第69期名人戦 七番勝負第7局 | Mouse unit's Blog

第69期名人戦 七番勝負第7局

△ 羽生善治名人 ●-○ 森内俊之九段 ▲

将棋の第69期名人戦七番勝負第7局が
6月21日、22日の2日間、山梨県甲府市の常磐ホテルにて行われました

今局、戦型は今期3度目の横歩取りとなり
比較的速い指し回しで1日目は森内九段が攻める形で終了

大長考の末、51手目の封じ手は森内九段となり
本線は▲8二歩が有力と思われましたが、より積極的に攻める▲5三桂左成で2日目が開始されると
両対局者とも落ち着いた展開となりました

73手目▲7三銀成と攻めの基盤を作った森内九段が攻めやすい状態となり
75手目の▲4四角や81手目の▲1六飛と絶妙手が飛び出すと
森内九段が優勢と呼べる展開へとなり
以降羽生名人が難しい局面へと呼び込もうとするも、冷静にそれを抑えつけ
113手目に▲7六角、さらには117手目に▲4三金で徐々に後手玉を追い詰めていくと
123手目▲3三同金としたところで羽生名人が投了

今局は封じ手の▲8二歩か▲5三桂左成といった場面
59手目に▲8二歩と指されたところに飛車を△3二に引くか△8五へ回るか
さらには桂の打ち込みが心配されるも、より積極的に89手目や91手目に歩を上げる場面など
中盤多くの変化のあった将棋であったかと思います

どれも難しい展開へと移行していくもので
それだけ中盤が濃い将棋であったと言えると思います

3勝3敗で迎えた今局、この一番を取れば名人が決定するので
どのような将棋になるか注目されましたが
その名に恥じない素晴らしい将棋でありました

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ちなみに今局、自分は対局場のある甲府市の常磐ホテル
つまり名人戦をより身近で観戦しようと現地にやってきました

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【第69期名人戦七番勝負第7局の会場である常磐ホテルで行われた大盤解説会】

新聞によると約500人の観戦者が足を運んだようで
立ち見さえも出る熱狂振りでした

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【米長邦雄日本将棋連盟会長】

開場とともに米長邦雄会長が挨拶をしました
得意の面白いトークを展開していました

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【高橋道雄九段(左) 中田宏樹八段(中央) 橋本崇載七段(右)】

B級1組の中田宏樹八段と一時茶髪やパーマで有名となった橋本崇載七段の解説時に
立会人の高橋道雄九段が現れ、3人で解説を行いました

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【NHK長野亮アナウンサー(左) 鈴木大介八段(中央)】

この対局はNHKBSプレミアムで生中継され
現地の大盤解説会場からも多くの時間中継されました
(ちなみに鈴木八段はヤングジャンプ連載中の『ハチワンダイバー』の将棋監修としても有名です)

他に中村修九段や阿久津主税七段
飯島栄治七段や片上大輔六段
さらには山田久美女流三段、岩根忍女流二段なども大盤解説会場に現れ
現地は非常に盛り上がり、入場料1000円以上の価値がありました

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【第3期王将戦で使用された盤】

ちなみに常盤ホテルでは過去、第3期王将戦(昭和29年)の会場であり
当時使用された盤が展示してありました

これで大山康晴十五世名人(当時名人)と升田幸三実力制第四代名人(当時八段)が
タイトル戦をしのぎを削ったかと思うと
将棋ファンとしては貴重なものを見たという気持ちとなりました