先日初めて「本」の話題を書いたので、ついでに最近強く印象に残った本の紹介。
最近一番のヒットは、川上和人さんの「鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。」です。
タイトルも表紙もなんかいまいちであまり面白そうな気がしないですが、ある雑誌の書評でみかけて気になったので読んでみました。
詳しい内容はリンク先を見ていただくとして簡単に紹介すると、主にフィールドワークを中心に鳥類学者の活動を紹介したり鳥の分類や生態を説明したりする内容です。
・・・ほらね、面白くなさそうと思うでしょう?
でも読んでみるとこれがすごく面白いんです。
興味深いという意味での「面白い」でなく、どちらかというと抱腹絶倒の「面白い」です。
鳥類学者にしておくのがもったいないくらい、笑える文章を書ける人です。
もう、ほとんど全ての段落にジョークと科学的知識とは完全に無関係な情報が溢れていて、一ページ読むごとに「いや、それ関係ないから」とか、「ちょっ・・・、それ読者が信じたらどうするの」とか、心の中で何度も突っ込みを入れずにはおれない、そんな本です。
例えばハヤブサとウグイスの飛び方が「月とスッポンほど違う」という説明の後、あえて月の直径とニホンスッポンの体長の比率に対する考察を挟んだ上で、「月とスッポンは言い過ぎだから月とガニメデぐらいの違いとしておこう」と修正したり、小笠原諸島でのフィールドワークの説明でドカタ焼け防止のためにUVカットでなくUVスルーのシャツを作るべきとユニクロに提案したり、「それ、どうでもええやん!」な記述だらけです。
とにかく読んでいて退屈しない文章です。
しかもちゃんと学術的知識も得られるようになっていて、例えば絶海の孤島での調査の際に外来生物を持ち込まないためには道具を新品で揃え冷凍庫で凍らせアルコールで拭き目張りをした密室でバルサンを炊いて、調査員自身も一週間前から種のある果実の摂取が禁じられるなど大変な苦労があることが書かれています。
もちろんそういった内容も楽しく読めるように冗談まみれで書かれています。
子供でもわりとすらすら読めます。
ただ、フィールドワークを困難にする断崖の高さが10mであることを説明するのに「ピッコロ大魔王に換算すると四人分の高さ」と表現するのはまあいいとして、「ゲシ眉のスナイパーは背後を取られると殴る悪癖がある」とか、耳の中に蛾が入ってしまった時の衝撃を「脳内で聖飢魔IIが大音量ゲリラライブ」と表現したりとか、四十代以上じゃないと通じなさそうな文章も多いです。