錫杖岳~深夜特急の旅~ | FLY HIGH

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登ることは生きること。後悔をしない毎日を。

9月のアプローチの悪さが嘘のようにフリクションよく足取りが軽い。
荷物は宿泊道具が増えているというのに。
(テントとギアはほとんどMさんが・・)

1度歩いているというだけで、アプローチが苦ではなかった。
イメージできるって全然違う。


岩小屋にテントを設営。


その後、取り付きへ。
だいぶ時間は遅かったので、2P目で終了。
2P目をリードしていいよといわれ試みるもあえなく撃沈したのは私でした。。

ハーケンやボルトを追うクライミングばかりの私には、
全然ルートが見えなかった。甘かった。

夕方に一度ガスるも、夜には満天の星空。
そして錫杖の岩のシルエット。
岩小屋のひさしの下で、楽しいご飯と美味しいお酒。


山にいられること、クライミングができること、
全てが楽しくて夢見てるみたいなひととき。
荷物は重たかったけど、
岩小屋まで来て正解だったなぁ!貸切!



2日目。
朝、初めてすっきりと穂高連峰を見ることができた。
のんびりと過ごす山の朝。なんて贅沢な時間だろう。

取り付きに荷物をデポしてきたので、
朝のお散歩みたいに取り付きまで歩く。
さて、今日はオールフォロー。時間くうわけにはいきませぬ。


1P目 5.10a 55m

3か所くらい気合いを入れる所があるけれど、とにかく長い。
2つあるOWのうち、私は1個目の方が登りにくくて苦手だ。
というか、1P目なのに高度感がすごいし、
こんな動きをこの高さでするのか!と初日に感動した。
しかし長い。



2P目 5.9 30m

昨日上部はルンゼにはいったけれど、脆くてちょっと悪かった。
結局ランナーとれないけれど、
リッジをたどり、最後にトラバースの方が登りやすかった。
白壁が迫ってくる絵になるロケーションが最高!

見下ろすと、紅葉の中にテントが見える(*^_^*)



3P目 5.11a 30m 

出だしのコーナークラック、少しバランシー。
なんとか越えて進むも、中間部で力尽きてフォール。
ジャミングがまだ下手なので、仕方ない。
上部、クラックがきれたスラブになってからの一手が遠い感じだった。
岩はしっかりしていて、思ったよりは登りやすかった気がする。
終了点はテラス、広くて休憩、お腹減った―


4P目 5.11d 25m

深夜特急の核心ピッチ。
被ったコーナークラックは綺麗だったけれど、
本当に私登れるの?と心配になった。

ジワジワと上がっていくパートナーさんの強さが、
ロープをつたって感じ取れる気がした。
本当にこの人はすごい・・

私は、というとなんとかテンションしつつあがれました・・


とにかく上がれて嬉しくて楽しくて
三角テラスを前にして笑った。


5P目 5.10c 30m

10aだよとか違うし、リードしなくてよかった。
ヘトヘトだけど張り気味でノーテンでなんとか・・

眼下には見あきることない紅葉と


背中には北アルプス!


5P目を終了し、私の錫杖デビュー戦も終了!!
Mさんはオールオンサイト。さすがっす・・
懸垂下降6Pにてふりだしに戻る。



今回は終始とても楽しかった。紅葉も綺麗だったし。
フォローだとしてもこんなに自分にとってハードルの高いマルチピッチで
これだけ楽しいって思えるとは思ってなかった。

11台が2ピッチも出てくるマルチピッチは経験したことがなく、
(というか、11台のNPのルート触ったことすらなかった)
9月に来た時は、アプローチも濡れてたりぬめっていて
こんなんでとりつけないよ~なんだよ夜行日帰りとかきつすぎるよ、
騙された~しんどい~とおもっていたくらい。



けれど、9月に取り付きまできたことで、岩場のスケール感とか
アプローチがどんなかを見れた。
これは今回、気持ち的にとてもゆとりを生んでくれた。
し、モチベーションもすごくあがった。
そして、初日に2ピッチ登ったことも緊張を少しといてくれた。

なにより、Mさんがとても強く、慣れているので、
クライミング自体を終始楽しませてもらうことができた。
こういうクライミングって楽しい、もっとやりたい!!って心から思えた。

なんてすばらしい経験をさせてもらえたんだろうという気持ちから、
是非、白壁をやるときはビレーさせてください!と言ったはいいものの、
そこにいくまでに11cのピッチがあるんじゃん・・あーぁ。

もっと強くならなきゃ(笑)



☆行動記録
10/5 駐車場935~岩小屋1210 テント設営、休憩
    1335取り付き周辺着
    1P目スタート1415 2P目終了点から懸垂下降
10/6 1P目950/2P目1110/3P目1145/4P目1310/5P目1440
    懸垂下降開始1530 取り付き1644~岩小屋 テント撤収+休憩 
    岩小屋発1740~駐車場1915



実は今回は体を壊してもいいから、
行きたいって思うクライミングだった。
それだけに、全てがキラキラしていて、
岩も、紅葉も、沢も、登山道も、星空も
一生の思い出になるなぁと思った。
遠かった錫杖岳、まさかこんな形でこれるとは。


どんな出逢いが、どの山に、クライミングに繋がるかわからないし
自分が、フォローできるレベルでその時を迎えられてよかった。