CyberFashionShowが無事終わったものの、一過的なショースタイルの派手なファッション表現に終始してしまったのは消化不良でもあった。
アメリカのCyberFashionShow
http://ameblo.jp/mountaingreen/entry-12254634037.html
私は(今でもそうなのだが)、新しいライフスタイル(生活様式)を体現するデザインに大きな関心があった。単なる衣装的な表現ではなく、人々の生活を根本的に変えてしまうようなプロダクトやデザイン…
折しも、AppleのiMacをはじめとするパソコン、そしてipod、その後のiphoneがJobsのセンセーショナルなプレゼンとともに発表され、かなり影響をうけた。
10年後、いや数十年後の人々のライフスタイルを根本的に変えうる”ものづくり”にチャレンジしたい。
せめて大学という実験的なモノづくりが許容される、研究作品として本気で考えようと試みた。
インターネットの歴史、コンピュータの変遷、思想としてのコンピュータに触れ、コンピュータと人との関わり、未来のライフスタイルや可能性などを、過去のIT系論文やSF小説を読みあさりつつ、ひたすら考えていた。
指数関数的に発展するコンピュータ性能やインターネットの発達に伴い、音楽もファッションのみならず、趣味も仕事も”パーソナル化”していくことは明らかだった。クリエイティブの敷居もどんどん下がり、誰もが自分の発言や自分の作ったものをネットに発信する時代になる。
かつて音楽がデジタル化され、コンテンツとしての音楽が、ipod(今日ではその機能を受け継ぐiphone)というハード、itunesというソフトウェアにより、人と音楽との関わりの体験が大きく変化した。音楽のデジタル化、そして新しいライフスタイルの再構築はほぼ完了したと言っていい。
そして次の領域として、最大のチャレンジは…。
”媒体”次第で、およそ”デジタル”とは無縁そうなファッション、インテリアで同じことが起きる、というか起こしたかった。
たとえば、それは、柄をダウンロードでき、色を自由に変えられる服にもなるだろうし、クリエイター同士がその服のデータをシェアでき、手元で再現できる服…おそらくこれまでの、ただ店で買って着るファッションの体験とは根本的に違うはずだ。
これを体現するプラットフォームとして、電子制御で色が変わるテキスタイルはものすごく大きい可能性を秘めたように思えた。
LEDを使ったピカピカ系テキスタイルでの取り組みは、少なくともアカデミックの世界では結構試行錯誤されている。
だが、CyberFashionShowで、自分がモデルとして着た感覚として、例えバッテリーが小型化され普通の服とは変わらなくなろうと一般社会に浸透し得ないだろうという実感があった。
最大のキーは、非発光で色が変わること、つまり光らないで色が変わる布。言うならば、テキスタイルをコンピュータを融合させる試み。
アイディアを考えつくのも、言うのも、絵に書くのも簡単ではあるが…
DEMO or DIE
世界のIT研究をリードするアメリカの大学、MITが発祥と言われるという言葉。
アイデアを生み出すことは重要だが、それを視覚的にデモで見せられなければ意味がないという考え方。
大学でもそれに倣い、ワーキングプロトタイプ(実際に動く試作品)を作らなければ、単位的にも評価されない。
ダグラス・エンゲルバートによる1968年の伝説のデモ。今日のPCの原型やそれによるライフスタイルを提案し、コンピュータ業界に大きな影響を与えた。
コンピュータの歴史としても、ファッション、ライフスタイルの歴史としても、大きい可能性を持つ新しいテキスタイルを作る。
とにかくプロトタイプを作ろう。
就活が本格するなか、大学院行きを決定したのが大学3年の秋。
直感を信じ、電子工作、プログラミング、織り機、液晶、化学薬品との格闘がはじまった。




