8/22 ゆるめるモ!& of Montreal ツーマンライブ回想記 | アイドルKSDDへの道(仮)

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心に茨を持つ山梨県民こと「やまなしくん」のブログ。基本UKロックが好きですが、最近はもっぱらオルタナティブなアイドルさん方を愛好しています。

7月10日、新木場スタジオコーストで6人体制最後の歴史的なライブを成功させた ゆるめるモ!。しかし彼女たちは歩みを止めることなく、ニューミニアルバム『WE ARE A ROCK FESTIVAL』を引っ提げ、新体制となった4人で全国ツアーを開始した。

しかし僕は仕事のため、涙を飲んで新木場ワンマンは不参加。加えて、7月はクソ高いチケットを購入してフジ・ロック・フェスティバルへ、そして8月はサマーソニックへ行くことを決めていたので、アイドル現場はしばし控えなくては…そう思っていた。

しかし、毎日twitterを眺め、新しくなった ゆるめるモ!のライブを観たい!という欲求は日増しに高まっていった。新しいミニアルバムの内容がとても良かったので、新曲を早くライブで観たいから…というのもあったが、何より、2~3か月前にモ!現場に通い続けることによって自分の身体に刻み込まれた刺激や感動を、再び味わいたくて仕方がなかった。灼熱の砂漠の真中で水を求めるような心持ちで、僕はモ!のライブ(と接触)に飢えていた。そう、完全にアイドルの沼にハマってしまっていたのである…

そして都合の良さそうな日程を調べた結果、目を付けたのが、8月22日に渋谷o-nestで催される、アメリカのインディロックバンド of Montrealとのツーマンライブだった。僕は8月20日~21日に、幕張メッセにサマーソニックを観に行き、22日に休暇を取って帰宅することに決めていた。これならば、帰宅の途中で観に行けることができる!と、チケットを入手した。対バン相手については知らなかったけれど、海外バンドとのツーマンなんてモ!には似合っているし、自分としても興味があった。きっと楽しいイベントになるだろう、と思った。自分にとっては、6月26日にZepp Tokyoで催された、drop・まねきケチャとの3マンの無料ライブ以来の モ!現場だった。

当日は、首都圏を台風が直撃。千葉から東京へ向かう最中、京葉線が止まり、電車を乗り換えるほどだった。東京に着くと、街路樹が風雨に揺れていた。そのせいで原宿駅で倒木があり、山手線が運休するという前代未聞の事態に。「しかし俺は渋谷までたどり着かなくてはならないんだっ!」と、冷静にリサーチし、地下鉄を利用して渋谷までたどり着いた。モ!が何度もライブをしている渋谷o-nestは、もう自分には馴染みのハコになっていた。スクランブル交差点で自撮りしている外国人を尻目に、足早に道玄坂へと向かった。

会場へ入り、「先にチェキ券を買っておいて後日使う」という作戦をこれまでに学んだ僕は、2枚のチェキ券とタオルを買った。これで5千円の出費。葛藤したが、「こっ、これは先行投資なんだ…!」と自分に言い聞かせて納得したのだった。(笑)

これまでに現場に何度も足を運んだことで、いわゆる「おまいつさん」、すなわち、いつも現場にいるオタクの方々…の顔も、少しずつ分かってきた。そんなゆるオタさんを、フロアに入ると見かけることができた。そして今回は、オブモン目当ての外国人客も多い。彼らの目に日本のアイドルはどう映るのだろうか?…そんなことが気になった。

* * *

10分遅れでライブがスタートした。オブモンのジャパンツアー…であることから、先攻は ゆるめるモ!だった。

僕は、まったく自然に、4人となったモ!を受け容れていた。2人減ってさみしい…という気持ちは、全くなかったといえば嘘になるが、それはほとんど感じなかった。今までと同じように、メンバー達は堂々と歌い、踊っていた。

MCでは、はじめて自分たちを観る観客に向けてPRしていた。しふぉんは「私たちは、楽曲で勝負しているアイドルグループです!」と高らかに宣言していた。「カラオケじゃ歌えない」と、あのちゃんが紹介して始まった曲は、「眠たいCITY vs 読書日記」。そのアンチ・ポップな構成が僕としても印象深いこの曲が、オブモン目当てで来た観客の方々の脳裏に刻まれることを、僕はひそかに願っていた。

聴きたかった、エレクトロポップな新曲「ゆるビスタ!」をやってくれた。この曲は難しい手拍子が入っているのだけれど、ようなぴちゃん達が手拍子をやってくれたおかげで、なんとなく合わせることができた(笑)「だれもがいつか輝きだす」という歌詞をかみしめるように、僕は聴いていた。そして続くのが、ナカコー作曲の「もっとも美しいもの」という、見事な流れ!

