先日、がん疼痛時の在宅ケアと、薬剤師のフィジカルアセスメントに関する講演を聴講した。


 

私は、今年、義理の大伯母を膵臓癌で亡くしたばかりであった。

 

膵臓癌という病名を聞いたとき、私は薬剤師として、その予後が決して穏やかではないことを知っていた。

しかし、人は知識だけでは割り切れない。どこかで例外を期待してしまうものである。

結局、その願いは叶わなかった。
そのようなこともあって、今回の講演は少し特別な思いで聞いていた。


薬剤師という職業は、かつては調剤をはじめとする対物業務が重視されていた。

しかし近年は、患者と向き合う対人業務の重要性が繰り返し語られている。

講演会でも語られたが、私自身、薬剤師は多くの知識を持ちながら、その知識を十分に活かし切れていない場面があるのではないかと感じている。

患者が今どのような状態にあり、何に苦しみ、何を望んでいるのか。
それを知らなければ、薬の知識もまた宙に浮いてしまう。

フィジカルアセスメントとは、患者の今を知るための技術である。

私は長らく、それは看護やリハビリテーションの分野で用いられるものだと思っていた。

しかし講演を聞きながら、むしろこれからの薬剤師にこそ必要な技術なのではないかと考えていた。

もっとも、薬剤師は処方ができない。治療方針を決めることもできない。
だからこそ、患者を見て、状態を評価し、その情報を根拠とともに医師へ伝える力が求められるのだろう。

 

講演を聞きながら、自然と、大伯母の日常を想像していた。
あのとき、どれほどの痛みを抱えていたのだろうか。
 

 

その答えを知ることはできない。

それでも、患者の苦しみに少しでも近づこうとする努力には意味がある。

フィジカルアセスメントとは、単なる技術ではなく、そのための姿勢なのかもしれない。