「映画の力」EPISODE:榊原有佑監督「映画に宿っているもの」 | C2[シーツー]BLOG

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川本 朗(カワモト アキラ)▶名古屋発、シネマ・クロス・メディア
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「映画の力」EPISODE:
映画に宿っているもの

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 高校生の時、持っていた携帯電話に当時としては珍しく動画を作成する機能があった。ちょっとしたカット編集も行えて、16和音のBGMを貼り付けれる機能だった。数人の友人に手伝ってもらい幾つか動画を作り、完成された動画は「インターネットにアップする」など、当時はそんな発想もなく、ひっそりと仲間内で携帯端末を回しながら見ていた。その遊びはいつの間にか校内で噂になっていたようで、自分の携帯はその動画を視聴したい人たちの間で借り貸しされ、ほとんど自分の手元に戻ってこなかった。それはそれで結構困っていたけれど、自分が作った動画が、この校舎のどこかで誰かが見ながら笑っている。そう思った時、ふと当たり前の事に気づいた。「あぁ、そうか。普段見ていた映画も、どこかの誰かが、人間が作っているんだ」

 

 それから時は経ち、私は映画監督になった。

 

 映画を作るようになって、少しだけ分かったことがある。適当に無意味に作られた映画などないということ。必ず作り手はその映画に想いを込めているということ。そして映画は、どんな歴史であろうと、どんな想いであろうと、そのままを認め受け入れてくれるということ。

 

 映画に力があるってことは、それを作っている人間や、その歴史や、想いに力があるということ。

 

 現実の不条理に打ちひしがれ、その全てを悲観したくなる時も、映画は救いの手を差し出してくれたし、次に踏み出すべき1歩を示してくれた。

 

 そんな映画にこれからも出会い続けていきたいし、生み出していきたい。

 

 

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