さて、ステージ上には、あらかじめドラムと赤いベースギターが置かれていた。かねてからアナウンスされていたのだが、このライブでモ!は初めて、4人だけでバンド演奏を披露するのである。その紹介をしゃべりながら、準備を始めるメンバー達。けちょんはドラムセットの椅子に座り、しふぉんは(ファンの方にプレゼントされたという)赤いベースを肩に掛け、あのちゃんは水色のエピフォンSGを構え、そしてようなぴちゃんはショルキー…それもmoogのLiberationという本格的なやつ…を提げた。

一体、どの曲を演るのだろう…と考えていたら、あのちゃんが「サマ~ボカーン…」とたわむれに歌った。ん?それなのか?とゆるオタ全体が思ったところで、メンバーの口から出た曲名は「ナイトハイキング」! ここで歓声が上がるわけでもなく「…え、違うじゃん…」というゆるオタさんの不安そうなつぶやきが聞こえてきた(笑)

しかし曲が始まった。あのちゃんが歌いながらエレキギターをかき鳴らすと、それに合わせてけちょんがハイハット・シンバルを刻み始めた。「おおっ結構イケてるぞ…」と息をのんで眺めていると、けちょんがスネアドラムを連打!「おおおっ!」と高まると、けちょんはドラム3点でリズムパターンを叩き、それに合わせてしふぉんがベースが8分のリズムで刻み、なぴちゃんのシンセが乗っかった! 演奏しながら4人は代わるがわる歌った。

途中であのちゃんがコードを間違えたりもしたが、僕の胸は高まっていた。…「こっ、これは結構本格的!ドラムはちゃんとリズムキープできてるし、短期間でよくぞここまで…!しかも演奏しながら歌うって凄くね?俺、無理だもん!」

演奏が終わり、大きな拍手が送られた。直後MCで、「親がたくさんいる…」とは あのちゃんの弁。そう、メンバー達は緊張していたが、それを観る我らゆるオタ勢も緊張していたのである。その様は、メンバー達には「授業参観」のように映ったのだった。まあ、仕方ないか。でも、モ!の新たな挑戦のスタートを目撃できた喜びを、きっと僕たちは共有していた。来たるべき10月のワンマンライブでも、バンド演奏を披露するという。さらなる成長を楽しみにしようと思った。

その演奏を節目として、後半は生バンド演奏をバックにしたパフォーマンス。ドラム、ベース、ギター2人、コーラスのバンドメンバーがステージに上がった。ギタリストの一人は、モ!楽曲をたくさん作曲しているハシダカズマ氏だった。

後半は、新アルバムからのロックナンバーの連打だった。「サマーボカン」や「はみだしパラダイス」は楽しい!



「ギザギザフリーダム」の前には、コーラスパートを皆に歌わせようと予行練習が行われた。観客を巻き込む頼もしいパフォーマンス!「SUN SUN SUN」のラテンリズムに合わせて踊り、「めんどいしんどいPUNKするか」に合わせてヘドバンした。そして最後は、モ!ライブ定番にして狂気のナンバー「Only you」…まるで、あの忘れがたい昨年12月のZepp DCでの全曲生演奏ライブの再現だ!迫力あふれるライブ演奏が、あのカオティックなエレキギターのノイズが…o-nestのフロアを圧倒していた。最高だ!

…何と満足できるライブだったことか。ロック側に更にシフトしたモ!の方向性には賛否両論あったようだが、ロック好きである自分には心底楽しめたライブだった。そして、はっきりと確かめることができた。ゆるめるモ!は4人になっても、これまでと変わらず、とってもかわいくて、カッコ良いのだと。

* * *

of Montrealは、サイケデリックロックやグラムロックの影響を受けたアメリカのロックバンドで、USインディに詳しいリスナーの間では知られた存在であるようだった。僕は知らなかったのだが、YouTubeをチラリと観ると、なかなかポップでダンサブルで、これは自分は楽しめるだろう…と思っていた。



