実家で生活するようになって、半年が経つ。
今日、染色した布を縁側の物干し竿に干していて、ふと庭に目をやると、いちいち気になるところがでてきて、1時間あまり、自宅の庭について思い巡らしてしまった。
私の実家の庭は、縁側を降りると、すぐ向こうにご立派な石で囲まれた直径5Mほどの楕円形の池があり、その周りには、松やツツジや南天の木が植えられていて、池の周りを歩けるようになっている。玄関口までは、石畳と砂利で敷き詰められている。
池には錦鯉や亀がいて、今や獣医の道に進んだ弟の趣味で、犬やアヒルやうさぎも飼っていた。物心ついた頃には、プチ動物王国だった。私が高校生くらいまでは、夏休みには我が家では、家族総出で池の水替え大掃除大会が開かれていた。池の鯉を全部、父親の釣りグッズのプラスチック製の浴槽やクーラーケースに避難させて、池の水を抜いて、ブラシでこすり、水を入れ替える。無邪気な少年だった弟たちは、入れ替え後、鯉とアヒルと亀と一緒に泳いでいたりした。まさに家庭版プール開きだった。
松の木やツツジも、休日には、父親がきれいにカットしていたものだ。玄関のすぐ横の木には、弟と一緒に、よく登って空を見たりしていた。
あくまでも、そこそこ立派な、日本庭園感あふれぎっている庭だった。
が、しかし、秋晴れの晴天にみまわれ、すがすがしい空気が漂う本日午後3時、まじまじと目を凝らして我が家の庭を吟味してみると・・・
池の水は藻だらけで緑色に濁っており、時々ちらほらと赤い鯉が顔を出す。何が潜んでいるやら分からない。亀など見えやしない。かつて池の周りを楽しそうに走り、犬やアヒルを放し飼いにしていた場所は、草ぼうぼう、クモの巣だらけである。何が潜んでいるやら分からない。松の木の横の、ご立派な石のふもとには、オクラと青じそが植えられ、生い茂っている。玄関の横の木の横にバラの木、下にはチューリップが植え付けられている。石畳だった場所はいつからか、芝生化し、草がぼうぼうだ。父親の釣り具専用の倉庫の周りは、中に入れきれない釣りグッズがその辺にごろごろしている。・・・これは一体どういったものなのか。
そういえば、昨年、園芸関係の仕事をしている父の弟(おっちゃん)が家に来た時、草を刈って、池の水を汲み上げて巡回させ、一番高い岩石から水を滴り落ちるようにさせて、風流にしたら、と、庭改革案を練ってくれた。しかも、ご好意でやってくれると言っていたのに、父親はそれを、あっさり断った。今の父親は、週末を、狂ったかように野菜づくりと釣りに費やし、魚や野菜が獲れないと家に帰りにくいと、勝手にプレッシャーを感じていたりする。
もはやプチ動物王国になった時点で、この庭はおかしな方向にいくだろうと感じてはいたが、これこそまさに、ザ・ノスタルジック・ナンセンスワールドだ。荒れすぎている。これはいけない。
因みにこのあいだ偶然見つけて読んだ、弟の小学校時代の卒業文集には、将来の人生設計が綿密に書き出されており、最終目標は、「タケゴロウ王国設立」、と書かれてあった・・・。
タケゴロウさんよ、今は動物は犬2匹のみですけれど、王国の前に、まずこの庭を、救ってくださいな。