■撮影現場のモニター事情                         

 

カメラが撮影している映像をディレクターがモニターを見て情報共有をするということは撮影現場では普通の光景です。

いたってアナログな方法ですが、「カメラにBNCケーブルを繋いでモニターを出す」という方法を取ります。
ケーブルが伸ばせない場合、有線なのでカメラが動けばディレクターがモニターを持ってカメラにくっついていなければならない。

飲食店のロケなどは、カメラが厨房へ入る場合が多い。
狭い厨房にカメラマンと音声マンとディレクターが三人も入り込んで、ジタバタして大変な思いでロケをしていたものです。

 

ケーブルを排除して無線でモニタリングできれば厨房にはカメラマンと音声、厨房の外でディレクターがモニタリングしてくれれば厨房でまごつくことがなくなり効率良く仕事が出来ます。

■無線でモニタリング                             
 

無線でのモニタリングは昔からありました。

UHFトランスミッターから小型のテレビへ電波を飛ばしてモニタリングするという手法でした。

小型のテレビなので画質が悪く、あまり良い方法ではありませんでした。

 

UHFトランスミッター

 

 小型テレビ


■海外製のトランスミッター                         

 

プロ用では海外製のWi-Fi 5GHz帯のトランスミッターがあります。
高額な製品しかなかくて個人での所有が出来ませんでした。

 

Bolt Pro 300
 

■Mars 400s Pro                               

 

https://www.hollyland-tech.com/detail-mars400spro


最近登場したMars 400s Proは、カメラとモニターを電波で飛ばせるだけじゃなくて、Wi-Fi端末にも画像が同時に飛ばせる優れもの。
出力がとても大きく、400m先まで画像を飛ばせます。

UHFトランスミッターは30m程度でしたからスゴイ出力が上がってますね。

■遅延                                     
 

いいことづくめでもなく、Mars 400s Proは画像の遅延が0.1秒ほどあります。
正確に測ったら、60pで8fpsの遅延がありました。

レビューワーの中には遅延が気にならないという方もいますが、ストレスを感じる人はいるでしょう。

私はストレスを感じます。

■Wi-Fi 5GHzの電波事情                         

Wi-Fiルーターなどでも多く使用されるようになている5GHz帯。
Mars 400s Proでも使用している5GHz帯の電波の話をしましょう。

5GHz帯は多くの国で気象観測・軍用レーダーとして利用されていて、
一部のチャンネルがWi-Fiで利用するチャンネルと重複しています。
混線を避けるため、重複チャンネルを利用するWi-Fi製品は、
DFS認証の出来る機能を付けなさい、と法律で定められました。

■DFS(dynamic frequency selection)                  
 

軍用・気象観測レーダーを妨害しないよう、その電波を検知した場合には
自動的にチャンネルを変更する機能をDFSといいます。

レーダー波を検知した場合、チャネルを変更し変更前のチャネルは30分間利用停止しなければなりません。
チャネルを切り替えた後に干渉が再度発生しないか1分間スキャンが必要になります。

これがDFS機能なのですが、Wi-Fiネットワークの構築に時間がかかるようになってしまいました。

■日本のWi-Fi機器                              
 

 

日本で使用できる5GHz帯は3つ。
日本は海外に比べ、送信パワーの規格値が低く規定されています。
そのおかげで日本製のWi-Fi機器は室内での使用が認められています。

前述の高額なプロ用の、Wi-Fi 5GHzのトランスミッターはこの法律が出来る以前の製品です。
DFS認証機能は付いておりませんので、現在では使用禁止となっています。

Mars 400s Proの使用チャンネルは赤文字の5.2GHz
2021年の春にバージョンアップしてDFS機能が付き、条件をクリアしましたので屋外で使用できるようになりました。

5GHzの屋外使用につきましては、総務省をご覧ください。
https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/others/wlan_outdoor/

■MARS400PROの運用                           
 

オペレーション例はこうなります。

トランスミッターの電源を入れると、DFS機能が働いて1~8chの中から自動的に
チャンネルが選ばれて画像が飛ぶ。
受信機がその電波を察知してチャンネルを選択して受信出来るようになる。

スイッチを入れるだけなので専門的な知識も必要ありません。

簡単です。

■DFSのメリットとデメリット                         

 

DFS機能が付いているので、店の外観を撮るために屋外へ出ても違法ではありません。
しかも、店内まで電波が飛ぶのでディレクターは店内でモニタリングできます。
高出力の恩恵ですね。
厨房でもゴタゴタしなくなったので嬉しい反面、困ることもある。

それがセッティング時間。
送信機の電源を入れてから、画像が観られるようになるまで約90秒かかる。
DFS機能はこの時間が必要なんですね。

高出力だからDFS機能を付けなければいけない。

思いついてパッと撮影したいが、モニターがすぐに出せないとディレクターとの情報共有が出来ません。

まぁまぁイライラします。

 

■さらにデメリット                               
 

さらにイライラするのが、受信機を使わずタブレットなどのWi-Fi機器を使用して画像表示をする場合なんです。

モニターの代わりにタブレット端末で画像が確認できるのですから大変便利のようですが、使い方を間違えると
・画像が飛ばない
・Wi-Fiがタブレットで受信できない
という事故が起こります。

次回はMars 400s ProとWi-Fi端末での運用時の注意点をご紹介します。