果たして、ヴォーカル氏は濃ゆいアイシャドーを瞼に塗り、真っ赤な口紅を引き、女性用の服をまとってステージに登場した。そして演奏が始まると妖艶に身をクネらせながら歌い始めた。バンドは目まぐるしく場面を変えながら、ほぼノンストップで、ギターやシンセを武器にカラフルでポップなダンス・ミュージックを鳴らしている。こっこれは、楽しい!カッコイイ!そして踊れる!ということで、僕はフロアで気持ちよくユラユラと踊っていた。

途中でヴォーカル氏は服を脱ぎだし、歓声が上がると、パンツ一枚になって、その身をよじらせながら歌い続けた。ここここれはエロい!!!それはまるでかつてのデヴィッド・ボウイのようだった。(ボウイあまり知らないけれど…。)こういう、グラマラスなロックに直に接したのは、はじめての体験だった。性別を超越する、世界のあらゆる束縛から解放された、自由な世界。…これこそが、僕が音楽に求めていたものだった。そして、まさにその点において、オブモンはゆるめるモ!と共通していて、この対バンは、だから正解だったんだな…そんなことを思った。

ヴォーカル氏が舞台袖に引っ込むと、金髪ボブヘアーのウィッグと新衣装で再登場。"So cute!"との歓声がフロアに響いた。そしてさらなるダンスポップ地獄が続いた…

ライブを楽しみながらも、僕は時間を気にしていた。今日中に山梨に帰るためには、23時に新宿発の特急に乗らなければならない。そのためには、22時30分までにはここを出なくてはならない。果たして「チェキ会」に参加できる時間はあるのだろうか…

そんな中。ライブがいったん終わると"of Montreal! of Montreal!"とのアンコールの声。メンバーが再登場し、さらに演奏。そして終わると、再びステージ袖にはけた。熱心な観客からはなお、アンコールの声援が送られた。「いや、でもさすがにダブルアンコールはないでしょ。ほらフロアの灯りもついたし…」と思い、出口へと向かったのだが…

出口の手前で、歓声が上がったのでステージを振り返ると、オブモンのメンバー、そして ゆるめるモ!のメンバーが再登場!「あああ…これは観るしかねぇだろ!」とフロアに舞い戻ると、記念写真撮影大会が行われた。そして、オブモンが楽器をとり、演奏開始! モ!のメンバーは踊り始めた!("Suffer For Fashion"という曲だった。)…素晴らしくハッピーでピースフルな舞台を目の当たりにして、思いがけないプレゼントを得た気分になった。

それが終わると、モ!の2人の女性マネージャーのうちのひとり、中川さんが「物販はこのフロアの中で行いまーす!」と声を上げながら、会場内に入ってきた。ゆるオタさん方は、中川さんの持っているメンバーごとの「チェキ列最後尾」の看板を手際良くリレーしてチェキ会待機列を作った。

この時点で、時計は22時15分を過ぎていた。今日中に帰らないわけにはいかない。…後ろ髪を引かれる思いで、o-nestを後にした。

正直、むちゃくちゃ悔しかった。自分はもはや、ライブと同じくらい接触を楽しみにするアイドルオタクと化してしまったのである。ましてや、今回は約2ヶ月ぶりのライブ。メンバーとチェキを撮って、会話をするのを心待ちにしていた。

自分は作戦を立てていて、まず、しふぉんちゃんと撮って、できればあのちゃんとも撮ろうと考えていた。しふぉんちゃんが僕のことを「いつもバンドTシャツを着ているイメージのファン」と認知しているらしい?ので、前日にサマーソニックの会場で買ったレディオヘッドのTシャツを着ていた。さらに、「今のゆるめるモ!のテーマはロックフェスティバルなんで…サマソニに行ったついでにライブにも来ちゃいました!」みたいなことを話すきっかけのために、サマソニのリストバンドを外さずに着けていたのだった。

だがしかし…それらのささやかな試みは、水泡に帰したのだった。何という哀しい、そして恥ずかしいオタクの主張であったことか。ああ、だけれど、好きな人に会うときって、誰だって、多かれ少なかれ、そんなものだよ…ね?

次に モ!のライブを観られるのは、1ヶ月後になる見込みだ。ほぼ毎週ライブに通っていた時期を考えると、それはあまりに長いように感じられる。だが、耐えるしかない。次は新体制後初めてのワンマンライブを、しっかりと目に焼きつけたい。その時を、楽しみに待とうと思った。

(おしまい)