16日
拇岳 赤いクラックルート
バス停をおりると、これから向かう拇岳が
なんともシュールな感じでたたずんでいる。
マンションの裏山www
ズーム。なんと素晴らしい岩壁。
バスを降りてから、林道を行きすぎたり、
岩に突き当たって右にいってしまったりと迷子になりまくったけど、
なんとか到着。取りつきを探していると、後ろから人の声。
なんとなくホッとしてしまうあたりが小心者。
取りつきを教わって、準備をして、
お先にどうぞと言われて、ちょっぴり焦りながらのスタート。
遅くて迷惑をかけたくないなぁという。。
1P目 9:40スタート 10:30
右上するクラックを登る。
ちょっと登りにくいけれど、これくらいのグレードなら大丈夫そうだな、
なんて思える1P目だった。
柱状節理が綺麗。
1P登るだけで素晴らしい眺め。
途中の終了点を通過したために、ロープの流れがすごく悪くなって後悔。
2P目 ~11:10
見えている左の木に向かって登っていく。
出だしがまんま核心。
安心のボルトがあるので、思い切ってフリームーブで抜けるけど、
これが5.9はちょっと辛いかな。
木を越えるとパートナーはから見えなくなる。
トラバースは簡単。あれ?と思う先に終了点がある。
3P目 ~12:00
出だし、残地ハーケンが高い位置にあり、先にナッツをきめる。
登りにくい。
さらに上の凹角がこれまた一手バランス悪くて、核心前に消耗しても・・とA0。
右手に見える小テラスで一旦ピッチをきるとパートナーの姿が確認しやすい。
4P目 ~12:25
左に向かってトラバース。
ドスラブでランナー取れなさそうで落ちたら・・
と思ったけれど、見た目より簡単だった。
大テラスは落石に注意。
さっきのビレーポイントのロケーションを振り返るのもオツである。
え
5P目 12:35~13:00(私の登攀終了時間)
いよいよ核心ピッチ。美しくて、やばい。
今の私に、登れるのだろうか。
左へ向かって高度を上げていくけれど、
残地はすべて錆びたハーケンとリングボルト。
ジワジワとメンタルとパワーが削られていく。
時折グラグラしているハーケンもあり、これはフォールはできないと頑張るも、
左にはいっていくムーブがおこせずに、テンション。
そのあとはパンプした腕でなんとかエイドしながら抜けた。
本来はその上も続けて登るんだけど、
ギアも足りない、気持ちもパワーも足りないので、
これまでと違って整備されてない悪い終了点と、
狭いビレーポイントでピッチを切る。ナッツで補強。
パートナーはエイド祭りでなんとか登ってきてくれたが・・
6P目 空白の時間
さて、ルートがわからない。
ビレー点真上に、芯だけにみえる残地があるけれど、ドスラブでいける気がしない。
少し左にトラバースをしてみると、錆びたRCCが一個。
上には錆びたリングボルトが一個。
さらにその上には、芯とリングボルトが並んでいる。
パンプした腕、傷つけられたメンタルで、
2mほどトラバースした先にあったRCCに最初のランナーをとるも
なかなかそこから登る踏ん切りがつかない。
このRCCはフォールに耐えられるの?
落ちたら、トラバースしてるからすごい落ちる・・
私の悪いところだ。踏ん切りがつかず、
敗退したい、ここからならなんとか戻れる、
そんな気持ちしかもうなかった。
後ろのパーティーをさんざん待たせているので、
先に行ってもらおうとしたんだけど、
ここまできてもまだ、待っててくれるという。
行こう。
お守りにもってきた1個のアブミに立ちこんで、
戻れない1歩を踏み出した。
見えていた最後のランナーから上はスラブで、
ランナウトする。怖い。
でももう戻れない。
なんとか足を信じて登り、左上のほうにある大きな棚にある終了点にたどり着いた。
随分、頂上が近づいたなぁ・・なんて少しだけ惚けていた。
7P目 15:05~15(私の登攀終了)~15:40登攀終了
最後、また難しそうなスラブか・・と思ったら、右よりに簡単なルートがあり、
そちらが赤いクラックルートのよう。
ウィニングランの気分で、簡単な最終ピッチをこなし、
拇岳のてっぺんの終了点についたとき、
こみ上げるものがあった。
友人にとってオーバースペックであったこのルート、
本当によくついてきてくれた。
おかげで、一緒に数年前から念願だった拇岳のピークにたてた。
自分の弱さからくる踏み出せない一歩を踏み出すことができたような気がした。
向こう側には傾き始めた陽の光を映した瀬戸内海。
後ろでひたすら私の遅い登攀と、パートナーのフォローをしてくれた
関西のクライマーのお二人、
そしてそのパーティーのメンバーの方には本当に感謝しきれない。
私たち二人ではこのピークに立つことはできなかったと思う。
本当はこのルートにくるにはまだいろいろとパーティとして足りないものが多かった。
でも来年はどうかわからない。
申し訳なさもあるけれど、私たちにとっては今回しかなかったと思う。
だから、登れて本当によかった。
ありがとう、最後まで笑顔で登ってきてくれて。
今の私たちの限界トライ。
心に残る、小豆島でのクライミングの一日になった。
暗い中戻ったちぐさ旅館の方が温かく迎えてくださったことにも、
とても感謝。
すんごく、楽しかった( *´艸`)
トポはロクスノを参照。
ちなみに、最終テラスは、ダイレクトルートのビレーポイントだったっぽい。
最後のほう、ルートわかりにくかったなぁ。