、皆さまお入りください。ただし、お静かに願います。そう、お一人ずつ、順番に。こちらにどうぞ。椅子がたりませんね。後程、お茶とともにお持ちします。」
ヴァレリーの声に誘われて、子ども達が入ってきました。
「けびん!やっと会えた!」
「けびん、よかった…元気そう…にはとても見えないけど。…まだ痛むの?」
お静かに、というヴァレリーの注意はどこへやら、子ども達は次々とけびんのベッドに集まり、けびんに話しかけました。けびんはにこにこと友の話をただ聞いていました。返事をする間がないようでした。
ヴァレリーの指図で、お茶やお菓子、予備の小さなテーブルや椅子が運ばれてきました。
「さあ、皆様、召し上がってください。今日のお菓子は昨夜と違って、焦げたり、生焼けだったりしていませんからね。今大急ぎで皆さま方の食事の用意もしております。」
「あ、ありがとうございます。あの、でも、連夜にわたり、お世話になってしまって…」
「何を仰いますやら!けびん様の大切なご友人方に、昨夜のお料理が当家の食卓と思われましては、大問題でございます。どうか、今宵こそは、存分に美味しいお料理を堪能してくださいまし。厨房のものが、今、腕によりをかけて、お食事の支度中でございますれば。それまで、皆様ごゆっくりおくつろぎください。ただし、言うまでもないことと思いますが、皆様、けびん様の安静を第一にお願いいたします。にこらい様、どうぞよろしくお願いいたします。」
「あ、ああ、ヴァレリー殿。…ありがとう、よく、わかっています…。」と、めずらしく、歯切れの悪い、にこらい。どうやら、涙の跡はうまく拭き取れたようです。
「ありがとう、ヴァレリー。僕も一緒に食べていいんだよね。」けびんは、こちらは元気よく、ヴァレリーに声をかけました。
「おお、坊ちゃま、もちろんですとも。それでは失礼いたします。」
扉が閉まり、部屋には、けびん、にこらいはじめ、子ども達だけが残りました。
「ヴァレリーさん、やっぱり夕べのお料理のこと、気にしていたんだ。」
「あれ、けびん、どうしたの?痛むの?」
先ほどの元気はどうしたのか、上掛けをひっぱりあげ、隠れようとするけびんを見て、エドモンドが声をかけました。
「…何でもない…。…だからみんなの前で言わないでって、言っているのに…」と、気まり悪そうにけびんが小声で答えました。
「けびん…坊ちゃま…!坊ちゃま!やだ、やっぱりかわいい!」キティ、ルーシーや女の子たちが嬉しそうにはしゃいでいました。
ひとしきり、騒ぎが収まったところで、ルディがけびんに話しかけました。


(つづく・・・)
この物語は、作者の想像による創作物です。実在の人物とは、一切関係はございません。