『i ai』富田健太郎、さとうほなみ、小泉今日子、 森山未來、マヒトゥ・ザ・ピーポー監督 登壇! | C2[シーツー]BLOG

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 GEZAN のフロントマンであり、音楽以外でも小説執筆や映画出演、フリーフェス・全感覚祭や反戦デモの主催など、独自のレイヤーによるカルチャーを紡ぐ活動で唯一無二の世界を作り上げるマヒトゥ・ザ・ピーポー初監督作。

 

 

 マヒト監督の実体験をもとに、主人公のバンドマン・コウと、コウが憧れるヒー兄、そして仲間たちが音楽と共に過ごした日々、出会いと別れ、彼らの切実な時間が綴られていく。

 

 

 公開日翌日となる2024年3月9日(土)、渋谷ホワイトシネクイントにて、公開記念舞台挨拶を開催し、主演の富田健太郎、共演の森山未來、さとうほなみ、小泉今日子、そして マヒトゥ・ザ・ピーポー監督が登壇。

 

REPORT

 

 

 GEZAN のフロントマンで、音楽以外でも小説執筆や映画出演、フリーフェス や反戦デモの主催など多岐にわたる活動で、唯一無二の世界を作り上げるマヒト ゥ・ザ・ピーポーが初監督を務め、第 35 回東京国際映画祭<アジアの未来部 門>に正式出品され話題を呼んだ映画『i ai』は、マヒト監督の実体験をもとに、 主人公のバンドマン・コウと、コウが憧れるヒー兄、そして仲間たちが音楽と共に過 ごした日々を綴った⻘春映画。

 

 

 2021 年夏に撮影し、ようやく迎えた劇場公開の感想を訊かれたマヒト監督は、「3 年間、自分たちの中で大事にしてきたものは、羽 ばたいていく。親鳥のような、いってらっしゃいっていう気持ちで、本当に嬉しいです」と笑顔。3,500 人の大規模オーディションから抜擢さ れ、映画初主演を務めた富田は、満員の客席を見て、「この景色を忘れないと思います。『i ai』に出逢えたことは宝物です」と喜びを噛 み締めた。

 

 本作はクラウドファンディングで製作を開始し、当初より「共犯者になってください」と呼びかけていたマヒト監督。「自分ひとりの書いた脚 本から始まったものなんですけど、いろんな人の力やエネルギーが重なって、立体的に組み上がっていく過程を撮影中の現場でも見ていま した。映画は完結しているんですけど、それがお客さんの前に手渡されて、その人の中の血に溶けてこれから始まっていくんだなとも同時に 思っています」と今後に期待を込めた。

 

 

 マヒト監督の「共犯者」としてこの映画に参加した役者陣。出演理由について森山は、「台本という名前もまだつけてあげられない状 態というか、私小説的な、純文学的な状態のものをマヒトから受け取ったときに、こんなにピュアに届けたい言葉がある、伝えたいことがあ るということに特化した物の書き方に久しぶりに出会った感覚があって」と振り返ると、「まだ脚本にはなっていないけど、これをどうやったら (映画に)できるだろう?というところから始まったんですけど、そのうちに、直筆の赤い手紙をいただいて。でも、そこに何が書いてあったか 内容は思い出せないんですよね」と笑いながら明かした。続けて、「地元が神戶なんですけど、この作品が神戶であり明石の作品であると いうことは、海と空の話でもある。それは血として違う海で撮るというのは僕の中ではなかった」と断言。「やっぱり瀬戶内海特有の色味や 霞みというのは、太平洋にも日本海にもない。それを撮れないなら、参加できないと言いました」と撮影地へのこだわりを見せた。

 

 

 小泉は、「私はカメラマンの佐内(正史)さんとも昔から何度もお仕事していて、佐内さんもマヒトくんも独特の自分の言葉を持ってい て、写真を撮ったり、音楽を作ったりして表現しているんだけど、そんな 2 人が組んだときにどんなことが起こるんだろうって。2 人のセンスは 元々好きなので、これはプラスしかないんじゃないか、すごい良い化学反応が起こるんじゃないだろうかと思い参加しました」と説明。

 

 

 主人公コウや仲間たちが集うライブハウスの店⻑を演じた小泉。その役どころについて「ライブハウスに夢や憧れをもって集う若者たちは 今でもたくさんいると思うんですけど、その中で音楽を生業にして生きていけるひとって本当にすごく少ないと思うんですよね。でもそういう人 たちが置いていった夢の“墓守”のようなそんな気持ちで演じさせていただいた」と明かした。

一方ヒー兄の恋人るり姉役で、ほないこか名義でミュージシャンとしても活動するさとうは、「私も 10 年以上バンドをやっていて、売れ ない時期とかライブハウスでやっていた時もあるし、色々な人が諦めて会社員になったりだとか、もうバンドをやっていなかったりとか、そういう 人たちの魂も込めて、ライブハウスにはあるもんだろうな」と吐露。

 

 

 マヒト監督が紡ぐ詩的な“ことば”と映像美が魅力の本作。小泉は「本当に、30 年ぐらいの時間の中で一番好きな日本映画でした」 と話すと、森山は「この体験、色彩、音。映画館で体験するために作られたもの。この空間設計だからこそ、届く言葉。劇場に足を運んで もらうことに、こんなに意味のある映画はないと思います」と呼びかけた。

 

 

 最後に観客に向けて、富田が「僕はコウとして生きることができて幸せでしたし、この『i ai』という大きな赤い風船がどこまでも飛んでほし いと思っていますし、僕は心から信じています。この映画を皆さんとどこまでも飛ばしていきたいなと思っています」と語り、マヒト監督は「『i ai』は“別れ”が真ん中にあるお話だと思うんですけど、“生きる”についての話だと思うんですよね。みんなが当事者の話で、必ず訪れる自 分の大切な人だったりとか、自分自身もまたこの世界からいなくなるときがくる。誰ひとり部外者がいないストーリーで、映画が終わったあと もずっと続いていくものだと思うんで、これからもよろしくお願いします。これからもというか、これからがよろしくお願いします」とメッセージを送 り、締め括った。

 

『i ai』

2024年3月22日(金)よりセンチュリーシネマほかROADSHOW

公式サイト

 

STORY

兵庫の明石。期待も未来もなく、単調な日々を過ごしていた若者・コウ(富田健太郎)の前に、地元で 有名なバンドマン・ヒー兄(森山未來)が現れる。強引なヒー兄のペースに巻き込まれ、ヒー兄の弟・キラ(堀家 一希)とバンドを組むことになったコウは、初めてできた仲間、バンドという居場所で人生の輝きを取り戻してい った。ヤクザに目をつけられても怯まず、メジャーデビュー目前、彼女のるり姉(さとうほなみ)とも幸せそうだ ったヒー兄。その矢先、コウにとって憧れで圧倒的存在だったヒー兄との突然の別れが訪れる。それから数年後、 バンドも放棄してサラリーマンになっていたコウの前に、ヒー兄の幻影が現れて......。

 

 

DATA

●監督・脚本・音楽:マヒトゥ・ザ・ピーポー

●出演:富田健太郎、さとうほなみ、堀家一希、イワナミユウキ、KIEN、K-BOMB、コムアイ、知久寿焼、大宮イチ、吹越 満、永山瑛太、小泉今日子、森山未來

●配給:パルコ

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