5日早朝、三ノ宮から始発電車で東京へと向かう。久しぶりに時刻表を手に持っての旅は、どこか落ち着かない。時刻表の地図を見ながら、名古屋までは関西本線で行った方が近いわ、とおかしな判断をした私は、奈良の山越えがいかにローカルで鈍行列車しか動いてないことをすっかり忘れていたため、東京までの到着時間を、予定より2時間以上ロスしてしまった。コトコトとのどかな風景を眺めながら列車に揺られて心弾んだが、東京でゆっくり展覧会を見る予定が、なんとも駆け足状態になってしまった。名古屋駅、繋ぎの列車乗り換え2分、2番のりばから16番のりばまで、猛ダッシュ。静岡~熱海間の列車で、ダダをこねて泣きじゃくる子供と、冷たい母親を目のあたりにしながら、東京到着。友人の展覧会最終日、搬出しかけの時に跳び込む。先輩の展覧会を見て、日本橋三越で働く友人に会う。前から行きたかったショップに立ち寄り、渋谷へ。ちょうど居合わせた大学の後輩と会う。いろいろと大変そうだ。渋谷に勤める友人と、職場の隣にある「人間関係」という怪しい名のバーでドイツビールを2杯。東京で働くと、スタイリッシュになるのか、都会の毒にやられて仮面をかぶるのか、会った人たちの以前の個性的でキュートだった顔立ちが、薄れていってるような気がした。今回の東京は、珍しく悲しい気分にならなかった。
6日早朝、あまりにも汚い渋谷の街を前に、「眠らない街」を実感。金沢へ。大宮からいっきに新潟県柿崎まで行く快速列車に乗る。途中爆睡。目が覚めるごとに、乗客の顔ぶれが変わる。父親と小学生くらいの息子の2人旅。無言でふたり並んでお弁当をほうばる。でっかいリュックサックをかついだ登山隊。韓国人の旅行客で埋めつくされている1車両。地元の高校生。日本海は冬に見た時よりも、青が深く、強い印象。土底浜で一時間の列車待ち。風は涼しい。駅周辺、数少ない飲食店はどこも開いていない。近くの海水浴場へ。堤防に囲まれた船着き場のような場所で、家族連れや子供がぷかぷか浮き輪で泳いでいる。砂浜のない海水浴場をはじめて見た。おみやげのますの寿司と、おにぎりとお菓子を買い込み北陸本線。富山の日本海沿いを走る。各駅で必ず下車してはおっきなカメラで列車や風景を撮りまくっているおっちゃん、多数。その人らに共通するファッションは、決まってキャップ帽、年期の入ったTシャツ、リュック、短パン。富山~金沢間の景色、本当によかった、久しぶりに時間を忘れて、吸い込まれるように景色に見入ってしまった。金沢到着。21世紀美術館に、陶芸をしている友人に迎えに来てもらう。車で友人の作業場へ。ガラス、陶芸、金工の共同作業部屋。乱雑だけど一定に整頓されている作業スペース。並んだ器。窓ガラスには好きな作家、アフリカ旅行の写真。昔の小学校を改造して作られたその施設は、隣に運動場があり、近々盆踊り大会があるそう。そのまま山奥にある天然温泉へ。辺りは深い渓谷。おもいっきり森林浴。片町に戻り、友人の作家仲間の飲み会に混ぜてもらう。1時間半、時間制限の屋上ビアガーデン。料理充実。アパホテルの強烈な女社長の看板と澄んだ空に光る月。関西出身者が数人いたため、関西人はおばちゃんくさい、という話題。なんの偏見?芸術の話。恋愛の話。今の自分の話。友人含め、それにしてもよく飲む人達だった。金沢にせっかく来たのだから、と親切なはからいを受け、お造りをいただく。その次はおでん屋さんへ。最後は魚民で幕を下ろす。
7日。京都へ向かう。久しぶりに見上げた京都タワーはやっぱりシンボル的でいい。好きなかたちだ。夏の京都はものすごく暑い。駅のインフォメーションに行くと、行きたい場所が沢山ありすぎてしまった。お寺さんを巡るのも良いし、美術館裏や哲学の道や路地を歩くのもしたかったけど、あまり時間がなかった為、四条界隈をぷらぷらする。ちょっと歩いただけなのに、倒れそう。原因はたぶん連日の飲み。しかしながらビールが飲みたくなる。大学時代の友人を誘い、昼間っからミュンヘンへ。友人はビール大ジョッキでごくごく飲み干す。さすが。京都の滞在はほんの少しだけだった。次回はもっと満喫しよう。大阪に住んでいた時の感覚で京都を訪れるのと、また少し違って、新鮮だったけど、複雑な心境だった。そして、以前はほぼ毎日顔をあわせていた友人と、今は違う環境で、久しぶりに会って、それぞれの生活は日常で普通なのだけれど、話ができて刺激しあえることに感謝したい。その日のうちに高知へ戻る。もうすっかり夜だったけれど、暑さは京都とどっこいどっこい。夜風がたまに吹いて涼しい。
JRの駅に掲示されている、毎年変わる青春18切符のポスターの景色を見て、もっと日本の風景を、その場所に行って、肌で感じたいと思いつつ、今回も夏の18切符、活用いたしました。一人旅なんて言いつつ、行った先では沢山の知人に会ったし、飲んでばかりでした(笑)。今度は、もう少し時間をかけて、ゆっくりと行きたい。一人で、強く、いろんなことを感じたい。また、旅に出よう。